通販化粧品ビジネスを始める際に欠かせないのが、消費者に選ばれる「強い入り口商品」です。なかでも、時短ニーズと多機能を兼ね備えたオールインワン化粧品は、通販との相性が抜群。シンプルな訴求で広告展開しやすいですが、それだけではヒットにつながりません。今回のコラムは、『日本流通産業新聞』10月10日号に掲載された「強い通販化粧品会社になるために 基礎講座Q&A vol.16」です。ぜひご覧ください。

日本流通産業新聞
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「通販に向いているのは「強い入り口商品」

通販化粧品のビジネスを始めたいと考えていますが、販売する化粧品がまだ決まっていません。すでに市場にはさまざまな種類の化粧品が販売されているため、どのような化粧品がよいか悩んでいます。通販に向いている化粧品はあるのでしょうか。
通販化粧品ビジネスを始める際、消費者に受け入れられるには、まず「強い入り口商品」を開発することが不可欠です。
これだけ市場に多く出回っている化粧品の中から選んでもらうためには、他社と比べてどのような効果をもたらすのか、その品質と価格が見合っているかどうかを明確に打ち出さなければ、お客さまに選んでもらうことは難しいでしょう。それを明確に打ち出せるのが、通販化粧品の「強い入り口商品」といえます。
いま化粧品市場で、売上げが拡大している数少ないアイテムが1品でお手入れが完了するオールインワン化粧品1です。富士経済のデータによるとオールインワンの市場規模は2013年に500億円を突破する見込みだそうです。 消費者からみるとお手入れの時間短縮ができ、さまざまな肌悩みに対応できる化粧品はとても魅力的です。そんなオールインワン化粧品は、通販化粧品の消費者に受け入れやすい「強い入り口商品2」になっているのではないでしょうか。
拡大市場!オールインワンが支持される2つの理由

オールインワン化粧品は、洗顔後これ一つで済むというそれまでにない訴求で、新たな化粧品の市場を創出してきました。今では多くのオールインワン化粧品が登場し、保湿、エイジングケア、美白などさまざまに高機能化しています。
そんなオールインワン化粧品が通販に向いている理由は二つあります。
一つは前述した時短(手早く、多機能)でお手入れを済ませられ、ほしい機能がすべて入っているのに、トータル価格は抑えられている点。これは女性消費者を満足させる大きな魅力です。
もう一つは、広告を展開する際の訴求キーワードが一つに絞れるということ。
新規顧客向けの化粧品をラインナップで販売する場合、全体の効果を訴求することはできても、実際にセットで購入するには、ハードルが高過ぎますし、どのアイテムが自分の肌に合っているのか印象に残りにくいはずです。
その点、オールイワン化粧品なら、「これ一つで○○○○」と消費者にとってメリットとなる訴求に絞ることができるため、キャッチコピーそのものが強くなります。その結果、商品の特徴がシンプルに伝わりやすく、お客さまの興味を喚起することができるはずです。

相乗効果を生む“商品ストーリー設計”が不可欠

ただ、オールインワン化粧品は通販商品としては強いのですが、弱点もあります。
まずお手入れがシンプルで単純なだけに、お客さまに飽きられるのも早い。そのためオールインワン化粧品単品だけで販売していると、お客さまの離脱も早くなってしまう傾向にあります。
また化粧品会社では通常、オールインワンだけではなく、洗顔、スペシャルケア、メイクなどの商品をそろえていますが、例えばオールインワン化粧品で新規顧客を獲得した場合、他製品へのクロスセル購入につながりにくいのが現状です。
そうならないためには、単品と一緒に使って相乗効果を得られる商品設計のストーリーを作成しておくことが必要です。商品展開のストーリーを設定しておけば、将来、単品商品だけに頼らず、効果的に商品ラインナップを拡充することができます。
またそれ以上に通販ならではの良さを発揮するには、お客さまのご意見を反映した商品づくりなど、お客さま参加型3の“絆”を強める企画を盛り込めば、顧客育成にもつながっていくはずです。

鯉渕登志子
フォー・レディーでは、オールインワン化粧品の強みを活かしながら、クロスセルにつながる販促施策や、自然に「買う理由」を伝えるコミュニケーション設計まで一貫してご提案いたします。
用語解説
- オールインワン化粧品-洗顔後にこれひとつで化粧水・乳液・美容液など複数の役割を果たす化粧品。時短と多機能性が特徴で、通販市場でも人気が高い。 ↩︎
- 入り口商品-通販において新規顧客を獲得するための“最初に選ばれる商品”。その後のリピートやクロスセルへつなげる起点となる重要な商品。 ↩︎
- 顧客参加型企画-アンケートやモニター募集、会報誌への投稿など、顧客が商品開発やコミュニケーションに参加できる仕組み。企業と顧客の“絆”を強める効果がある。 ↩︎
















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