コラム
「週刊粧業新聞」9月23日号掲載2024.10.15(投稿日)
第100回「開発と販売の意識統一が必要だ!」

「週刊粧業新聞」 9月23日号に、代表取締役 鯉渕の『激変するコスメマーケット 第100回 開発と販売の意識統一が必要だ!』が掲載されました!

本文は、下記の通り。

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『激変するコスメマーケット』
第100回 開発と販売の意識統一が必要だ!

 最近、商品開発のスピードがとても速くなっていることは、誰もが実感していると思う。新しい美容成分が登場すると、すぐにWeb上でも大きな話題になり、お客様も知るようになる。ブームに乗り遅れたメーカーはチャンスを逸してしまうので、今や化粧品の開発も“鮮度が命”になっているようだ。
 そういう状況下では、開発担当者と販売担当者との調整がすごく難しくなる。時々見かけられるのは、商品開発の方向性と販売戦略の不一致。未調整のまま突き進むと、「この商品はどんなメディア戦略で、どんな人に売るの?」「カウンセリングが必要なのにドラッグストアの売り場でOK?」など、販売直前に社内で議論が沸騰することになる。
 私は、商品開発と販売戦略は同時にスタートさせるべきだと考えている。そして商品が出来上がった時には、販売戦略もスタートできるという具合になるのが望ましい。そのためこの2つの業務は常に並走しなければならないはずだが、現実にはなかなか難しい。コミュニケーションの時間が不足していることや、情報共有が不十分だと、最後までもめてそのまま販売スタートということもあるようだ。
 戦略が一致しない主な原因は、立場や役割分担によって考え方が大きく異なるからだ。開発側は他社で成功している成分や、新しい商材にチャレンジしたい、販売側は売上拡大がミッションなので、「自分たちのお客様に売れるか?」が判断基準になる。
 同じ販売でも、新規獲得とリピート育成の担当者では、与えられているノルマが異なる。新規獲得は効率の良いメディアで獲得しやすいお客様をその場限りの施策で取ることになりがちだ。新規獲得担当者にとってはそれが自分のノルマだから。一方リピート担当者は新規獲得したお客様が1回の購入だけで、リピート商材に振り向くこともないお客様ばかりでは、自分のノルマは果たせない。
 社内の業務が細分化されればされるほど、皆それぞれ自分のポジションの使命を最優先に考える。そうなると多くの場合お互いの業務に対して無関心か、あまり深く干渉せずにお茶を濁すか、ということになる。これではあまり良い結果にはならない。問題点は立場の違いを乗り越えて、徹底議論し、解決策を見出さなくてはならない。つまり本来自分たちのブランドが育成したいお客様はどんなお客様か、どんな商品をどんな方法で届けるか、という基本戦略から議論しなくてはならないこともあるかもしれない。
 商品開発担当も販売担当も、「お客様のために」「お客様の役に立つ」「お客様に喜んでもらう」「お客様の希望を叶える」が目的ならば、一体となって業務を遂行できるはずだ。もしそれが機能しなくなっているとしたら大きな問題だ。それこそ企業の成長を遅らせ、組織をダメにする最大の要因になりかねない。各業務の目標を本来のシンプルな最終目的に置き換えて、「お客様のため」という錦の御旗を掲げ、全員が実力を発揮すれば、時代に乗り遅れない商品を、適切な形でお客様に届けることができるはずだ。
 そのためには本音をさらけ出した十分な話し合いが不可欠だと思う。立場や役職の上下による忖度を廃した話し合いをすべきだ。弊社では、通常の会議スタイルではなく、「全員平等、忖度なし、無礼講スタイルのブレインストーミング」をおすすめしている。真に理解しあうためには、時間も手間暇もかかる。その時間を生み出せないとしたら、本当にお客様に支持されるブランドになれるのだろうか? 時間不足の昨今、深く考えさせられる問題だ。

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