コラム
「日本流通産業新聞」3月15日号掲載2019.3.15(投稿日)
基礎講座Q&A vol.54 「Q.店頭と通販で商品は買えるべきか」

「日本流通産業新聞」 3月15日号に、代表取締役 鯉渕の『強い通販化粧品会社になるために 基礎講座Q&A vol.54 「Q.店頭と通販で商品は買えるべきか」』が掲載されました! 本文は、下記の通り。

 

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Q.店頭と通販で商品は買えるべきか

店頭販売と通信販売で商品を変えるべきでしょうか。通販化粧品専業として事業をスタートさせましたが、最近リテールから引き合いがあり、店頭販売に卸すことにしました。今はまだ規模が小さいのですが、将来は通信販売と店頭販売で商品を変えるべきか悩んでいます。(中堅化粧品通販会社)

 

A.同一でも販売に応じた強みを大事に

◆販売チャネルは拡大すべき 

 最近、多くの通販化粧品会社が店頭販売にも進出するようになりました。
 そもそも通販化粧品会社における通販チャネルだけ(国内のみ)の売上高で、500億円を超えている会社はほとんどありません。ブランド力を発揮できる規模になったら、通信販売と店頭販売と両方のチャネルで販売する方がいいと思います。
 というのも、販売チャネルは企業側の都合で、お客さまは「いつでも、どこでも、自分の買いたい方法で購入できるほうがいい」と考えているからです。もちろん、戦略的に「当社は通信販売ルートでしか販売しない」という選択肢もあると思います。しかし、これだけ通販会社の規模が大きくなって、顧客数も多くなった今日では、通信販売でも店頭販売でも購入できることが「お客さまメリット」につながると思います。また、国内の通販チャネルだけでは、マーケットシェアに限界があるので、規模を大きくできないという現実もあります。

◆チャネルごとの特徴を知る

 ただし、販売チャネルごとに販売方法の特徴があるので、それをよく知って展開すべきでしょう。
 通信販売の場合は時間、空間を選ばずにお客さまに自由に買い物をしていただけますが、店頭販売の場合は時間も空間も限定されます。また、店頭販売はその場で商品を触って確かめることができますが、通信販売の場合、サンプルを取り寄せたとしても、多少時間がずれます。
 また、店頭販売は販売員の接客やサービスに大きく左右されることがあります。同じことは通信販売でも言えますが、直接対面していないだけに、体制でフォローできる部分もあります。
 いわば店頭販売は「五感で感じて買い物をする場」であって、体感する情報量が多くなります。また、通信販売の場合はあらかじめ開示された情報のみの接触になるので、「理性で買い物をする場」になりがちです。
 もちろん最近では、消費者の「口コミ」も多く、体験者のコメントで疑似体験することもできます。
 また、最近の店頭販売は、肌診断などの計測機器類がそろっているところも多く、その場でお客さまの特徴をデータ化することで説得力のある販売を行うことが可能になっています。
 しかし、なんといっても通信販売の強みはその販売データが一括管理されていることでしょう。通常、通販会社はお客さまの購入履歴が一括管理されているので、データベースマーケティングがしやすく、営業効率を上げることができます。
 また、施策リリースを一斉に全国規模で展開できることも効率を上げる理由になっています。最近では、より小さな単位のデータも抽出して、お客さまのニーズの芽を先取りした販促活動を展開している会社もあります。
 両方のチャネルともお互いの利便性は共通になりつつありますが、根本的には先に述べたようなチャネルの特性に応じたコミュニケーションの優先順位を考慮すべきでしょう。

◆業態の差がなくなるかも

 また、私の経験では、基本的に店頭販売は視覚や聴覚での情報が優先するので、店舗やパッケージなどのビジュアルからメッセージを発信すると効果的なようです。そのため、コンセプトをビジュアルで表現することと、販売員を徹底教育することが、成功への鍵のような気がします。
 一方、通信販売の場合は、ビジュアルだけではなく、「言葉」で伝えることが多くなるので、どちらかというと「コピーライティング」に注力することが常識的です。
 ただし、最近では両業態ともにあまり差がなくなりつつあります。つまり、消費者は業態の差で購入するのではなく、その商品のコンセプトや自分にとっての価値で購入するので、販売のテクニックについては、すでに見破りつつあると考えた方がいいようです。

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