日経消費インサイト2013.11(NO.8)に「2014年ヒット商品・サービス予想ランキング」が掲載された。上位にはオリンピックや消費税商戦、高齢者サービスなど、消費者にとって関心の高いテーマが並んだ。ここで注目したいのは9位、19位にランクインしたキーワードである。
9位「時短+@商品」※1 2013年は働く女性や忙しい主婦に圧倒的な支持を受け「オールインワン化粧品」が飛躍的に売上を伸ばした。今後も時短商品はネガティブなイメージ(手抜き)からポジティブで賢いイメージ(時間の有効活用)に定着していくだろう。次に19位の「スローエイジング/アンチエイジング」※2。無理をして若づくりをするのではなく、若々しさを大切にする考えが浸透しつつある。時短商品を使うことによって生み出された時間をスローエイジングのために有効活用する消費者も増えるだろう。モノそのものではなく、時間の軸にシフトしたマーケットは拡がりをみせるのではないだろうか。
一方で、注目したいのは「ない」というキーワード。肯定的な「ない」である。
「売るDMはつくらない」「価格競争はしない」「売れる化粧品はつくらない」「浸透しない化粧品」など、「ない」を掲げる企業がみられる。各業界も異業種の参入が著しい近年では、他社とどう差別化を図るかが課題となるが、表面的な「差別化」ばかりを重視するのではなく、企業ポリシーや商品コンセプトを通じ共感に訴える戦略である。
「売るDMはつくらない」に関しては「売れないDMをつくる」のではない。こんないいモノがあります。あれもできます。これもできます。安いです。誰でもいいから買ってください。こんな一方的なアピールは消費者を無視したかたちとなる。あくまでも商品価値を決めるのは消費者なのだ。また、「売れる化粧品はつくらない」というポリシーも一瞬驚く。「えっ?どういうこと?」売れている=良品という常識を覆されると心に残るのだ。消費者は自ずと理由を知りたくなる。そこで初めて一歩踏み込んだ情報を知ることになる。そして共感→ファン増大になるのだ。2013年の通販総売上高は前年比でみると減少の数字が出るだろう。市場の成長を伸ばすためには販促ツールを減らす事より、内容の見直しが勝敗を左右するのではないだろうか。
(I.H)
※1・※2…日経消費インサイト2013.11(NO.8)に「2014年ヒット商品・サービス予想ランキング」より