コラム
「週刊粧業新聞」3月11日号掲載2019.3.11(投稿日)
第46回「参加型ブランドづくりのススメ」

「週刊粧業新聞」 3月11日号に、代表取締役 鯉渕の『激変するコスメマーケット 第46回 参加型ブランドづくりのススメ』が掲載されました!

 

本文は、下記の通り。 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

『激変するコスメマーケット』

第46回 参加型ブランドづくりのススメ

 

最近、お客様のグループインタビューでお話を聞いていると、通信販売で化粧品を購入している人でも、肌診断やメイク体験イベントなどに対する参加意欲がとても高いことに驚かされる。Webでクリックすれば好きな商品がすぐに購入できる時代なのに、対面での情報取得にとても意欲的なのはどうしてか? それも一般的な情報ではなく、「私の肌にはどうすればいいのか?」「私の髪には何が効果的か?」等、すぐに自分事として役立てられるような情報を求めている。

 また一方では、同じ商品を使用しているお客様同士の「つながり」にも強い関心を持っていて、「裏技的な使い方」や「使用後の本音の実感を聞きたい」という要望が多い。理由は「同じブランドを使用している人は、化粧品に対する価値観が同じレベルなので、気兼ねなく本音を聞ける」ということらしい。

 このように、お客様とブランド、あるいは愛用者同士のつながりは、これからの化粧品のビジネスに不可欠になってくるのではないかと思う。とにかくお客様は、企業側が「こんな商品ができました」と売り出すだけでは、なかなか動いてくれない。もっとお客様を巻き込んで、いわば「参加型」のようなスタイルで、徹底的に等身大の意見を取り入れ、商品が出来上がったときには「共感」してもらえるような環境にしておかないと、ファンづくりは難しい。

では「参加型ブランド構築」には何が必要か? まず最優先すべきはお客様に関心を持ってもらうための「コンセプトづくり」である。この時、他社と同じような漠然としたコンセプトでは、競合の中でまぎれてしまって個性が発揮できない。コンセプトは、小さなニーズを目的にしたものでも良いので、「エッジの効いたもの」がよいと思う。他社のマネではなく、自社だけのオリジナルコンセプトで、誰に対して何を言いたいのかが明確にわかること。なおかつ、コンセプトで謳っていることが、商品を使用した時に実感されなければ意味がない。

明確なコンセプトで「この指とまれ」方式で集客すると、自然と賛同する人々が集まり、「顧客集団」としても個性が明確になってくる。そのようなお客様が集まってくれれば、おのずと情報内容もお客様のニーズに合わせてリリースすることができるので、ますます「つながり」を強くすることができる。そして「参加型」の様々なメニューも用意しやすくなる。

たとえばイベントを開くにしても場所の選定から内容まで、お客様の好みを掌握していれば、適切な企画や運営ができる。お客様の要望を聞くだけでなく、コンセプトに沿った美容の考え方をアピールすることや、プロとして新しい情報や効果的な使い方、お客様のパーソナルデータに対応できるアドバイスは不可欠だろう。

Webや通販が拡大しつつある時代だが、お客様と双方向の情報交換や対面での交流は、圧倒的に情報量が多いので、「お客様をファンにする」絶好の機会である。リアルなイベントだけでなく、SNSを活用したお客様参加型の開発会議なども面白い。この場合はお客様がアクセスしやすいシステムや気軽に参加できる投票方式を取り入れるなどの工夫も必要になってくる。

また、協力だけ求めて、その後のフォローがなければお客様の気持ちは冷めてしまう。いただいた意見をもとに商品開発やサービスの充実を具現化し、その過程を報告するのもプロの仕事である。

例えば、商品化の過程をライブのように参加者に見せられたら、企業と顧客の結びつきはいっそう深くなるに違いない。「参加型」の施策を充実させることで、もっとお客様との距離が縮まり、熱い思いを「共感」してもらえたら、成功は近いといえるのではないか。

このページの上へ