ここ数年、通販化粧品ビジネスに新規参入された企業様や、地方発の中堅企業様のご相談を受けることが弊社でも多くなった。優良顧客育成のための色々なツールをご提案申し上げるのだが、必ずといっていいほどお願いしていることがある。それは「代表者や商品開発のご担当者、社員の方などに積極的に各ツールの誌面(紙面)へご登場いただきたい」ということだ。
モノの売買を行う場合、売り手より買い手側に商品情報が圧倒的に不足する(情報の非対称性が起きる)のが一般的である。そこに買い手の不安や迷いが生じる。「購入前の不安をいかに解消するか」は通販ビジネスに共通の課題だが、特に肌に直接塗布し日々使っていただく化粧品という商材では、そのハードルは高い。
「効果はあるの?」「安全性に問題はない?」「価格は適正?」「きちんとした会社なの?」などといった、お客様が抱く多くの不安をひとつひとつ取り除いていく作業が必要になる。そのため様々なコンテンツを用意して丁寧にメッセージし、情報の非対称性をできるだけ是正していくのだが、そのベース(下支え)として役立つのが“代表者や社員の顔が見えること“だと思うのだ。
“顔を出すこと“は、一定の個人情報を開示するのと同義である。個人情報の開示にはリスクを伴う。そのリスクを負ったうえで“顔“という個人情報を開示するのだから「そうそう悪いことや不正はしませんよ」とある種の約束をしたことになる。あるいは「胸をはってお届けできる商品・サービスですよ」という自信を示すことになる。その姿勢は瞬時に感覚的にお客様に伝わり、信用への足掛かりとなる。
また工夫次第では、上記のような消極的効果(不安解消の効果)を超えて、プラスのブランディング効果も期待できるだろう。代表者や担当社員が商品にまつわるストーリーとともに繰り返し登場することで、まるで何度も会ったことがある知り合いのような親しみを感じていただく。日々の仕事や取り組みを紹介することで誠実さや真面目さ、素朴さを感じファン作りの一助となる、など。
特に企業名やブランドネームにまだまだ力がないと感じておられる新規参入企業様、地方発の企業様には、“顔が見えること“の重要性と効果を一考いただきたい。会社や自社商品への信用を得て、お客様との信頼関係を醸成していく有効な手段になるはずである。
(I.M)