美容意識が高い男性に出会ったときのこと。
彼は、私が化粧品関係の広告制作をしていると伝えると、
「すごく美容に興味がある」と目をキラキラさせて話し始めた。
過去には、さまざまなメンズコスメを試し、
現在はお気に入りのブランドに落ち着いて満足しているという。
それでも飽くなき探究心はおさまらないらしく、
「どこの化粧品がおすすめですか?」と熱心に聞く様子は、
まるで女友達と話しているような感覚だ。
奥さんも美容に興味があるのかと尋ねると
「それが妻はまったく興味がなくて、適当でこだわりがない。」とのこと。
正反対な志向なのも興味深いが、私が興味を持ったのは、
彼がスキンケアに熱心になる理由だ。
尋ねてみると、「老けたくないからだよ」と私たちの気持ちと全く同じだった。
男性用化粧品市場の規模は、
富士経済によると2015年が1,099億円、2016年は1,116億円を見込んでいる。
2兆円にものぼる化粧品市場全体から見ると、まだまだ規模は小さい。
しかし、成熟しつつある女性用化粧品と比べ、
今まで深堀していなかった男性用化粧品の研究・開発が進み活性化されることで、
今後成長が期待できる分野でもある。
通販サイトでは、大手通販化粧品メーカーも男性用化粧品は揃っているし、
海外ブランドも揃えたセレクトショップサイトや、男性用専門ブランドも現れている。
店舗では、今年4月にオープンしたGINZA SIXでは
男性向けの美容レッスンを始めるブランドや、
コンビニ限定でシニア男性用化粧品を発売するメーカーも。
さらには、男性ファッション誌ではベストコスメ大賞を実施するなど、
徐々に男性用化粧品への関心度を高めようとする動きが活発化しているようだ。
当初は、「清潔感」を保つためを目的としたラインナップ中心だったのが、
美容液やクリーム、アイクリームなどのパーツケアまで揃う徹底ぶり。
商品説明にも「若々しい」という言葉が並び、
すでに「清潔感」を保つのは当たり前で、
女性と同様にエイジングケアを追及する時代になりつつあるようだ。
私が出会った男性が特別なのではなく、
「男性もスキンケアするのは当たり前」なのかも知れない。
今後、男性ならではの美容文化が形成されると、
女性も新たな刺激を受けることにもなるのではないだろうか。
男性に主役を奪われないよう、私たちも美容に関しての感度を高めなければならない。
(M.I)