「通販だからシンプル」でいい?――“伝える力”を持つパッケージを

通販化粧品の成長とともに、製品の「見た目」にもお客さまの視線が集まるようになってきました。通販だからこそ、第一印象を決める「パッケージ」にこだわる必要があります。本記事では、パッケージを“こだわりを語るメディア”と捉え、通販化粧品にふさわしいパッケージ戦略について考えます。今回のコラムは、『日本流通産業新聞』10月18日号に掲載された「強い通販化粧品会社になるために 基礎講座Q&A vol.7」です。ぜひご覧ください。

日本流通産業新聞
通販・ネットビジネス・健康食品・美容業界などの最新動向を専門的に取り上げる業界紙です。実務に直結する情報を多角的に発信し、多くのビジネス関係者に支持されています。

忙しい人向け|対談で学ぶ〝パッケージでこだわりを伝える〟

忙しくてなかなか文章を読む時間がない方向け、スキマ時間に聞くだけで学べる音声版をご用意しました。

通販も“見た目”が重要視される時代へ

通販化粧品会社
担当者様

通販化粧品事業を数年前に立ち上げました。 最初はネット販売でしたが、徐々にお客様が増えて、 今はマス媒体広告も始めています。 最近お客さまから寄せられるお声に 「パッケージが安っぽい」というご意見が多くなってきました。 今後どのように修正していけばよいでしょうか。

十数年前、大手の店頭メーカーさんが初めて通販化粧品ブランドを作った時に、 「通販化粧品のパッケージはダサいものでないといけないの?」 と問われたことがありました。 私は「エコロジーやコスト削減を目標にすると結果として、 店頭化粧品よりも簡素なパッケージになっているだけだ」と答えました。 当時マイナーな存在だった通販化粧品各社は、 「容器にお金をかけずに、内容(成分)にお金をかける」と言っていたころです。

しかし現在、通販化粧品は 店頭メーカーと遜色のない化粧品として広く消費者に認識されています。 店頭販売をしている商品も多くなりました。 そのため、通販化粧品のパッケージも 「コスト削減、配送都合、エコロジー」だけを言い続けても 説得力がないような気がします。 化粧品は成分や効果、使用方法が大事なことはもちろんですが、 パッケージデザインも商品の一部と考えたいものです。 つまり製品への「こだわり」を 分かりやすく伝える“メディア”としての役割が不可欠だと思います。

リピートの壁を越えるには「実感」と「納得」

しかし、問題はリピート購入を続けていただくことができるかどうかです。お客さまのニーズを引き出して、継続してご使用してもらうことをうまく推奨できるかどうかがポイントになります。これは、お客さまの使用実感と必要性に判断が委ねられることになるので、ストレートに製品力が問われることになるでしょう。

スペシャルケア製品で高いリピート率を誇るためには、どこで販売しても人気のヒット商品になるような満足度の高い製品作りが必要になってきます。では、ビジネス効率を考え、スペシャルケア製品で新規開発したお客さまに、デイリーの基礎ケアを売ることを考えた場合、これもかなりの努力が必要です。

スペシャルケア製品の効果や使用感を感じたお客さまに、デイリーの基礎ケアを勧められて満足感を得られるかというと、期待値が高まっているだけに、評価は厳しくなりがちです。つまりスペシャルケア製品から通販化粧品に参入した場合は、最初に完成度の高いすぐれたスペシャルケア製品を販売し、なおかつ続けてもらって、完成度の高い基礎ケア製品をヒットさせなければならないのです。

ファン化が「リピート」「クロスセル」、すべてをつなぐ

セオリー通りにデイリーの基礎ケアから参入した場合も今日では厳しい道が待っています。何しろお客さまの化粧品の購入の仕方が変化してしまったからです。特に最近は、単純に基礎ケアがラインナップで売れるということが少なくなりました。基礎ケアの中でも、まず個性的な代表製品で新規開発し、さまざまな施策や囲い込みでお客さまをじっくり育て、定期的に購入するファンになってもらいます。それからスペシャルケア製品を買ってもらえるようにリードしていくことが不可欠です。

つまりスペシャルケアからスタートしても、デイリーケアからスタートしても、お客さまにクロスセルできる製品力を持たなければ、お客さまから継続的な支持を得ることはできないのです。

株式会社フォー・レディー 代表
鯉渕登志子

「新規は取れるんだけど、次につながらない」そんなお悩みに、私たちが一緒に並走します。製品の“魅せ方”と“育て方”、両方に強みがあります。スペシャルケア製品から始めた企業様の支援実績も多数ありますので、ぜひご相談ください。

深堀り!Q&A

スペシャルケア製品から参入する場合と、デイリーの基礎ケア製品から参入する場合、どちらのアプローチでも共通して求められる成功の鍵は何ですか?

 どちらのアプローチで通販化粧品事業に参入したとしても、お客さまから継続的な支持を得るためには、お客さまにクロスセルできる「製品力」長期的に支えてくれる「ファン」として育成することが、事業継続の重要な鍵となります。

ABOUT US
株式会社フォー・レディー 代表 鯉渕登志子
日本大学芸術学部卒業後、アパレル業界団体にてファッション経営情報誌の編集に携わり、カネボウファッション研究所を経て、1982年に株式会社フォー・レディーを設立。これまで手がけた化粧品・ファッション通販企業は180社を超えます。一貫して「女性を中心とした生活者ターゲット」に寄り添い、消費者の実感から発想することを信条としています。 「自分が使って心から納得できるものを届ける」というポリシーのもと、コンセプト設計からクリエイティブ制作までを一貫して行っています。また、日本通信販売協会などでの講演実績も多数あり、生活者視点のマーケティングを広く発信しています。

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