通販化粧品の情報誌は、新規のお客さまに基本のお手入れを伝える役割もあれば、長年ご愛顧くださる方には新鮮さや付加価値を感じていただく必要もあります。すべてのお客さまに満足していただける誌面は、どのようにして実現できるのでしょうか。今回のコラムは、『日本流通産業新聞』6月11日号に掲載された「強い通販化粧品会社になるために 基礎講座Q&A vol.27」です。ぜひご覧ください。

日本流通産業新聞
通販・ネットビジネス・健康食品・美容業界などの最新動向を専門的に取り上げる業界紙です。実務に直結する情報を多角的に発信し、多くのビジネス関係者に支持されています。
美容暦と年代別の情報提供で“また同じ”を防ぐ

通販化粧品を始めて10年目。創業当時から情報誌を作っているのですが、長くご愛顧いただいているお客さまから「掲載内容がいつも同じ」と指摘されてしまいました。しかしそれらは新しいお客さまには伝えたいことばかり。お客さまの区分によって情報誌を分けた方がよいでしょうか?
お客さまのロイヤルティーによって、提供する情報には違いがあります。
新しいお客さまには、まず基本のお手入れを紹介しなければなりません。これを情報誌で毎号紹介していると、当然ですが「またか」というお声も挙がってきます。
そこで、お勧めなのが「保存版 お手入れブック1」を提供することです。基本となるお手入れを丁寧に紹介した冊子をコンセプトブックなどと一緒に、ファーストコンタクトの際にお送りするのはどうでしょう。それ以降は、リマインドのためにも年1~2回程度、内容をレベルアップしてお送りするとよいでしょう。
その上で情報誌はシーズン性に特化してみてはいかがですか。肌トラブルは季節の気候の変化に起因することが多く、夏には夏、冬には冬のお手入れが必要だからです。この季節による肌悩みと商品特性に合わせたシーズンごとのお手入れを組み合わせることで、冬は保湿、夏は美白のようにどんな人にもマッチする普遍的なテーマが出来上がるはずです。これを年間の「美容暦2」と呼びます。
それに“今年らしい” “スペシャルな”情報を盛り込み、新しい記事へと仕立てていくのです。美容ジャーナリストとしての視点を持って情報をアレンジしていけば、「毎号同じ」にはならないはずです。
販促と連動させて「買い物の楽しさ」を提供

飽きさせない工夫として、お客さま参加型にするのも有効的です。きれいになったお客さまのお喜びの声や、メークによる変身企画、お客さまオリジナルのこだわりの使い方などは、年代を問わず人気が高いコンテンツです。自分と同じ立場のお客さまが登場することで信頼感・安心感が生まれ、身近な例を見聞きすることで自分もこうなりたい、という仲間意識が芽生えます。ブランドへのロイヤルティーの高いお客さまに登場してもらえば、熱心に商品の良さを語ってくれます。
そして、これらの記事を販促施策に結びつけることも大変重要です。お客さまはいつも「いいものをお得に買えた!」という買い方を願っています。販促とうまく結び付ければ、キレイになる喜びに加え、「買い物の楽しさ」も感じていただけるので、売り上げを大きく左右します。
ちなみに年間計画の「美容暦」には日常生活における歳時記的なイベント(卒業、花見、母の日など)も盛り込んでおくと、販促案づくりに役立ちます。
このほか上得意客さまには、特別専用コールやウェブとの連動による、肌悩みについてのカウンセリングなどを行うのもよいでしょう。通販は極めれば極めるほど、ワン・トゥ・ワン3に限りなく近付いていくものです。一人一人に対応するきめ細やかなサービスによって、お客さまはさらにブランドへの信頼感を高め、生涯のファンとなってくれることでしょう。

年代ごとの肌悩みに合わせた誌面工夫を

通販化粧品では、年齢による区分も大切です。
女性誌を見ても分かるように30代40代と、50代60代とでは肌悩みが大きく異なるため、お客さまの知りたい情報も異なります。お客さま全体の年齢が集中していればよいのですが、お客さまの年齢にバラツキがある場合は、できれば年代別に情報誌を用意したいところ。全ページを変えなくても、一部のページを刷り分ける4という方法もあります。
2冊作るのが難しければ、ページ数を増やし、年代別・悩み別のお手入れ方法、お客さま別の販促施策を条件付きのタイプ区分で掲載するのがよいでしょう。

鯉渕登志子
“読まれる”だけで終わらない、“売り上げにつながる”情報誌を。フォー・レディーは、美容暦の設計から年代別の誌面構成、販促との連動までをトータルにサポートします。お客さまに喜ばれ、ブランドのファンを育て、そして成果へとつながる――そんな情報誌づくりをご提案します。
用語解説
- 保存版お手入れブック―新規顧客向けに、基本的なお手入れ方法をまとめた小冊子。毎号誌面に同じ情報を繰り返す代わりに、最初にまとめて渡すことで「また同じ」と感じさせない工夫になる。 ↩︎
- .美容暦(びようごよみ)—年間を通じて季節ごとの肌悩みやお手入れテーマを整理したカレンダーのこと。たとえば「春=花粉や紫外線対策」「夏=美白・UVケア」「冬=乾燥・保湿」といった形で企画を組み立てる。情報誌や販促計画の基盤となる。 ↩︎
- .ワン・トゥ・ワン(One to One)―一人ひとりの顧客に合わせたパーソナライズされた対応のこと。通販では、顧客属性や購入履歴に応じて情報やサービスを変えることで、信頼感や満足度を高める施策。 ↩︎
- 刷り分け(すりわけ)―同じ情報誌の中で一部のページだけ内容を変えて印刷すること。年代別や悩み別に応じた誌面を効率的に作成できる方法。 ↩︎
















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