日本人の総人口は、総務省統計局発表によると、
1億2693万7千人(平成28年11月1日現在)で、
前年に比べて15万8千人ほど減少しています。
しかし、65歳以上の人口は増加しており、
総人口に占める割合は、27.5%と過去最高。
そのうち全世代女性人口の65歳以上の割合は30.4%にものぼります。
超高齢化社会になりつつある我国では、
様々な業界でシニア対応が目立っています。
私たちの化粧品業界では、商品開発はもちろん、
店頭サービスも“シニア向け”を強化しています。
例えば、60代以降向けのエイジングケア化粧品ブランド「ビューティブーケ」を
全店舗に導入したファンケルでは、
各店にシニア世代に対応したスタッフを配置し、
新たにシニア世代向けの接客研修も取り入れるといっています。
こうした状況のなか、年々増加するネット通販においても、
高齢者への対応は急務と言えます。
インターネット利用者限定で見ると、
60才代以上のネットショッピング利用率は、わずかであるものの、
今や30代と20代以下の利用率を上回っているほどなのです。
ところが、ネット通販の販促ツール、カタログやパンフレット、
またホームページなどは、若い制作者がつくることが多いようで、
時々「???」と思える表現が目につきます。
特にコピー(言葉)は、その生きてきた時代の文化を反映しているだけに、
表現はとても難しいものです。
そこで、ターゲットが高齢者の場合、
絶対にやってはいけないコピーライティングや、
配慮するべき言葉選びについて、ピックアップしてみました。
①ニュアンスで伝えるなど曖昧な表現はNG
読み手が抱くイメージに頼るなど、曖昧な表現は避けるべき。
商品特長やベネフィットなど端的に述べる。
×辛口アイテムで大人ニュアンス
◎肩幅を合わせれば、ゆったり服もすっきり見え
②長い文章はNG
高齢者は、短期記憶力(数十秒間記憶が維持できる力)が低下し、
長い文章の理解力が衰えるので、短い文章で簡潔に述べるべき。
③理解しづらい言葉はNG
略語、学術語、外来語、造語などを避け、
馴染みのある分かりやすい言葉選びを。
×コスパ ×エマルジョン ×ナノ ×JK ×SNS
④若い世代が描くシニア像を押し付けたコピーはNG
若い世代が勝手に抱く高齢者イメージの思い込みはNG。
『高齢者』をひとくくりでイメージすることは危険。
×シニアは和食が好きなので・・・
×高齢者は寺社巡りが好きだから・・・
×シニアはきれい好きなので・・・
⑤不安を払しょくしてくれそうなコピーは◎
年齢を重ねるごとに増大する健康面や理解力などに対する不安要素を、
解消できることを訴求する。
◎シニアのための初めてのスマホ教室
◎力のない方でも軽々持ち運べる世界最軽量の掃除機
⑥ターゲット年齢を明確にするのは◎
自分ごととして見てもらうため、ターゲット年齢を打ち出す。
しかし最近では、実年齢より自覚年齢は10歳以上若い人が多いらしい。
◎50歳の肌にハリとうるおいを与えます
◎60歳、今が一番元気です!
◎70歳からの体づくり!
⑦同年代や同じ立場の人の声を表現するのは◎
同じ悩みをもつ同年代の方々の意見はリアリティがあるので、
自分ごととして受け取られやすい。
◎冬場のトイレの辛さがこれで解消されました。
◎重くて大変だった掃除機かけも、これなら軽々です。
経験豊富な高齢者に、言葉で説得することはとても難しいことです。
快く納得してもらえるよう慎重に言葉を選び、
物事を正しく伝え、心に響くコピー力を磨く必要があります。
今後さらに需要が高まるシニアマーケットを攻略するためには、
“最適な言葉選び”が最重要課題となるのではないでしょうか。
(M・O)