「週刊粧業新聞」 1月13日号に、代表取締役 鯉渕の『激変するコスメマーケット 第103回 美容意識の格差を見極めよう!』が掲載されました!
本文は、下記の通り。
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『激変するコスメマーケット』
第103回 美容意識の格差を見極めよう!
化粧品を開発する時、ターゲットとなるお客様の年齢や肌悩み、ライフスタイルや購買行動などを調査分析して、どのようなニーズにどんな方法で応えていくのかを最初に考えると思う。そのためまずは加齢のレベルや肌質&肌悩みからアプローチを考えるのが通常の進め方だ。
ところが最近、私はこの手法だけでは「難しい」と考えている。弊社では多くのお客様に会って、インタビューをし、写真撮影をしてきたからこそ感じている現象だ。
確かに10年くらい前までは、おおよそその年代等でお客様を分類すると、肌悩みが顕在化する時期やスピードに共通項が見出せた。ところが最近ではそれだけでは、お客様を部類できないことに気が付いた。
その理由は、お客様の「美容情報」への接触の度合いでかなりの差が出るからだ。例えば同年代でも、何かのきっかけで美容に興味を持つようになったとする。その後はいろいろな情報を検索して調べることを繰り返す。スマホの時代はいとも簡単だ。そして良い情報が見つかれば、試してみることになる。それを何度も繰り返すうちに、自分に合ったお手入れ方法が見つかれば、肌状態も安定して改善されていく。
そうすると自分自身に自信が出てきて、精神的にも若々しさを取り戻し、何もしていない同世代と比較すると、見た目にも明らかに大きな差が出てくる。要は「美容意識の有り無しの差が、よりきれいになるか、加齢に応じた素のままか」の差に直結している。そのため同年代でも、同じようなニーズがある訳ではなく、同じレベルの情報を欲しがっている訳ではないのだ。
化粧品販売の立場から考えると、年代などから思い込みでアプローチすると、お門違いの情報提供になってしまうこともある。そのように考えると、化粧品販売で最も大事なことは、まずお客様の「美容への価値観」を見極めることが必要なのだと思う。最近重視される「パーソナル対応」「一人ひとりに寄り添う対応」が不可欠になる。つまり接客において、お客様の美容意識のレベルを早く見極めることが大変重要になる。安易に年齢別のペルソナ像等を設定し、それに頼り切っていると思わぬ墓穴を掘ることもある。
しかしブランドとして、ターゲットとなる基本のペルソナ像はしっかり定めて、基本の顧客イメージを設定しておかないとそれはそれで困ることになる。要は自社のお客様はどんな人か、なぜ購入してくれるのかなど、ロイヤル顧客イメージをよく定めて、一人ひとりのお客様にはパーソナル対応で、個々人の美容意識に寄り添う必要がある。
今日のお客様は、情報が溢れる中で「検索」機能を使いこなすことで、自らの意思で必要な情報を手に入れることができるようになった。それがきっかけで、より関心を深めたり、自分の行動を変化させたり、選択肢が大きく広がった。美容についてもそれは当てはまり、美容意識についての関心レベルの差が、より大きなニーズの差に出てくるようになった。ペルソナ像を設定する時には、この美容意識と情報接触についてより重要度を高くしても良いと思う。
お客様はちょっとしたきっかけで、美容に興味を持ち、自分への投資として、高い美容意識を持ち始める方々もいるので、お客様に目覚めていくきっかけとなる情報提供は重要だ。
化粧品を売る前に、まずは情報を提供して、お手入れの必要性を説き、そのメリットをお話しして、商品を説明、しっかりと使い方をアドバイスする、これが化粧品販売の基本のキであることに変わりはない。