通販化粧品事業をスタートしたものの、広告を出しても新規顧客が増えない…そんな悩みを抱える企業は少なくありません。実は、「良い商品」だけでは売れない時代に突入しているのです。広告表現、入口商品の選定、販促施策の3つの軸で新規顧客獲得のための戦略を解説します。今回のコラムは、『日本流通産業新聞』9月16日・25日号に掲載された「強い通販化粧品会社になるために 基礎講座Q&A vol.15」です。ぜひご覧ください。

日本流通産業新聞
通販・ネットビジネス・健康食品・美容業界などの最新動向を専門的に取り上げる業界紙です。実務に直結する情報を多角的に発信し、多くのビジネス関係者に支持されています。
「売れない」広告から脱却!新規顧客を獲得する3つの鍵

最近、通販化粧品事業をスタートさせ、折り込みチラシやインターネットで広告展開していますが、新規顧客の獲得が思うように進みません。新規顧客を獲得するために必要なポイントを教えてください。
新規顧客を獲得するための最初の広告は、消費者に商品の存在や特徴を認知してもらうための重要なコミュニケーションです。「良い商品さえ作れば、当然売れるはずだ」と商品に自信を持っていても、実際に売れるとは限りません。
広告を出稿しているにもかかわらず、新規顧客を獲得できないのは、御社の商品がお客さまに「どのようなメリットをもたらすのか」、「いますぐに購入しなければならない」と思わせる仕掛けづくりができていないのではないでしょうか?
思わず手が止まる“キーコピー&ビジュアル”の開発がカギ

通販ビジネスの新規顧客を獲得する広告は、お客さまがその広告に共感して、思わず「欲しい」と思わせる表現でなければなりません。そのために最初に考えなければならないことは、「キーコピー&ビジュアル開発」。
膨大な広告の中から認知してもらうためには、既存の広告にはないキーワードやビジュアル開発が必要です。まずコピーに必要なのは、希少性と大衆性の両面を持つことです。希少性とは消費者が「えっ?」と思わず興味を引かれるインパクトのある表現のこと。意外性とも言い換えられます。
大衆性とは、その後よく考えてみれば、多くの消費者が「なるほど!」と納得するような表現ということになります。
さらにビジュアルは、そのコピーを具現化するもの。それがリンクされなければ、アピール力が弱く、インパクトを与えることはできません。コピー内容にもよりますが、新規顧客向け広告のデザインはキーコピー1に合ったイメージで写真、配色などにメリハリをつけ、その商品のブランドイメージを強く印象付けましょう。
多品目より一点突破!新規を引き寄せる商品設計のポイント

二つ目のポイントは、新規顧客開発のための「入り口商品2」。どの商品で新規顧客を獲得するかは、大変重要な選択になります。
通販化粧品各社は基礎化粧品シリーズのお試しセットを販売することが多いですが、最近はその手法ではレスポンス率が悪くなってきています。その理由は、訴求ポイントが分散してしまうからです。1品に絞ることで「シワ」「たるみ」など訴求ポイントが絞り込めます。
その方が、いろいろな商品を掲載して訴求ポイントを分散した広告よりも強さが表現できます。
また、一年中同じ訴求で広告を打ち出すのではなく、女性たちがブランドスイッチしやすい「季節の変わり目」を狙って、季節商品3を打ち出すことも効果的です。
三つ目のポイントは「引きの強い販促施策」。
初回限定の特別価格を設定したり、購入者だけがもらえるプレゼントを付けるなど、すぐに購入意欲を湧かせる販促施策も必要です。なぜなら、女性たちは自分の買い物で「得した!」という満足感を得たいもの。そういう気持ちに応えてあげるような施策を行うことも大切なのです。

売って終わりにしない!継続購入を促すフォロー体制を整える

このような新規顧客開発のポイントを押えながら、新規広告を展開することで、御社の成功パターンが見えてくるのではないでしょうか。また、新規顧客の獲得だけではなく、同時にリピートして使い続けてもらうフォロー体制を整えることも大変重要です。
お客さまの気持ちに沿ったサービスなども充実させれば、次第に新規顧客が増え、リピート客も離脱しないようになり、御社の「顧客拡大」へとつながっていくと思います。

鯉渕登志子
化粧品通販の成功に必要なのは、計画された「伝え方」です。フォー・レディーは広告から販促、継続支援まで一貫してサポートします。
用語解説
- キーコピー-広告や販促物で最も伝えたいメッセージを表す主要なキャッチコピー。読者の注意を引き、商品やサービスの魅力を瞬時に伝える役割を果たす。 ↩︎
- 入り口商品(いりぐちしょうひん)-新規顧客に最初に購入してもらうことを目的とした商品。多くの場合、体験セットや目玉商品などハードルの低い構成で設計される。ブランドとの初接点となるため、その後の継続購入に大きく影響する。 ↩︎
- 季節商品の訴求-季節の変化に合わせた商品や訴求テーマ(例:乾燥対策、美白ケアなど)を用いたプロモーション。顧客の関心が高まりやすく、ブランドスイッチを促す好機とされる。 ↩︎

















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