通販化粧品の販促戦略 ― 多彩なコンテンツがブランドを強くする

通販化粧品の販促活動に欠かせないウェブサイトや会報誌。ところが、内容がワンパターン化すると、お客様に新鮮さを感じてもらえず、やがて見てもらえなくなるリスクがあります。「同じようなキャンペーンや記事ばかりになっていないか?」――今、改めて見直すべき大きな課題がここにあります。今回のコラムは、『日本流通産業新聞』7月3日号に掲載された「強い通販化粧品会社になるために 基礎講座Q&A vol.28」です。ぜひご覧ください。

日本流通産業新聞
通販・ネットビジネス・健康食品・美容業界などの最新動向を専門的に取り上げる業界紙です。実務に直結する情報を多角的に発信し、多くのビジネス関係者に支持されています。

忙しい人向け|対談で学ぶ〝通販化粧品コンテンツのマンネリ打破!〟

忙しくてなかなか文章を読む時間がない方向け、スキマ時間に聞くだけで学べる音声版をご用意しました。

飽きられないための答えは“バラエティー豊かな参加型コンテンツ”

通販化粧品会社 担当者

 ウェブサイトや会報誌の情報がマンネリ化しています。通販化粧品会社の販促担当者として会員情報誌やウェブサイトの制作を手掛けていますが、キャンペーンやコンテンツの内容が毎回同じようなものになってしまいます。お客さまに飽きられないためにはどうしたらよいでしょうか。

リピート商品の販促において「いかに飽きさせないか」というテーマはとても大きなものです。商品もキャンペーンも訴求内容も毎回同じでは、情報誌もウェブもDMも飽きられて、そのうち見てもらえなくなってしまいます。そのため通販化粧品では多様なコンテンツを開発して、手を変え品を変え、バラエティー豊かな切り口の記事や訴求ポイント、キャンペーンなどを提供する必要があるのです。

最近こうしたコンテンツ開発が重要な役割を担っている理由のひとつに、新規顧客獲得のシビアな現状が挙げられます。通販が世の中に深く浸透した今、どの世代のお客さまも「通販慣れ1」しており、これまでの圧倒的な割引率のキャンペーンや薬事法ギリギリのきわどい表現、インセンティブ付きのトライアルセットといった手法で新規顧客を獲得することが難しくなっています。

多くの会社が同じような施策やキャンペーンを繰り返してきたため、消費者に飽きられてしまっているのです。またブランドごとの特徴も差が分かり難くなっています。

そんな中で少しでも売り上げを伸ばしていくためには、既存顧客の離脱を最小限に食い止めながら、少しずつ新規顧客を増やしていく以外に方法はありません。つまり、お客さま一人一人のLTV(ライフタイムバリュー)2を最大限に高めることが各社の共通の課題なのです。

そのためにもお客さまを飽きさせず、ブランドの個性を引き立たせる「バラエティー豊かなコンテンツ開発」が必要になってくるのです。また、コンテンツ内容も見直すべきです。

これまで多く見られた企業が伝えたい情報だけを一方的に発信する“提供型”コンテンツ3から、お客さまと会社が一緒にコンテンツをつくり上げる“お客様参加型”に方向性を変えて、双方向のコミュニケーションを図るべきです。そのためにはより深い関係性を築き上げるための仕組み作りが不可欠です。

多角的な視点がマンネリ打破のカギに!

お客さまに喜ばれるコンテンツを継続的に発信するためには、徹底した「顧客目線」を持つことが必要です。会社側の人間としてではなく、1人の消費者の立場からコンテンツを考えることも重要です。

そのためには、日頃から自社のお客さまについて買い物履歴、手紙、アンケートなどをよく観察し、具体的な人物像をイメージする習慣をつけたいものです。例えば、自社の優良顧客上位100人の名前と年代を全社員が言えますか。お客さまをもっとよく知る努力をしなければ、お客さまも会社に関心を持ってくれることはありません。 

日頃から愛用いただいている人たちに「どうしたら喜んでもらえるか」、その人たちが「どういった悩みを持っているか」をもっと深く考えれば、おのずとアイデアは豊富に出てくるのではないでしょうか。 

また、通販はお客さまと直接顔を合わせる機会は少ないですが、座談会や体験イベントといった機会を積極的に設けてコンテンツ開発に活用したり、本音をヒアリングする機会にするのもいいでしょう。

一方、マンネリ化を防ぐためには、販促担当者が1人で考えているだけではアイデアにも限界があります。多角的な視点から商品の良さやお客様のニーズを見いだすためにも開発担当者、コールセンター担当者などすべての部門のスタッフでアイデアを出し合う「ブレインストーミング4」などを実施して、アイデアネタを広げるべきです。

マンネリ化を防ぐ方法はまだまだたくさんあります。

株式会社フォー・レディー 代表
鯉渕登志子

会報誌もWebも、飽きさせない工夫が必要です。フォー・レディーは豊富な実績で“続けて読みたくなる情報発信”をお手伝いします

用語解説

  1. 通販慣れ―消費者が通販利用に慣れてしまい、割引や特典だけでは購買意欲が動かなくなる状態。 ↩︎
  2. LTV(ライフタイムバリュー)—顧客が生涯にわたって企業にもたらす利益の総額。通販化粧品では定期購入や長期リピートが前提となるため、重要な指標。 ↩︎
  3. 提供型コンテンツ―企業が一方的に伝えたい情報だけを発信するスタイル。お客様目線が弱く、マンネリ化につながりやすい。 ↩︎
  4. ブレインストーミング―社内の複数部門のメンバーが自由に意見を出し合い、アイデアを広げる手法。マンネリ打破に有効。 ↩︎

深掘りQ&A

LTVを高めるうえでコンテンツはなぜ重要なのですか?

割引や特典だけでは新規顧客をつなぎ止められない時代になっています。だからこそ「読みたい」「共感できる」と感じるコンテンツが、継続購入やブランドへの信頼を育て、結果的にLTV向上につながります。

具体的にマンネリ打破の第一歩は何から始めればいいですか?

まず「顧客像の具体化」です。買い物履歴やアンケートから優良顧客の人物像を明確にし、全社員で共有すること。お客様の実像が見えると「この人なら何を喜ぶか」という発想が自然に生まれます。

ABOUT US
株式会社フォー・レディー 代表 鯉渕登志子
日本大学芸術学部卒業後、アパレル業界団体にてファッション経営情報誌の編集に携わり、カネボウファッション研究所を経て、1982年に株式会社フォー・レディーを設立。これまで手がけた化粧品・ファッション通販企業は180社を超えます。一貫して「女性を中心とした生活者ターゲット」に寄り添い、消費者の実感から発想することを信条としています。 「自分が使って心から納得できるものを届ける」というポリシーのもと、コンセプト設計からクリエイティブ制作までを一貫して行っています。また、日本通信販売協会などでの講演実績も多数あり、生活者視点のマーケティングを広く発信しています。

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