「週刊粧業新聞」 10月4日号に、代表取締役 鯉渕の『激変するコスメマーケット 第68回 イノベーションのチャンスが来た!』が掲載されました!
本文は、下記の通り。
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『激変するコスメマーケット』
第68回 イノベーションのチャンスが来た!
知人の会社が、新型コロナの影響で仕事が減った旅行関連会社従業員の「出向」を受け入れた。産業によって大きく異なる人材問題。旅行産業や外食産業は人材余剰、家電業界や宅配業界は人手不足という訳で、人手が余っている企業から、人手不足の企業に移動できれば、雇用対策としても有効だ。政府も今年2月から、産業雇用安定助成金を始める等、出向により労働者の雇用を維持する企業、出向元・出向先の双方への支援を強化している。「出向」期間中の就業規則やコロナ禍が収束した後の「転籍」の可能性等、雇用面ではいろいろ検討しなければならない課題も多いようだが、まずは雇用維持には役立っている。
そんな雇用問題は別にしても、知人は「とても良い効果があった」と実感しているようだ。何しろ10名や20名ではなく、数百人単位で異業種の人材を受け入れたため、現場で思わぬコラボレーション効果が出ているらしい。というのもたまたま異業種同士がキャンペーンの業務提携をするのとは訳が違う。多くの社員を受け入れているだけに、いわば毎日が「異文化交流」、考え方の違いに「びっくり」「なるほど」「そうか」などの発見が双方から出ているようだ。
例えば、知人の会社は物販がメイン、商品(モノ)の使い方を詳しく説明して販売している。ところが旅行業界から出向しているスタッフは、元はカウンターで「旅行(モノではなく体験)」を販売していた。お客様の要望に応じてツアーやコースを組み合わせて、カスタマイズして販売することに慣れている。「モノ」にこだわりがない分、クロスセル販売もすぐに対応でき、いろいろな「モノ」を組み合わせてお客様に勧めることが、スムーズにできているらしい。
このように業種や業界が異なるだけで、ビジネスモデルは大きく異なり、単な
る提携や共同開発だけではなく、現場が先に動き始めることで、業務の「発想そのものから転換」できる。その結果、業務のイノベーションが進むこともあるようだ。弊社でも最近、化粧品や通販とは無縁の会社との取り組みを始めた。そうすると様々な「気づき」が多く出てくる。
例えば「保険と化粧品」。保険は将来の災害や怪我、病気、死亡などのリスクに対して保証するシステムなので、それこそ対象案件は千差万別。ならば美容も「将来のキレイを保証する保険付き化粧品」等というものが考えられないだろうか? (妄想なのでとりあえず薬機法は忘れたい)
または、「学校教育と美容」。日本人は昔から子供の美容については、あまり積極的に勧めることははばかられる雰囲気があった。中学生の頃に少しませた同級生がお化粧をして、先生に叱られた記憶がある。しかし今日では「ベビー化粧品」も多く出回っている。子供のころから正しい美容意識や美容知識を教えれば、自分の個性に目覚め、容姿をコンプレックスに思うことも少なくなるはずだ。
さらには「デジタルと美容」。これはすでに現在もスピーディーにイノベーションが進行中だ。非接触の肌診断から、メイクのイメージ画像まで、デジタル技術はいま化粧品分野に大きく貢献している。パーソナライズ化粧品やサブスクサービスもデジタル化が可能にしてきた。
「交通と美容」では、新幹線や飛行機の中に美容室があったら、移動時間に髪を切ったり、パーマをかけたり、カラーリングしたりと、とても便利な気がする。
このように美容や化粧品も、他の業種とのコラボレーションによって、今日の様々な技術が開発されてきた。異業種交流はイノベーションのチャンスなのだ。そのような視点で今回のコロナ禍を過ごし、価値が転換するアフターコロナの時代を迎えたい。