近年、自分の肌を「敏感肌」と考える日本女性の割合はほぼ半数にのぼります。
某メーカーの調べによると年代別では30~40代で60%近く、
50代以上でも40%前後の方が「自分は乾燥肌」と考えています。
注目すべき点は、その割合が年々増えている、というところです。
「敏感肌」は主に化粧品に含まれる特定の化学物質や自然の成分、
埃やたばこの煙、紫外線、花粉、化学繊維、金属、人によってはご自身の汗などに触れることで
肌が赤くなってかゆみをともなったりヒリヒリしたりする、刺激に対して敏感な肌と定義されます。
しかし、日本女性の本来の肌質が変わってきたわけではなく、
激変したのは肌をとりまく環境であることは、想像に難くないですね。
地球環境の変化によってもたらされた気温の上昇や紫外線量の増加なども一因でしょう。
また、社会生活や人間関係におけるストレスなども
肌状態を不安定にする大きな要因と考えられています。
新開発された美容成分は、効果と刺激の両面を抱える場合もあります。
このような状況を受け、いくつかの化粧品メーカーでは「敏感肌用」アイテムを充実させています。
また、合成化合物による刺激への代替ケアとして「自然派・オーガニック化粧品」も台頭してきています。
これらは特に新しいカテゴリではありませんが、
以前はごく一部のこだわり派が選ぶカテゴリというイメージが強かったのではないでしょうか。
化粧品で肌荒れを起こしやすい「敏感肌」の方々にとっては
肌荒れを起こさない、刺激の少ないということこそが求める最大のベネフィットでした。
しかし、ここ数年でこれらのカテゴリに起こった変化は劇的です。
「悪化させない」という消極的な処方から一歩進んで、より積極的に肌に働きかけ、
効果を実感できる科学的裏付けを携えてマーケットで存在感を増しています。
肌にやさしいだけでなく、エイジング、美白など肌悩みへのアプローチも兼ね備えている製品も増えています。
化粧品のみならず、日用品カテゴリのボディケア製品、ヘアケア製品などでも
「敏感肌用」「肌にやさしい処方」は増加傾向にあり、市場拡大が期待されています。
同時に、アジア圏からの訪日客向けインバウンド消費において
「日本国内メーカー」「日本製」の敏感肌用化粧品は、
配合成分や製造の過程において信頼性が高く、強い訴求ポイントとなっています。
オーガニックカテゴリでは、高い信頼性を保つ認証制度を有する欧米メーカーの独壇場となっていましたが、
日本国内の農場で、原料生産の徹底コントロールを目指すメーカーも出てきました。
国内メーカーによるこの両カテゴリ、まずはアジア市場でその実力が十分に証明できれば、
いずれ世界市場へと飛躍が期待できるかもしれません。
(S.K.)