コラム
「日本流通産業新聞」9月19日号掲載2024.9.30(投稿日)
基礎講座Q&A vol.107 「Q.リブランディングで新しいコンセプトを打ち出したい。注意点は?」

「日本流通産業新聞」 9月19日号に、代表取締役 鯉渕の『強い通販化粧品会社になるために 基礎講座Q&A vol.107 「Q.リブランディングで新しいコンセプトを打ち出したい。注意点は?」』が掲載されました! 本文は、下記の通り。

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Q.リブランディングで新しいコンセプトを打ち出したい。注意点は?
10年ほど通販化粧品でビジネスを展開してきたお陰で、固定客も多くそれなりの規模になってきました。最近伸び率が落ちてきたので、リブランディングをしたいと考えています。注意すべきポイントは何でしょうか?(中堅通販会社)

A.お客さまの声を徹底的に聞く!その前にインナーブランディングを!

◆ブランディングの成否は?
 40年近く通販化粧品業界で多くの事業会社さまのお手伝いをしてきましたが、その間、多くのリブランディングや商品のリニューアルを見てきました。大胆なリブランディングをきっかけに、大きな話題となって、徐々にファンが増え大成功したブランドもあれば、人気ブランドが訴求を変えたとたんに、大量の固定客が離れてしまって、青息吐息になり、すぐに再リニューアルしたというケースもありました。
 「その成功と失敗の要因は何か?」と問われれば、一言で言うと「お客さまに寄り添う路線変更か、会社都合が優先の路線変更か?」ということだと思います。
 お客さまに寄り添うリニューアルならば、お客さまの意見を真っ先に聞き、お客さまの利益(ベネフィット)を考えます。会社都合のリニューアルの場合は、先に売上拡大やビジネス効率、投資効果などを考えるでしょう。どちらも必要なことですが、長い目で見て、結果として成功しているのは、前者の方が多いように思います。

◆ブランディングの軸は何か
 単なる商品のリニューアルではなく、リブランディングの場合は、もっと大掛かりな準備が必要でしょう。ブランドはリリースしてから、ある程度の時間的経過と規模になると、伸び率も落ちて、顧客離れも起きてきます。拡大を続けるために、また企業のユニークさを維持するためにも「リブランディング」が不可欠になります。成功と失敗の差がより大きく出てしまうのは、この場合です。
 それまで、効率重視・数値重視のみのマーケティングを推進してきた人たちは、なかなかお客さまに寄り添う価値提供型のブランディングに舵を切ることは大変だと思います。
 まず、体制を整えることからブランディングをスタートさせなければなりません。つまり、対外的なブランディングの前に「インナーブランディング」を採用する会社が多いようです。成功している多くの会社は、「内部から改革」しているのです。
 すでに多くの固定客を持っている中で、多くの人から賛同を得られるような新たなコンセプトを打ち出すことは一筋縄ではいきません。またユニーク性を強く打ち出すことはなかなか難しくなります。なぜなら現在のお客さまを裏切ることはできないからです。これまで大衆受けするようなざっくりとしたコンセプトで運営してきた場合はなおさらです。
 最も大事なことは、売り上げとユニーク性のバランスです。個性的な中堅ブランドとして、ユニークなポジションを維持するためには、好きな人半分、嫌いな人半分、くらいの思い切った打ち出し方が必要です。

◆迷ったらお客さまに聞く
 さて、そんなブランドリニューアルを控えた時に、ぜひおすすめしたいのは、「迷った時は、お客さまに聞く」というシンプルな手法です。今のお客さま、将来買っていただきたいお客さま、残念ながら離れていってしまったお客さま、それぞれのお客さまに、徹底的に話を聞くことが不可欠だと思います。
 私はお客さまの声は、すべての課題を解決してくれる「宝の山」だと考えているので、いつもその原点に返ることにしています。お客さまは何でも教えてくれます。例えばたった一人のお客さまの声にも真実が含まれていることはあります。
 さらにこれをもう一歩進めて、常にお客さまに参加してもらい、身をもって「顧客体験価値」を享受してもらうことこそ、とても大事なことだと思っています。お客さまの声に真摯に耳を傾け、ひたすらお客さまの役に立つことを願って、業務のすべてを組み立てれば、ブランドの進むべき道は、おのずと開かれるはずです。
 このようなビジネスのあり方こそ、お客さまに寄り添うことが可能な、通販化粧品ビジネスの王道なのではないかと思います。弊社が「お客さま参加型」を強くお勧めする理由は、こんなところにあるのです。「お客さまとともに歩むビジネス、それが通販化粧品ビジネスである」と、主張したいです。

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