「日本流通産業新聞」 9月1日号に、代表取締役 鯉渕の『強い通販化粧品会社になるために 基礎講座Q&A vol.84 「Q.通販化粧品の商品開発で注意すべき点は?」』が掲載されました! 本文は、下記の通り。
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Q.通販化粧品の商品開発で注意すべき点は?
最近、商品開発の担当者になりました。もともと理系の学部に在籍していたので多少の知識はあるのですが、そちらの知識よりも「売り上げデータをよく見なさい」と言われています。(中堅の通販化粧品会社の開発担当者)
A.商品開発者よりマーケッターになるべき
◆お客さまを知る
通販化粧品会社の商品開発は、単にモノを作ればよいという業務だけではなく、さまざまな販売データ分析も不可欠と言えます。それはマーケッターと開発者が一体となったような役割を期待されているからです。
今回は主にマーケッターとして通販化粧品の商品開発はどんな点に気を付けたらよいかという点に絞って、私自身が商品開発をお手伝いするときに注意しているポイントを解説します。
まず通販化粧品会社の商品開発は既存顧客向けなのか、まったく新しいお客さまを獲得するためのスタートアップの商品なのかによって変わります。今回はある程度の顧客を抱えている既存の通販化粧品会社の場合を想定しましょう。
私が商品開発を手伝う場合は、まず既存のお客さまの販売データを徹底的に調べます。そこで注目するのは多く売れている商品はもちろんですが、なぜ売れているかを見極めます。
次に注目するのは、広告出稿量もあまり多くなく、販売数量もさほど多くないが、リピート率が高い商品を必ずマークします。
お客さまにアンケート調査をして調べるのは、他社で定期的に購入している商品や、買ってみたいと注目している商品です。モニター会やレッスン会では使用している他社化粧品を見せてもらう、あるいはポーチの中身を見せてもらう機会も多くしています。人気店舗では売れ筋商品をチェックし、ほとんどすべての通販化粧品の広告には目を通しています。
◆世の中のニーズを知る
これはすべて世の中の美容トレンドや潮流を知るためのマーケッターの仕事です。もちろん自分だけで調べことができない膨大な調査データを取り寄せることもあります。
原料メーカーやOEMメーカーにも人脈を作っておけば貴重な情報を提供してもらえます。場合によっては、プレゼンテーションをしてもらうことも良い方法です。
次に大切なことは、いろいろな化粧品を実際に自分で使用してみることです。幸い私は肌トラブルが少ない方なので、日頃からいろいろな化粧品を試用しています。そうすると料理と同じで、「味の違い」のようなものが分かってきます。より多くの化粧品を使った経験のある人の方が、優れた商品を開発できるのではないでしょうか。
ある美容家と仕事をしたときに、美容への知識の豊富さ、世界中の化粧品を使っているなど、驚くような豊富な経験に圧倒されました。もちろん完成した商品のクオリティーはとてもレベルの高いものでした。
◆顧客の目線でチェック
商品のバルクサンプルができたら、ターゲット層にモニター調査をして感触を確かめてもらうことも必要です。このとき、分からないように競合商品も同時に試用してもらい比較調査をしています。調査はすべての項目を10段階評価、競合よりは高い点数が付くまでサンプルの修正をします。
お客さま調査はバルクの比較だけではありません。条件が許せば、パッケージデザインやキャッチフレーズ、広告デザインもダミー案を作成して、好みのモノを選んでもらうようにします。
さらにこれまで販売してきた他の商品との訴求ポイントをチェックし「美容メソッド」との矛盾がないかを確認します。これまで多くのお客さまが購入してくれた商品との合わせ使いが可能かどうかも大事なことです。これらはすべてお客さま目線でチェックすることが必要です。
最後に、それでも新商品発売の不安があったら、まずは「限定品」として、数量限定などで販売し、お客さまの反応を見て、次シーズンに「ご好評につき定番商品化」をするという二段階の販売方法もあります。
あるいは「テスト販売で、お客さまのご意見をうかがい、その後本格的に販売する」というスタイルで、お客さま参加型の商品開発という方法も面白いかもしれません。
いずれにしても通販化粧品の商品開発は、マーケティング業務をきっちりやることが不可欠だと思います。