初回同梱で役立つ、売り込みにならない販促ツールとは

初めてのお客さまに商品を届けるとき、同梱するツールには何を選ぶべきでしょうか。感謝の気持ちを伝えたい一方で、あまりに販促色が強いと「押しつけがましい」と感じられてしまうことも…。次回の購入につなげたい通販化粧品企業にとって、初回のお届け時はまさに「第一印象」を決める大切な場面です。では、お客さまに自然に受け取ってもらえる“見てもらえるツール”とはどんなものでしょうか。今回のコラムは、『日本流通産業新聞』7月13日号に掲載された「強い通販化粧品会社になるために 基礎講座Q&A vol.41」です。ぜひご覧ください。

日本流通産業新聞
通販・ネットビジネス・健康食品・美容業界などの最新動向を専門的に取り上げる業界紙です。実務に直結する情報を多角的に発信し、多くのビジネス関係者に支持されています。

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通販の同梱ツールは、ビジネス形態によって最適解が変わる

化粧品会社 通販事業担当者

化粧品通販の事業をスタートさせたばかりですが、初回注文のお届け時にどんな販促ツールを入れればいいか迷っています。もちろん次回の売り上げにつなげていきたいと考えていますが、売り込みがしつこいと思われずに、見てもらえるツールとはどんなものでしょうか。

当社では定期的に通販化粧品会社の商品を取り寄せて、どんな同梱物1が入っているかリサーチしています。いまだに多くの販促ツールを同梱する会社もありますが、全体として一時期よりは少なくなってきているようです。それはお客さまから「チラシ類があまりにも多すぎて嫌だ」という反応が出たことと、コスト効率の問題だと思います。 

定期購入2をメインに訴求している会社は、比較的に同梱物は少ないようです。その都度の購入を促している会社は、どうしても販促ツール類が多くなりがちです。また、ラインアップで複数のアイテムを訴求している会社は、商材ごとの解説スペースが必要なので同梱物の量は多くなります。反対に「これ一つ」と一品訴求している会社は、販促の手法もシンプルになり、多くの説明を必要としません。従ってどんな販促ツールを同梱するかは、それぞれの会社のビジネス形態によって変わってくると思います。

まずは自分のビジネスが何を訴求すべきかを考え、それに合った適切な訴求と販促ツールで、お客さまに確実に見てもらえるツール同梱物を目指しましょう。

最低限そろえたい4つの同梱ツール

私が最低限、同梱した方が良いと思う販促ツールは、

①お客さまに購入していただいた感謝の気持ちを表す「挨拶状」

②会社や商品の考え方をまとめた「コンセプトブック3

③商品の使い方を記載した「お手入れ解説」

④次回購入を後押しする「キャンペーン告知」と次回の申し込み用のオーダーフォーム

――などです。

初めて商品を送るときは、いわば「初対面」なので、名刺代わりのあいさつと自社の考え方を紹介するツールは不可欠です。あとはお客さまが商品を使うときに役に立つもの同梱するべきでしょう。

その他のツールとしては、

⑤品ぞろえ型の会社は、全商品を載せた「商品カタログ」

⑥ほかの購入者の使用後の感想が書かれた「お客さまの声」などは、

押し付けにならない程度に参考資料として同梱するべきでしょう。

大幅値引きや過剰な特典は逆効果、ファン育成を優先する

次の購入を促すだめに、キャンペーン告知を強くして、大幅な値引きやいくつもの特典を用意しがちですが、それらは控えた方が良いでしょう。値引きで購入してくれたお客さまは価格に釣られただけで、商品の魅力に釣られたわけではありません。いずれ離脱してしまう可能性が高いものです。まずはお客さまに商品のファンになってもらうことが大切です。

そのためにはお客さまの商品の理解を深めてもらうようなコミュニケーションの仕掛けを作りたいものです。

例えば販促ツールを少なくして電話、メールやウェブの問い合わせ窓口を強調し、コンタクトを取りやすくして、お客さまからご連絡をいただき購入に結び付けます。その場合は「お問い合わせ特典」を設けるなど、会社とお客さまの距離が近くなるような仕掛けを考えてもいいでしょう。

また、リピート客を増やすためには、お客さまに役立つ情報を常にお届けし続けることです。お客さまが自ら買い物をしてくれるようなシステム作りに時間をかけ、インバウンド集客ができるようにしましょう。そうすれば、会社とお客さまが近くなり、ブランドイメージも上がります。

「お客さま目線」でビジネス戦略を考え、あなたの商品のファンを増やしてください。

株式会社フォー・レディー 代表
鯉渕登志子

私たちフォー・レディーは、数多くの通販化粧品企業の成長を支えてきた実績を活かし、「お客さま目線」でのコミュニケーション戦略を構築します。初回の出会いからロイヤル顧客育成まで、長期的な成果に直結する仕組みづくりをご一緒に。

用語解説

  1. 同梱物(どうこんぶつ)-通販で商品を発送する際に、商品と一緒に入れる印刷物やノベルティなどのこと。挨拶状、カタログ、次回購入案内などが代表例。 ↩︎
  2. 定期購入(ていきこうにゅう)-一定の間隔で自動的に商品が届く販売方式。通販化粧品業界では「リピート率」や「継続率」を高めるための重要な仕組み。 ↩︎
  3. コンセプトブック-企業や商品の理念・考え方をまとめた小冊子。ブランドの姿勢や商品開発の背景を伝えることで、お客さまに信頼感や共感を持ってもらう役割がある。 ↩︎

深掘りQ&A

なぜ同梱物は少なくなってきているのですか?

お客さまから「チラシが多すぎて嫌だ」という声が増えたことと、印刷・発送コストの負担が大きいためです。最近は必要最低限に絞る企業が増えています。

お客さまとの距離を縮めるための工夫には何がありますか?

 電話やメール、Web窓口を目立たせて「相談しやすい環境」をつくることです。さらに「お問い合わせ特典」を設けると、自然なコミュニケーションが生まれます。

長期的にリピート客を増やすには?

役立つ情報を継続的に届けることが重要です。単なる販売促進ではなく「お客さまの生活に寄り添うブランド」として認知されることで、自然にリピート購入につながります

ABOUT US
株式会社フォー・レディー 代表 鯉渕登志子
日本大学芸術学部卒業後、アパレル業界団体にてファッション経営情報誌の編集に携わり、カネボウファッション研究所を経て、1982年に株式会社フォー・レディーを設立。これまで手がけた化粧品・ファッション通販企業は180社を超えます。一貫して「女性を中心とした生活者ターゲット」に寄り添い、消費者の実感から発想することを信条としています。 「自分が使って心から納得できるものを届ける」というポリシーのもと、コンセプト設計からクリエイティブ制作までを一貫して行っています。また、日本通信販売協会などでの講演実績も多数あり、生活者視点のマーケティングを広く発信しています。

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