「良い製品をつくれば売れる」──その自信が通用しない。化粧品業界で長年の実績がある企業でも、通販というフィールドでは思わぬ苦戦を強いられることがあります。店頭販売の成功体験が逆に足かせになることも。通販で生き残るために必要な“こだわり”と“差別化の視点”を掘り下げながら、強みを活かした新たな戦い方を提案します。今回のコラムは、『日本流通産業新聞』7月16日号に掲載された「強い通販化粧品会社になるために 基礎講座Q&A vol.5」です。ぜひご覧ください。

日本流通産業新聞
通販・ネットビジネス・健康食品・美容業界などの最新動向を専門的に取り上げる業界紙です。実務に直結する情報を多角的に発信し、多くのビジネス関係者に支持されています。
店頭販売の常識を捨て、通販にふさわしい価値訴求を!

化粧品メーカーとして実績もあり、長年培ってきた開発力や販売ノウハウにも自信を持っています。通販参入にもかなりの資金を投入し、大々的なプロモーションを行ってきましたが、反応は芳しくなく売り上げも低迷しています。過去の店頭販売の経験がまったく通用しない現状に驚いています。今後打つべき対策がいまだに見つかりません。
化粧品業界で成功の歴史が長く、商品開発や販売促進についても大きな自信をお持ちのようです。さまざまな個性派化粧品がひしめく通販化粧品業界では、「良い製品を作れば売れる」という考え方では勝ち残れないと思います。ネームバリューのある店販化粧品では、「イメージ先行の広告」でお客さまの注目を集めることも有効でしょう。その後、店頭の美容部員が、お客さまの顔色をうかがいながら最適なアドバイスを行い、お客さまとの信頼関係を築いてくれるからです。
ところが、通販化粧品ではそうはいきません。インタラクティブなコミュニケーションが不足しがちな通販では、後から「もうひと押し」するチャンスがほとんどないからです。通販では、たったひと目で脳裏に焼き付くような、強い個性をアピールすることが、とても大切なのです。
通販で勝ち抜くには「圧倒的な個性」が必要

他社との「差」を多くの人に認めていただくには、かなりのインパクトが必要です。例えば、通常ではちょっとおかしいと感じるくらいの個性派化粧品が注目を浴び、爆発的に売り上げを伸ばすようなこともしばしば起こります。
では、一体どのような点に注意すれば、通販で勝ち残れる個性をアピールすることができるのでしょうか。
通販ならではの勝ちパターンを学び、自社の強みを再設計

まずは、御社の化粧品が、どんなお客さまのどんなニーズに応えるものかをはっきりさせることが大切です。そのために独自の美容理論や、他社にはない特徴のある成分などを、心に響くビジュアルやコピーで際立たせる。そうすることで、御社の製品の強い個性をお客さまにアピールすることができます。また、使い心地の良さ、容器の使いやすさなど、製品に関わることはもちろん、継続購入のメリットや、他社にはない面白い宣伝広告なども、お客さまを強く引きつける個性になります。
もちろん、製品の良さは最も重要ですから、今までに培った確かな開発力は大きな力となるでしょう。その上で、お客さまに「これは!」と思わせる強烈なこだわりをプラスオンすることで、通販化粧品向きの製品ができ上がるのではないでしょうか。広告宣伝については、通販化粧品ビジネスには、独特のセオリーがあります。そのため、店販での勝ちパターンは一度忘れた方がいいかもしれません。
一見奇妙でも心に残る個性、お客さま個人に語りかけるようなコミュニケーション手法、使い続けたいと思わせる特典など、通販各社は店販化粧品にはないノウハウを多数持っています。まずはそれらを研究してみてはいかがでしょうか。通販化粧品の成功パターンを学習し、そこに店販で培った御社独自の強みを加味すること。これができれば、他社にはない、通販化粧品らしい御社の「こだわり」がきっと見つかると思います。

鯉渕登志子
私たちは、化粧品通販に精通した“共創パートナー”として、商品企画・訴求設計・広告展開まで、一緒に伴走します。

















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