なぜ、化粧品は自己流に戻ってしまうのか?お手入れ習慣という落とし穴

新しいことを習慣にするのは、思っている以上に難しいものです。スキンケアやメイクも同じで、どんなに魅力的な商品でも、気づけばいつもの自己流に戻ってしまう――そんな経験はないでしょうか。そこには、化粧品そのものではなく、「お手入れ習慣」という見えにくい落とし穴があるように思います。今回のコラムは、『週刊粧業』9月6日号に掲載された「激変するコスメマーケット vol.11」です。ぜひご覧ください。

週刊粧業
化粧品、日用品(トイレタリー製品、石鹸洗剤、歯磨き等)、医薬品、美容業、装粧品、エステティック等を中心とした精算・流通産業界の総合専門紙として、日々変化する業界の最新動向を伝えています。

忙しい人向け|対談で学ぶ〝21日間ルール_化粧品の習慣ビジネス

忙しくてなかなか文章を読む時間がない方向け、スキマ時間に聞くだけで学べる音声版をご用意しました。

習慣は、わかっていても変えられない

有名なスティーブン・R・コヴィー博士の「7つの習慣」を学び始めたが、なかなか読み進められない。

読むだけでも一苦労だが、意味を解釈して実行に移すとなると、本当にたいへんだ。「学び」などという大それたことでなくとも、たとえば食生活を反省して、ダイエットにチャレンジしても毎回リバウンドしてしまうし、掃除は毎日こまめにしたいと思っても3日坊主になってしまう。

とにかく身についた「生活習慣」を変えるのはとてもたいへんで、それなりの「覚悟」がいることなのだ。

人間は「21日間1」同じ行動を続けると、新しい習慣として身につくと言われているらしいので、心を入れ替えてもう少し頑張らなくてはと思っている。

習慣といえば、スキンケアやメイクのお手入れ手順も「生活習慣」の1つだ。特に私のような中高年になると、長い間に身についたお手入れ手順の習慣はなかなか変えられない。

化粧品は「モノ」だけでなく「使い方」も一緒に売っている

たとえば基礎ケアの3ステップが面倒臭いから「オールインワン」に切り替えようと人気のブランドを購入しても、しばらく使っているうちに何か物足りなくなり、結局化粧水も使ってしまったりする。

「W洗顔不要2」という売込みに引き付けられて購入した「クレンジング」なのに、しばらくすると、もう一度石鹸でW洗顔をしてしまったりしている。こんな経験を持つ人は、たぶん私だけではないはずだ。

そのように考えると、化粧品の「お手入れ手順」はとても大切なルールだと思う。化粧品はプロダクトとしての『物』を販売するだけでなく、お手入れ手順やお手入れ方法という「習慣」も含めて販売しているのだと、あらためて気づかされる

続けたくなる仕組みがあれば、習慣は変えられるかもしれない

それならば、化粧品を販売する際にも、この「21日間」の法則が有効なのではないかと思う。ご購入から21日間、喜んでお使いいただけるような特別な方法や、21日の間にこの製品を続けたい(使用方法も含めて)と強く思っていただける理由があれば、継続購入の動機付けになるのではないかと思う。

つまり、新しい商品を販売する時に、あるいは新規顧客開発をする時に、あらかじめ設定した「21日間プログラム」を提供してはどうか? ということである。

楽しくなって、ついつい続けてしまうようなゲーム感覚の「お手入れ日記」や、お手入れのたびに肌がきれいになっていくことを実感できる「自分へのきれいの褒め言葉」カレンダーなどがあったら面白い。

化粧品販売の施策としては「邪道」かもしれないが、人はちょっとした励ましや、嬉しい言葉で、心がうきうきするものだ。せっかく使っていただくなら、楽しくきれいになっていただきたいではありませんか。

株式会社フォー・レディー 代表
鯉渕 登志子

フォー・レディーは、化粧品を“モノ”としてではなく、生活の中に根づく「使い方」や「習慣」ごと設計することで、継続につながるコミュニケーションをご提案しています。

用語解説

  1. 21日間の法則―人は同じ行動を約21日間続けることで、新しい習慣として定着しやすくなるという考え方。行動変容や生活改善の分野でよく引用され、継続の設計を考える際の目安とされる。 ↩︎
  2. W洗顔不要—クレンジング後に洗顔料を使わず、1回でメイク落としと洗顔を兼ねる設計。「不要」と頭では理解していても、習慣的に洗顔を重ねてしまう例が多い。 ↩︎

深掘りQ&A

化粧品を“続けてもらう”ために、企業側にできることは何でしょうか?

商品の説明だけで終わらせず、「どう使い、どう続けるか」まで含めて伝えることです。お手入れ手順や気持ちの変化をサポートする工夫が、新しい習慣づくりにつながります。

このコラムが伝えたい一番のポイントは何ですか?

化粧品は「モノ」を売って終わりではなく、使い続けるための習慣まで含めて考える必要がある、という視点です。その視点に立つことで、商品もお客様との関係も、長く育てていけるのではないでしょうか。

ABOUT US
株式会社フォー・レディー 代表 鯉渕登志子
日本大学芸術学部卒業後、アパレル業界団体にてファッション経営情報誌の編集に携わり、カネボウファッション研究所を経て、1982年に株式会社フォー・レディーを設立。これまで手がけた化粧品・ファッション通販企業は180社を超えます。一貫して「女性を中心とした生活者ターゲット」に寄り添い、消費者の実感から発想することを信条としています。 「自分が使って心から納得できるものを届ける」というポリシーのもと、コンセプト設計からクリエイティブ制作までを一貫して行っています。また、日本通信販売協会などでの講演実績も多数あり、生活者視点のマーケティングを広く発信しています。

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