「お肌のお手入れ」は何のため? 美容を“整える習慣”から考える

毎日のスキンケアを自分を整える習慣として捉える美容ルーティン

毎日のスキンケアは、肌をきれいに保つためだけのものなのでしょうか。続けるうちに習慣となる「お手入れ」は、気持ちを切り替え、自分自身を整える時間にもなっています。化粧品を単なる商品ではなく、心地よい毎日をつくる「ルーティン」として捉え直すと、お客様への提案のヒントが見えてきます。今回のコラムは、『週刊粧業』2023年6月5日号に掲載された「激変するコスメマーケットvol.85」です。

※本コラムは2023年当時の状況を前提に執筆しております。現在と異なる情報を含む可能性がありますが、課題の捉え方や発想のヒントとしてご活用いただければ幸いです。

週刊粧業
化粧品、日用品(トイレタリー製品、石鹸洗剤、歯磨き等)、医薬品、美容業、装粧品、エステティック等を中心とした生産・流通産業界の総合専門紙として、日々変化する業界の最新動向を伝えています。

忙しい人向け|対談で学ぶ〝美容は「自分を整える」小さな儀式〟

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「なぜ毎日お手入れをするのか?」から美容習慣を考える

私たち女性は青春時代から「お肌のお手入れ」について何の疑問を持たずにやってきたと思う。それは「ボーッと生きている」ことになるのではないかと反省し、改めて「私たちはなぜ毎日お肌のお手入れをするのか?」を考えてみた。もちろんスキンケアだけでなくメイクも含めたお手入れのことだ。ノンメイク派からは「メイクはお手入れとは言わない」と言われるだろうが、広く捉えてもらいたい。

まず私に限って言えば、お手入れは「身だしなみ」「毎日の習慣だから」が正直な答えだ。若い時は「少しでもきれいになりたい」という欲望もあったが、長年お手入れをしてきた割には、あまり代わり映えしない気もする。習慣化しているため段取りの手際は良くなったと思う。使う商品、使う量、使い方も決まっており、メイクの失敗は少なくなった。今や毎日の習慣になっており欠かすことはできない。お手入れをさぼった日や手抜きをした日はなんとなく後ろめたいし、お手入れが不足しているとその日一日のモチベーションが上がらない気がする。

スキンケアを「自分を整える習慣」として捉え直す

そんなことを考えていたら、順天堂大学医学部教授で自律神経研究の第一人者、小林弘幸氏の『整える習慣』という本を見つけた。先生の教えによれば、「毎日小さなストレスによるダメージを回避して、心地よく、気分良く、面白いと感じる瞬間を多く作り出していくと、希望を持ってイキイキと生きる状態が生み出される。そうすると自分が持っている能力や実力を最大限に発揮することができる」らしい。そんな「ストレスの無い心地よい日々を過ごす」ためのノウハウがたくさん紹介されている。「窮屈な服や靴は選ばない」「シャツは白一択」というのもある。

毎日のお手入れもこれにあてはめて「整える習慣」と考えれば、取り組み姿勢も変わってくるかもしれない。自分にとってストレスのない心地よいお手入れを考えてみた。まずお手入れの環境だ。曇りがなくよく映る大きな鏡、肌の状態が良く見えるような照明、肌ざわりが心地よいタオルやヘアバンド、化粧品は開けやすく使いやすい容器、中身を出しやすいことが必須の条件だ。迷わず適量が出せることも不可欠、そして手に取りやすくこぼれない中身(バルク)、その瞬間に好みの香りがほのかに漂う、肌に乗せるとしっとりとしてベタベタしない。時間が経過してもしっとり感が維持されてお肌がプルプル。メイクにも不都合はなく、ファンデーションもポイントメイクも楽に塗れる。その上、クレンジングや洗顔はするっと落ちる。翌朝もふっくら感を充分に実感する。こんなお手入れの時間を過ごすことが出来たら、気分の良い毎日を過ごすことができて、少なくともお手入れのストレスはなくなりそうだ。

「マイ・ブランド」にしてもらうためのお手入れ方法の提案

化粧品とそのお手入れで、心を整え、自律神経が安定して穏やかな日々を過ごすことができれば、メンタルの不調や体調へのダメージを少なくすることができるのではないか? そう考えると、化粧品は「自分を整える」ためにとても大きな役割を果たす。お手入れは「ベストコンディションの私を取り戻すための儀式」になるので、目的が明確になってくる。そうなれば化粧品も自分にとって無くてはならない「ルーティン商品」になる。商品を購入すると同時に、この心地よいお手入れ方法も手に入れることができれば、お手入れの時間は「私を整えるルーティン」になり、化粧品はお気に入りの「マイ・ブランド」になる。やはり化粧品は「お手入れ方法の提案」を付加して販売するべきだと思う。

【関連コラム】毎日無理なく続けられる「お手入れの時間」も提案することで、商品はお客様の生活に定着しやすくなります「『お肌のお手入れ』は何のため? 美容を“整える習慣”から考える」もあわせてご覧ください。

株式会社フォー・レディー 代表
鯉渕 登志子

初回の出会いから、お手入れ方法を繰り返し届けることは、商品の価値実感と習慣化を支え、ブランドへの愛着を育てる大切なCRMです。フォー・レディーは、商品を「使い続けたい」に変えるコミュニケーション設計をお手伝いします。

深掘りQ&A

毎日のスキンケアは、なぜ「習慣」になりやすいのでしょうか?

朝起きた後や入浴後など、毎日ほぼ同じタイミングで行う行動だからです。
習慣は、特定のきっかけと行動が繰り返し結びつくことで定着していきます。スキンケアの場合、「洗顔したら化粧水」「お風呂から出たらクリーム」といった生活行動とセットになりやすいのが特徴です。化粧品そのものだけでなく、「いつ・どの順番で・どのくらい使うか」まで提案することが習慣化を後押しします。

商品の効果が高ければ、自然と使い続けてもらえるのでは?

効果への期待だけでなく、「面倒なく続けられること」も重要です。
どれほど魅力的な商品でも、容器が使いにくい、使用量が分かりにくい、工程が多いなど、小さなストレスが積み重なると継続のハードルになります。逆に、迷わず使えて気持ちよくお手入れを終えられる商品は、毎日の生活に入り込みやすくなります。「効くか」だけでなく「続けやすいか」も商品価値の一つと言えます。

AUTHOR
日本大学芸術学部卒業後、アパレル業界団体にてファッション経営情報誌の編集に携わり、カネボウファッション研究所を経て、1982年に株式会社フォー・レディーを設立。化粧品・ファッション通販企業の支援と、生活者視点のマーケティング発信に取り組んでいます。

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