売れた後が肝心!スペシャルケア参入後のリピートと展開の鍵

競合が激しい基礎ケア市場を避け、スペシャルケア製品で通販に参入する企業が増えています。新規獲得では手応えがあるものの、継続購入につながらないという悩みも。この壁を乗り越えるために必要なのは、製品力と戦略的クロスセルの視点です。今回のコラムは、『日本流通産業新聞』9月13日号に掲載された「強い通販化粧品会社になるために 基礎講座Q&A vol.6」です。ぜひご覧ください。

日本流通産業新聞
通販・ネットビジネス・健康食品・美容業界などの最新動向を専門的に取り上げる業界紙です。実務に直結する情報を多角的に発信し、多くのビジネス関係者に支持されています。

忙しい人向け|対談で学ぶ〝参入後のリピート展開の鍵〟

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まずは正解!スペシャルケアで始める通販のメリット

参入して間もない通販化粧品会社
担当者

競合が多い基礎ケア商品から通販化粧品に参入するのは難しいと考えて、スペシャルケア製品から事業をスタートしました。新規顧客開発は最初から反応が良く、販路を拡大しようと考えたのですが、最初のお客さまのリピート注文が振るわず、今後に不安を抱えています。

最近の新規顧客開発において、基礎ケアを売ることが大変難しくなっています。特にラインナップでそろえて販売することは至難の業といえます。つまり、お試しセット1を1000円前後で販売して、その後ラインで複数点数を購入していただこうとしても、まったく動かないのが現状です。そのため、ご相談者のように「スペシャルケア製品」で参入したことは、正しい選択の一つだったと言えるでしょう。

なぜなら、スペシャルケアならば製品の個性や特徴をより際立たせてアピールすることができるので、広告媒体で販売する新規顧客開発ではインパクトを出しやすいからです。

リピートの壁を越えるには「実感」と「納得」

しかし、問題はリピート購入を続けていただくことができるかどうかです。お客さまのニーズを引き出して、継続してご使用してもらうことをうまく推奨できるかどうかがポイントになります。これは、お客さまの使用実感と必要性に判断が委ねられることになるので、ストレートに製品力が問われることになるでしょう。

スペシャルケア製品で高いリピート率を誇るためには、どこで販売しても人気のヒット商品になるような満足度の高い製品作りが必要になってきます。では、ビジネス効率を考え、スペシャルケア製品で新規開発したお客さまに、デイリーの基礎ケアを売ることを考えた場合、これもかなりの努力が必要です。

スペシャルケア製品の効果や使用感を感じたお客さまに、デイリーの基礎ケアを勧められて満足感を得られるかというと、期待値が高まっているだけに、評価は厳しくなりがちです。つまりスペシャルケア製品から通販化粧品に参入した場合は、最初に完成度の高いすぐれたスペシャルケア製品を販売し、なおかつ続けてもらって、完成度の高い基礎ケア製品をヒットさせなければならないのです。

ファン化が「リピート」「クロスセル」、すべてをつなぐ

セオリー通りにデイリーの基礎ケアから参入した場合も今日では厳しい道が待っています。何しろお客さまの化粧品の購入の仕方が変化してしまったからです。特に最近は、単純に基礎ケアがラインナップで売れるということが少なくなりました。基礎ケアの中でも、まず個性的な代表製品で新規開発し、さまざまな施策や囲い込み2でお客さまをじっくり育て、定期的に購入するファンになってもらいます。それからスペシャルケア製品を買ってもらえるようにリードしていくことが不可欠です。

つまりスペシャルケアからスタートしても、デイリーケアからスタートしても、お客さまにクロスセルできる製品力を持たなければ、お客さまから継続的な支持を得ることはできないのです。

株式会社フォー・レディー 代表
鯉渕登志子

「新規は取れるんだけど、次につながらない」そんなお悩みに、私たちが一緒に並走します。製品の“魅せ方”と“育て方”、両方に強みがあります。スペシャルケア製品から始めた企業様の支援実績も多数ありますので、ぜひご相談ください。

用語解説

  1. お試しセット-初回限定価格で提供される体験用セット。 ↩︎
  2. 囲い込み-定期購入や会員制度などで、他ブランドへの流出を防ぐマーケティング手法。 ↩︎

深堀り!Q&A

スペシャルケア製品から参入する場合と、デイリーの基礎ケア製品から参入する場合、どちらのアプローチでも共通して求められる成功の鍵は何ですか?

どちらのアプローチで通販化粧品事業に参入したとしても、お客さまから継続的な支持を得るためには、お客さまにクロスセルできる「製品力」長期的に支えてくれる「ファン」として育成することが、事業継続の重要な鍵となります。

ABOUT US
株式会社フォー・レディー 代表 鯉渕登志子
日本大学芸術学部卒業後、アパレル業界団体にてファッション経営情報誌の編集に携わり、カネボウファッション研究所を経て、1982年に株式会社フォー・レディーを設立。これまで手がけた化粧品・ファッション通販企業は180社を超えます。一貫して「女性を中心とした生活者ターゲット」に寄り添い、消費者の実感から発想することを信条としています。 「自分が使って心から納得できるものを届ける」というポリシーのもと、コンセプト設計からクリエイティブ制作までを一貫して行っています。また、日本通信販売協会などでの講演実績も多数あり、生活者視点のマーケティングを広く発信しています。

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