5月某日、日本経済新聞の“さよなら大衆「個客」に照準”という見出しの記事が目につきました。
低価格・大量生産の商品で大多数の消費者を一挙に獲得する、マス向けビジネスが転機を向かえているということです。シャンプー市場では顕著で、かつて8割を占めていたマス向け型商品が8年間で5割にまで減ったそうです。
減少の理由は、ベンチャー企業による「スモールマス市場」の台頭です。
彼らの手法は、SNSとデジタル技術の活用でユーザーのこだわりを吸い上げて商品化するもの。製造は外部業者に委託し、自分たちは企画・開発に集中することで、「顧客」を「個客」へ昇華させるほど細かなニーズに応えています。
そんなスモールマス旋風は化粧品、食品市場にも広がっているとのことです。
記事を読んで、最近の経験をふと思い出しました。
それは1本2役のオールインワンシャンプーの虜になったことです。
きっかけは他社調査でモニター使用をしたこと。数年前に使ったことがあったので、商品の特長や効果実感は知っているつもりでした。
それなのにどうして心をつかまれたのかというと、今の年齢になるとシャンプーへの要望が当時よりもずっと高まっていたからです。
「なるべくケアにかかる時間と手間を省きたい。」「少し細くなった髪にハリが欲しい。」
「育毛効果のあるシャンプーがいい。」「洗いあがりの髪に潤いが欲しい。」などなど。
こういった私の要望(わがまま)をすべて満たしてくれるのは、まさにスモールマス市場の商品だったようです。
かつてはメーカーが主導してつくった商品の中から、消費者が部分的に妥協しながら選ぶことが普通とされる時代でした。
それが個々の思いを尊重する時代になっていくことは、私が携わる通販市場にとっても広告の手法においても、新しい刺激のタネになると予想され、今からとても楽しみに思っています。
(K・S)