コラム
「週刊粧業新聞」6月28日号掲載2021.6.28(投稿日)
第66回「コロナ禍を経験して欲しいものが変わった」

「週刊粧業新聞」 6月28日号に、代表取締役 鯉渕の『激変するコスメマーケット 第66回 コロナ禍を経験して欲しいものが変わった』が掲載されました!

本文は、下記の通り。 

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『激変するコスメマーケット』
第66回 コロナ禍を経験して欲しいものが変わった

 コロナ禍の下で自粛生活を強いられ、自宅にこもって生活する時間が多くなった。還暦を過ぎたいまでも仕事を続けている私の買い物行動が、一般のシニア層と同じとは思えないし、読者の参考になるかは不明だが、それを承知で「最近の欲しいもの」について考えてみた。
 そもそもコロナ禍前と比較すると、圧倒的に自宅にいる時間が多くなったので、まず家の中のインテリアや台所の使い勝手が気になりだした。例えば、ソファーの座り心地は長時間座っていても快適かとか、TVの角度は見やすいかとか、そういえば花が飾っていないなとか、ルームフレグランスはお気に入りのものになっているかとか、照明器具の明るさや色合いは目に優しいかなど、普段は「まあ、いいか」と思って気にかけずにいたことが、なかなか無視するというわけにもいかなくなった。何か手を打たなくてはいけない、という気になる。
 台所はより深刻だ。普段あまり料理をしていなかっただけに、調理器具や調味料の不足が気になってしょうがない。何しろちょっと夜の時間が遅くなるだけで、食べに行く場所がなくなる。というわけで、必要に迫られて料理をする羽目になった。そうすると料理をする前に、道具をそろえなくてはいけないという気になり、これから何度使うのかもわからない調理器具をネットで見たりしている。
 化粧品では、とにかくメイクもの、リップやチークは全く使わなくなった。ファンデーションもマスクに付かないくらいに薄く塗るだけなのであまり減らない。アイメイクやスキンケアの手順はこれまで通りであまり大きな変化はない。しかし毎日マスクをしている時間が長く、肌荒れしているのではないかという心配から、化粧水を何度も塗り、これまではさぼりがちだったフェイスマスクも使うようになった。お手入れを真面目にやるようになったと言えなくもない。
大きく変化したのはボディケアだ。まずヘアケア関連は、美容室に行く回数をなるべく減らしたいために、インバス&アウトバス両方のトリートメント類を多く使うようになった。特にカラートリートメントは、ちらりと見える白髪対策には必需品だ。またハンドクリームやフットケアクリームも手放さなくなった。ハンドクリームは何度も手洗い&消毒を繰り返しているので不可欠アイテムになっている。使用感の良さを追求して様々なメーカーの商品を揃えるようになった。もちろん消毒用のジェルやスプレーは、ホームケア用、携帯用と様々な剤型、様々なサイズをありとあらゆる場所に用意するようになった。手足に関心が向くとネイルケアもおろそかにはしない。ボディークリーム&ボディーローションもこまめに使うようになった。改めて購入したものを挙げてみると、ボティー関連のパーツケアアイテムを多く購入するようになっていたようだ。つまり在宅時間が多くなると、自分のカラダの隅々まで関心がいき、少しでも不快なところをケアしたいという気になった、ということなのかもしれない。
 さらには、お風呂時間も充実させたい気分というわけで、入浴剤にもこだわり始めた。お気に入りの効能違い、香り違いの入浴剤を揃えておくようになった。併せてルームフレグランスも気になり各種のアロマ商品を買ってしまった。そして一人暮らしのわたしには珍しく、定期的にお花も買い、古い花瓶を持ち出して生けている。果ては寝室を整えたいと思って、ベットカバーやまくらなど、また寝る前の音楽の用意から、入眠を助けるサプリなどにも手を出す始末だ。
 要は、在宅時間が多くなったおかげで、自分の身の回りを快適にしたいという欲望が沸き上がり、欲しい商品も次々に変化してきたようだ。しかも巣ごもり状態になると、肌に近いところ、つまりインティメートなものに関心が向き、ファッションもよそ行き着のアウターには関心がないが、インティメートアパレル(下着)や部屋着などに興味が出てくるというわけだ。コロナ禍を経て、自宅時間が多くなり、欲しい商品にも変化が出てきたのは、自分でも驚きだが、それはそれで新鮮でもあり、楽しくもある。
そしておそらく私のように小さな楽しみを見つけてコロナ禍をやり過ごしている消費者も多いはずなので、メーカーや小売業の方々には、そんな気分にジャストフィットする提案をしていただき、ライフスタイルを変えるような「本気買い」を誘発して欲しいものである。

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