コラム
「週刊粧業新聞」10月10日号掲載2022.10.10(投稿日)
第78回「美容の指南役はどんな人が相応しいか?」

「週刊粧業新聞」 10月10日号に、代表取締役 鯉渕の『激変するコスメマーケット 第78回 美容の指南役はどんな人が相応しいか?』が掲載されました!

本文は、下記の通り。

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『激変するコスメマーケット』
第78回 美容の指南役はどんな人が相応しいか?

 最近、「ビューティーアドバイザー」などの名称で、販売員の接客レベルを上げ「カウンセリング力」を強化しようとしている会社が多い。インバウンドにはまだ頼れない今、国内需要を深掘りするためにも一人ひとりのニーズに寄り添う方針は大切なことだと思う。対面販売ではない通販化粧品会社においても「アドバイザーの養成」が急務となっている。化粧品のマーケットを少しでも拡大するためには不可欠なことだと思う。
 ところで、お客様たち一人ひとりは「アドバイザーによるカウンセリング」にどんな内容を期待するのだろうか?自分自身のことで考えてみた。
職業柄、会計士や弁護士のアドバイスは常に身近に受けている。彼らのアドバイスを信じる根拠は、専門家として私の知らない情報を知っているということだ。すべてのアドバイスを受け入れる訳ではないが、彼らの知識は私自身の判断の基準にもなっている。アドバイスを無視し続けていると将来困ることも起こる。そもそも無視するくらいなら顧問契約は結ばない。
 美容やファッション分野では、若い頃はなじみの美容師に聞いたり、ブティックの販売員に聞いたりしていたが、自分自身の知識や経験が多くなってくるとあまり「アドバイスを受ける機会」も少なくなってくる。
 ところが私にはファッションやメイクについて、圧倒的なご意見番が存在する。美容&ファッション業界の草分け的な存在の大先輩、業界の大御所である。会うたびにヘアメイクのアドバイスや服装のアドバイスもしてくれる。ファッション小物も使いやすくて便利なものを薦めてくれる。若い頃から世界中を回ってファッションショーを仕切ってきた先輩だ。世界の良いモノを知り尽くしている。そしてご本人は80代半ばに差し掛かった今でも、若々しくきれいでおしゃれである。こんな人にアドバイスしてもらえる自分はなんと幸せ者かと思う。
 なぜ私が彼女のアドバイスを素直に聞き入れるかというと、先輩として仕事での圧倒的な実績と経験の豊富さ、今でも尽きることがない情報収集力など、まずはその生き方に敬服しているからだ。その豊富な知識から、私にぴったりの情報をピックアップしてアドバイスしてくれる。けっして無理強いはしない。私の要望を聞き出して、適切な方法を教えてくれる。つまり私のチャレンジする気持ちを少しだけ後押ししてくれるのだ。このタイミングがまた適切だ。そして彼女のアドバイスに従ったことを実行すると、周りの友人知人に「似合っている」とか「センスが良い」とか「明るくなった」とか褒められることが多い。そうなると信頼は確信に変わる。そんなことが何度も続くと、ここ一番の「勝負服」や「気合の入ったメイク」などが必要な時は、自ら進んで相談するようになる。こんな風に信用できるカウンセリングをしてくれる人は、やはり生き方を尊敬できる人で、自分より経験も知識も豊富な人ということになる。当然年齢的には先輩になる。
 ところで、各化粧品会社が育成しようとしている「ビューティーアドバイザー」は、そうしたアドバイスができる人材を輩出することができるのだろうか? お客様が簡単に情報を手に入れられるようになった今日だからこそ、より深い知識と経験が求められているのではないだろうか。お客様に尊敬されるような立ち居振る舞いができることも含めて、大事な時に相談されるような「アドバイザー」が必要とされている。

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