コラム
「日本流通産業新聞」2月13日号掲載2020.2.13(投稿日)
基礎講座Q&A vol.61 「Q.新規顧客が獲得できず困っています」

「日本流通産業新聞」 2月13日号に、代表取締役 鯉渕の『強い通販化粧品会社になるために 基礎講座Q&A vol.61 「Q.新規顧客が獲得できず困っています。」』が掲載されました! 本文は、下記の通り。

 

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Q.新規顧客が獲得できず困っています。

通販化粧品を立ち上げて10年目になりますが、最近特に新規顧客の獲得に苦戦しています。マス媒体、ウェブなどの広告を中心に模索していますが、どれもうまくいきません。ほかに有効な手法はないでしょうか。(中堅化粧品会社)

 

A.「紹介制度」を改めて考えては

◆広告に依存しない手法を考える

 通販広告の中でもマス媒体は、ブランドのイメージアップや信頼性を高めるにはとても有効ですが、その一方で広告費が高く、出稿し続けるには多くの資金が必要です。その上、最近は中高年世代しか獲得できません。1人当たりのCPOはとても高い金額になっているのが現状です。ウェブもまた情報過多になっており、新規顧客を獲得しても簡単にリピート購入してくれないためにてこずることが多いようです。
 そこで今回は、昔からある「紹介制度」を新規獲得に結び付ける方法について考えてみたいと思います。
 現在、「紹介制度」を行っていても、積極的に活用している会社はあまり多くないようです。それは「紹介してくれた方には1000円分のクーポンを差し上げます」というような、お金やモノを前面に打ち出した「紹介制度」が広がったために、「紹介する=友達を売る」という怪しげな印象をお客さまに与えることになり、制度自体がマイナスイメージになりかねないからでしょう。
 しかし、新規顧客獲得がなかなか難しい時代には、自社製品のよき理解者であるお客さまに、新たなお客さまを紹介していただく、という地道な新規獲得も必要ではないでしょうか。
 そのためには、旧来型の紹介制度ではなく、お客さまが気持ちよく、自発的に知り合いを紹介してくれるような形に改良する必要があると思います。

◆紹介者のつながり意識に働き掛け

 新しい「紹介制度」の一番のポイントは、自社のファンが新たなファンを呼び込む「友達の輪づくり」のような仕組みをあらかじめ作っておくことです。
 手紙、会報誌、イベント、SNSなどさまざまな手法で、紹介者の好意やつながり意識に働き掛け、「ブランドがファン同士のサロン」のような環境づくりをしておくべきでしょう。そのためにはブランドコンセプトが明確でないと賛同を得られません。
 お客さまの中にも「同じブランドが好きな人と情報交換したい」というニーズがあります。ウェブサイト上の口コミ検索が盛んなのはそのためです。
 そのような環境を整えた上で、例えば購入商品を送る際に「肌あれに悩んでいるお友達にぜひお渡しください」とサンプルセットを同梱する、というような方法で「紹介制度」を案内してはいかがでしょう。
 お客さまは親しい友人知人の顔を思い浮かべて、一番使ってほしい人に渡してくれることでしょう。お客さまが愛用者であればあるほど、実感のこもった言葉で商品の説明をしてくれるかもしれません。紹介された方に「信頼できる知り合いが薦めてくれるなら」という意識が働けば、極めて確率の高い新規獲得手法になり得るのではないでしょうか。
 ほかにも、お客さま向けの新製品発表会に「ぜひお友達と一緒にご参加ください」と、友達とのペア参加を呼び掛けた会社もあります。当日は軽食でおもてなし、それぞれにサンプルセットを渡しました。イベントは1人より、知り合いと一緒の方が参加しやすいですし、話も弾み、実際に新規顧客獲得にもつながっているようです。
 また、会報誌やウェブマガジンの誌面に友達同士で一緒に登場してもらう特集を組んだ会社もあります。「毛穴に悩んでいる友達にぜひ試してほしくて」という紹介エピソードや2人の楽しげな写真を掲載し、お友達紹介のポジティブなイメージを印象付けました。同時に「紹介制度」の仕組みについても説明することで、お客さまに制度をより身近に感じてもらうことができたようです。
 「紹介制度」は各社とも通年で運用していますが、いつも同じ案内では目立たないので、定期的にキャンペーンを実施するのも効果的です。その期間中だけプレゼントを変えるなどの工夫があるとなお良いでしょう。

◆人数ではなく優良顧客を獲得

 「紹介制度」によって、新規顧客が、爆発的に増えることはありません。しかし、愛用者が愛用者を生み出す、自然発生的な「紹介制度」は、信頼関係がもとになっているので、早期の離脱リスクは少なくなるでしょう。むしろ紹介される方は、紹介者が優良顧客であるほど、新しいお客さまも良質な顧客に育つ可能性が高いと言えます。
 一人一人と信頼関係を築きながら、新規顧客を獲得していく。長期的にみると「紹介制度」は、目先の人数を増やすこと以上に、将来に向けて効果の高い新規獲得作戦と言えるかもしれません。

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