いま、通販においてテレマーケティング、主にコールセンターの存在が見直されており、
専門誌や業界新聞でも記事を見かけることが多くなった。WEBやモバイルといったIT化が進んで久しいが、なぜここにきてコールセンターが注目されているのか。
ひとつは、電話とコンピューターとの連帯を可能とするCTI(コンピュータ・テレフォニー・インテグレーション)のめざましい発展があると考えられる。
これは顧客の年齢・住所・購入履歴・問い合わせ履歴といった情報をコンピューター画面で
見ながら電話対応を行うことができる機能のことであるが、年々性能がバージョンアップし、
それに加えて各社さまざまな独自のシステムを開発し、サービス向上に努めている。
例えば化粧品販売においては、顧客の年齢や肌質、肌悩みのほかに、仕事や生活習慣といった
ライフスタイル全般、加えて性格までも知り尽くし、記録しておくカウンセリングが重要であり、通販化粧品はこの点において店販や訪販に劣っていたが、いまやCTIの活躍によって店頭販売の
カウンセリングサービスと同等のきめ細かい対応が可能になった。
ふたつ目は、シニア世代の通販利用が増えたことも理由といえる。
PCやスマートフォンを使いこなす“スマートシニア“と呼ばれるシニア世代も存在するが、
通販で商品を購入する際「電話で聞いた方が早い」「誰かと話がしたい」「一つひとつ確認したい」と考えるシニア世代も圧倒的に多く、直接会話ができる「電話」という手段は欠かせない。
実際、オペレーターに話を伺うと、雑談が目的で電話注文をするシニア顧客も多いそうで、
会話においてもライフスタイルや性格のほかに、健康や心身の状態に重点を置いた話題づくりを
心がけているそうだ。
また、最近では定期的に『お元気ですか?』と電話で安否確認作業をするシニア向けの
コールサービスが人気を集めている。主に自治体からの依頼で行われているそうで、
警備会社と連携しており、電話して対応がなかった場合は、警備会社が駆けつける仕組みに
なっている。このような充実した体制を整えるのは難しいが、通販企業も高齢化社会に向けた
CR活動の一環として、アウトバウンドにこういった付加価値を加えるのも一つの手ではないだろうか。
通販において顧客のロイヤルティを高めることは最も重要であるが、WEBやモバイルによって
商品注文が便利になるほどに、他社へのブランドスイッチといった顧客離れの可能性も高まる。
利便性を徹底的に追求し、すべてがスピーディーになったから今だからこそ、生身の人間である
オペレーターが担う顧客との会話を通じた「絆づくり」が再認識されているのではないだろうか。