自社製品を使っていますか?化粧品メーカーに求められる「愛用者視点」とは

通販化粧品企業にとって、「自社製品を本当に使っているか」は、売上や顧客満足度に直結する重要なテーマである。広告制作やコールセンター、販売現場に至るまで、製品を実際に使っているかどうかで、言葉の説得力やお客様への伝わり方は大きく変わる。今回のコラムは、『週刊粧業』7月20日号に掲載された「激変するコスメマーケット vol.23」です。

週刊粧業
化粧品、日用品(トイレタリー製品、石鹸洗剤、歯磨き等)、医薬品、美容業、装粧品、エステティック等を中心とした精算・流通産業界の総合専門紙として、日々変化する業界の最新動向を伝えています。

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自社製品を使うことは、仕事のスタートライン

我が社では広告制作のお手伝いをさせていただく時は、必ず全社員でお得意先様の化粧品を試用させていただくことにしている。これは33年前の創業時から変わらないルールにしている。そのため私自身も全部のお得意先様の製品は、必ず一度は試用させていただいている。

もちろんお取引がスタートして実際に広告制作を担当させていただく社員は、よほど「肌に合わない」等の理由がない限り、引き続き自分の得意先の製品を愛用していることが多い。というのも化粧品は使ってみて実感することがとても大事だと考えているからだ。モノとしての化粧品はいわば「半完成品」、きれいになるために使用して初めて価値を生み出す製品だからである。

ところが最近ある通販化粧品のコールセンターで調べたところ、「自社製品を使っていない」という女性スタッフが多いことにとても驚かされた。実際に製品を使わずに、どうやって良さを伝えられているのだろうと思ってしまう。

お客様とお話をして販売するのであれば、特長や効果はもちろんのこと、実際に使ってみないと表現できないテクスチャーや使用感、競合他社製品との違いまで把握していなければ正確な情報をお伝えすることは不可能なのではないだろうか。

使っていない人に、商品の良さは伝えられるのか

数多くの化粧品メーカーの方の中には、たまに「商材として化粧品を扱っているが、本当はあまり興味がない」という方に出会うこともある。特に年配の男性管理職等に多いのだが、販売現場の女性スタッフでもそうなのかと唖然としてしまった。

外部の制作会社である私たちでさえ、お得意先様の製品を必ず使い、自分の肌で実感しなければ、魅力的な販促企画やヒットコピーが思いつかず、その製品ならではのオリジナリティのある販促ツールをつくることはできない。販売している会社の社員なら、なおのこと自社製品への思い入れが希薄だと、日々の業務を通じて、それがお客様に伝わってしまうのではないだろうか。

自社製品を愛用する社員こそ、最大のブランド資産

例えば、業績好調な化粧品メーカーでは、社員たちの美容に対する考え方や自社製品へのこだわりがとても強く、会社内はいつも製品の話が飛び交っている。開発担当ではなくても自分たちの「欲しい、使いたい!」を叶えたいという、一人ひとりの熱い想いが伝わってきて非常に面白い。

あるメーカーでは社員が自分自身の肌悩みを解消すべく、自社製品を使った日々のスキンケアで肌がきれいになっていく過程を情報誌などで公開している。

スタッフが誌面に登場するのは当たり前、自宅で製品を使用する様子や独自の「裏ワザ的使い方」も紹介している。

化粧品会社の女性社員は仕事では供給側にいるが、同時に消費者にもなれる利点がある。自社のスタッフがイチ消費者の立場からお客様と同じ悩みを共有したり、自社製品のこだわりや良さを実感できることが強みでもある。

化粧品業界に限らず、ビジネスの基本ともいえる『お客様目線』に立てるかどうかは、スタッフ一人ひとりがイチ消費者の気持ちになれるかどうかであり、化粧品メーカーでいえば、その第一歩が「自社製品を愛用しているか」ということであると思う。

ぜひあらためてあなたのまわりのスタッフに、自社製品を愛用しているかどうか問いかけて欲しい。

株式会社フォー・レディー 代表
鯉渕 登志子

自社製品をどう語るかは、企業の姿勢そのものが表れます。株式会社フォー・レディーは、制作の前に、「本当に伝えたい価値は何か」「現場でその言葉が使われているか」を、丁寧に整理することからご一緒しています。

深掘りQ&A

自社製品を使っていない社員がいるのは、なぜ問題なのでしょうか?

問題は「使っていないこと」そのものではなく、なぜ使われていないのかが、社内で共有されず、そのままになっていることにあります。忙しさや習慣、伝え方の不足など、背景には必ず理由がありますが、それが整理されないままでは、製品をどう語るかという言葉も育ちません。

全社員が自社製品を愛用するのは、現実的に難しくありませんか?

無理に「全員が同じ使い方をする」必要はありません。大切なのは、自分なりに使い、感じたことを共有できる状態をつくることです。合わなかった点や違和感も、実はお客様の声と重なる重要なヒントになります。

自社製品への思い入れを、どうすれば組織として育てられますか?

研修やスローガンよりも先に、日常業務の中で製品について話す“余白”をつくることが重要です。情報誌、社内共有、現場の会話など、小さな積み重ねが、「語れる組織」「伝わる組織」につながっていきます。

ABOUT US
株式会社フォー・レディー 代表 鯉渕登志子
日本大学芸術学部卒業後、アパレル業界団体にてファッション経営情報誌の編集に携わり、カネボウファッション研究所を経て、1982年に株式会社フォー・レディーを設立。これまで手がけた化粧品・ファッション通販企業は180社を超えます。一貫して「女性を中心とした生活者ターゲット」に寄り添い、消費者の実感から発想することを信条としています。 「自分が使って心から納得できるものを届ける」というポリシーのもと、コンセプト設計からクリエイティブ制作までを一貫して行っています。また、日本通信販売協会などでの講演実績も多数あり、生活者視点のマーケティングを広く発信しています。

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