「週刊粧業新聞」 12月13日号に、代表取締役 鯉渕の『激変するコスメマーケット 第70回 化粧品で元気になるために』が掲載されました!
本文は、下記の通り。
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『激変するコスメマーケット』
第70回 化粧品で元気になるために
個人的なことだが、70代に突入した姉が最近化粧品のことをよく聞いてくる。長い間教師をしていたために、おしゃれとは縁遠い生活をしてきた姉だ。2年前に夫を亡くし意気消沈しているところに、このコロナ禍で、地方都市で一人暮らしが始まり、好きな旅行にも行けずカルチャーセンターの友人たちにも会えない日々が続いている。都心で暮らす息子たち家族とは、インターネット越しのやり取りだ。これで娘でも居れば、いろいろおしゃれ情報を得ることもできたのだろうが、息子では相談相手にはならない。
そんな姉が、このところ「おしゃれをしたい」と情報収集に熱が入っている。理由は「もっとパッと明るくなりたい、活動的になって、元気になりたい」そのためにまずおしゃれからという訳である。本人としては、「復活ののろし」を上げるような気分でいるらしい。
ところがいろいろ聞いてみると、今どきの美容については、ほとんど無知だ。新聞で見かけた通販広告や、TVのワイドショーなどで見たコマーシャル、インフォマーシャルなどの番組もよく見ている。そのため、「シワが目立たなくなるクリームはいいのかしら」「ファンデーションで便利なのがあるらしいわよね」「シミが消えるオールインワンクリームって本当に消えるの?」などと聞いてくる。いずれの情報も断片的で、あの広告を見たのだなあ~ということがよくわかる。しかし「自分はどうなりたいのか?」という目標までは描けていない。実は彼女のようなシニア女性は、世の中に結構多いのではないかと思う。美容情報をきちんと教わったこともないし、若い時に断片的に学んだ美容方法は更新されていない。だから今の自分に合った美容の知識も、方法も、商品情報も、好みの使い方さえも見つかっていない。しかも、ここ2年間はコロナ禍で他人との交流さえ途絶えている。これでは新しい情報を知ることもできないのは当然だ。
一方生活に欠かせなくなったデジタルについては、すごいスピードで学習している。まずスマホの保有率、活用範囲は2年間で圧倒的に進んでいる。何しろ覚えなければ、ワクチン接種の予約から、様々な行政手続きまで、とても不便になることはわかっているので、その知識は格段にレベルアップしている。孫たちとのリモート会食やリモート里帰りなどは楽々こなして、リモートによる子守りまで引き受ける。
化粧品は、すぐに困るという訳ではないので、後回しになっているようだ。
そんな世代の姉が、いよいよ「おしゃれをする」と一大決心をして、チャレンジが始まった。同窓会でも同様のことがあった。「どの化粧品がいいのか、業界にいるのでわかるでしょ」的な質問攻めにあったこともある。
つまりシニア世代の女性たちは、まだまだおしゃれの意欲は衰えていないし、もっともっときれいになりたい、元気になりたいと考えている。ところがメーカー側が発信する情報は断片的で、商材に紐付いた一部の美容情報しか伝えておらず、「どんな女性になりたいか、どんなおしゃれをしたいか」という根本的な提案が不足しているため、「一人ひとりに合ったおしゃれや美容の具体的な提案が不足しているので、おしゃれ難民になっている」ようだ。
もっと一人ひとりのお客様に寄り添い、情報不足を補って、本当になりたい女性像を明確に考えてもらえるような「トータルのおしゃれや美容のアドバイス」が必要なのではないか。非接触でもそんなサービスはできると思う。 彼女たちを早く元気にするためにも、シニア層に向けての美容アドバイスを充実させてほしい。この人たちが、旅行や趣味や生きがいを再発見し、元気になってくれれば、経済も復活するに違いない。