通販には欠かせないもの、それは配送。そして、「人」の顔の見えにくい通販のなかで、唯一顔の見える人、それが配送会社のスタッフだ…
2013年1月24日付の『通販新聞』によると、通販会社が配送会社を選ぶ基準は、「コスト」が第1位で138ポイント、その後第2位「輸送品質」(127ポイント)、第3位「全国配送への対応力」(64ポイント)、第4位「顧客の批判」(32ポイント)、第5位「配送態度・ドライバーの対応力」(24ポイント)と続く(※)。
ここで着目したいのが第4位の「顧客の批判」。前回調査と比べると、順位を一つ上げているということだ。
どんなに心をこめて作った商品でも、ていねいに梱包したとしても、配送のトラブルにより、顧客の満足度を下げてしまうことがある。結果、その配送会社を使っている会社での購入を躊躇したり、悪くすれば購入自体を取りやめることにもなりかねない。「顧客の批判」を回避することは、重要な課題だ。ただし、第1位や第2位のポイントと開きをみる限り、まだまだ顧客の意見が反映されているとはいえないように思える。
では、消費者はどんな点に不満を感じているのだろう。
『ジャドマニューズ』2013年6月号で実施のアンケートによると、商品受け渡しの不満の理由の第1位は「配達員の態度」で42%。そして、第2位「不在再配達の連絡に関して」16%、第3位「代引き時の事前電話なし」15%、第4位「商品梱包の段ボールの汚れ」9%、第5位「不在放置」「過剰包装」5%と続く。
2位以下にくらべると第1位の「態度」は曖昧な気もするが、これも「人」が見えるからこその結果だろう。多くの人は、配達員に何らかのストレスを抱えながら商品を受け取っているのだ(同アンケートのフリー回答をみると、態度に該当するものでは「呼び鈴にすぐに対応できず不在と判断されてしまう」「玄関先での大声は困る」などがある)。
さらに「配送会社を選べるとしたらどの配送会社を選ぶか」という問では、ある運送会社が2位以下を大きく引き離す結果となっている。これは通販利用者の多くは配送会社を“選択“をしたいと思っている結果といえるのではないだろうか。
私自身、かつて某衣料メーカーの通販が大好きで良く利用していた。しかし、その商品を配送する配送会社のスタッフの態度がどうにも気になり(時間指定に遅れても平然としている、玄関チャイムを鳴らした後に車まで商品を取りに行くなど)、ここ数年は利用していない。送料や手数料がかかってでも配送会社を変更することができれば利用を再開するのだが、残念ながらそのサービスはない。
実は、弊社のお取引先には、この配送会社を選べるサービスが導入されている企業がある。導入にあたって、システムや関連部署に膨大な負担があったことは想像に難くない。しかし、一消費者の視点で見ると、このサービスはありがたいし、お客様の気持ちを最優先に考える企業だと思うと好感度も高くなる。他にも、システムとしては導入されていなくても、注文の際に相談すると配送会社変更に応じてくれるところもある。これも同様にその企業に対する信頼感が増す心遣いだ。
配送サービスというと、送料無料や当日配送など、数字的な部分が話題になりやすい。もちろんこれらも大切な要素だが、数字に表れない“お客様の気持ち“にも目を向けると、もっと満足度の高いサービスが提供できるのではないかと思う。
(A・K)
※通販新聞社実施の、フルフィルメントの業務に関するアンケート調査。2012年12月実施。