「日本流通産業新聞」 3月14日号に、代表取締役 鯉渕の『強い通販化粧品会社になるために 基礎講座Q&A vol.101 「Q.お客さまに寄り添えているか不安です」』が掲載されました! 本文は、下記の通り。
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Q.お客さまに寄り添えているか不安です
シニア向けの化粧品を販売していますが、若い社員が多いこともあり、顧客に寄り添った企画や販促ができているか不安です。通販なのでお客さまと会う機会もなく、このままでは顧客離れを引き起こさないか心配です。(中堅通販化粧品会社)
A.自発的にお客さまの声を聞く機会を作るべき
◆「通販だから会えない」は間違い
先日、通販化粧品会社を招いて、セミナーを開催しました。そこで、「皆さんはお客さまのことをどれくらいご存じですか?」と質問したところ、「お客さまに会ったことがない」と回答された参加者さまがとても多く、驚きました。
どんなお客さまが、どんなところを気に入って製品を使っているのか。将来、どんな肌になりたいと思っているのか。
明確なお客さま像が見えていない通販会社は意外と少なくありません。これでは、不安になるのも当然です。
私は、通販会社でも積極的にお客さまと会うことをおすすめしています。むしろ、直接対面で話す機会が少ない通販だからこそ、自発的にお客さまの声を聞く機会をつくるべきです。
実は以前、お客さま調査をした会社でこんなことがありました。担当者が「うちはドクターズコスメだから、敏感肌の方や美容意識が高いお客さまが多いはず」と考えていたところ、いざ調査をしてみると肌悩みも少なく、安売り狙い、化粧品にこだわりのないお客さまばかりだったのです。
これでは、企業がどんなメッセージを発信してもお客さまに刺さることはありません。戦略とターゲットのミスマッチを防ぐには、やはりお客さまをよく知ることが大切です。
◆2つの調査が導き出すもの
お客さま調査には、数量的に傾向をつかむ「定量調査」と、質的に深掘りをする「定性調査」があります。
多数の意見を数値化できる定量調査でお客さま全体の傾向、例えばデモグラフィック特性などを把握し、基本的なターゲット層を確認します。数値化されない消費者意識や買い物行動、ライフスタイルなどは、グループインタビューやデプスインタビューといった定性調査で深掘りします。どちらも欠かせないので、セットで実施するのがおすすめです。
一見、手間暇がかかるようですが、お客さま像が明確になれば、企画のヒントも情報提供の内容も決まってくるので、結果的にうまくいくケースが多いです。
◆「階層の分類」がポイント
定量でも定性でも、お客さま調査を実施する上で必ず行ってほしいのが、どのお客さまが会社に利益をもたらすキーポイントとなるかを判断するための「階層の分類」。調査結果から注力すべき販促の優先順位が明確になります。
弊社では購入歴と購入金額をもとにRFM表で、「金額が低く、購入頻度も低いお客さま」「金額が低く、購入頻度が高いお客さま」「金額が高く、購入頻度が低いお客さま」「金額が高く、購入頻度も高いお客さま」などの4つのグループに分けます。
この分類をすることで、例えば、「金額が低く、購入頻度が高いお客さま」には、ついで買いを誘うような施策や定期購入品と相性の良いものを推奨する施策を。「金額が高く、購入頻度が低いお客さま」には、定期的なアプローチや特典等をアピールする――など、それぞれに適した施策を考えることができます。
また、「金額が低く、購入頻度も低いお客さま」については、その後の離脱率などもあわせて検討することで、何が要因でリピーターにならないかを解明することができます。
そして、深掘りしたお客さま調査をもとに、ペルソナ像を設定しましょう。商品開発や販促施策、コミュニケーション設計をする際、この人物に響くもの、この人物が買いたいと思えるものを考えればよいのです。
また、ペルソナ像を設定すれば社員全員が共通のお客さま像をイメージできるため、社内のコミュニケーションもスムーズに行うことができるという利点もあります。