会員情報誌は必要?通販化粧品会社が“顧客と一緒に作る”ブランディング効果とは

通販化粧品会社では、現場やコールセンターから「会員情報誌を作りたい」という声が上がることがあります。一方で、コストや制作ノウハウへの不安から、導入をためらうケースも少なくありません。では、会員情報誌は本当に必要なのでしょうか。もし作るとしたら、何を目的に、どのように活用すればよいのでしょうか。今回のコラムは、『日本流通産業新聞』1月1日号に掲載された「強い通販化粧品会社になるために 基礎講座Q&A vol.121」です。ぜひご覧ください。

日本流通産業新聞
通販・ネットビジネス・健康食品・美容業界などの最新動向を専門的に取り上げる業界紙です。実務に直結する情報を多角的に発信し、多くのビジネス関係者に支持されています。

忙しい人向け|対談で学ぶ〝通販化粧品会報誌は組織を変える投資

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会員情報誌は、お客さまと一緒に作れる最も手軽なブランディング施策

通販化粧品会社
担当者様

現場の担当者からは会員情報誌を発行してほしいと言われています。また、コールセンターへの電話で、お客さまから要望されることもあります。しかし導入コストもかかるし制作ノウハウもないので踏み出せません。

通販化粧品会社の多くは、顧客に向けて会員情報誌1を発行しています。というのも、化粧品は販売しただけではその役目を果たせず、購入されたお客さまに実際に使っていただかなければ、何の役にも立たない商品だからです。そのためには、正しい方法で、正しい量を、毎日適切なタイミングで使用していただく必要があります。つまり十分な情報提供が必要なのです。

また、多くのブランドは多数のアイテムを販売しているため、各商品の役割や、使うタイミング、使い方、成分などを学んでいただく必要もあります。これを間違えると目的を果たさないだけではなく、肌トラブルの原因になりかねません。

これらのさまざまな化粧品情報を正しく伝えてお客さまに理解していただくのは、化粧品販売の鉄則です。店頭販売では、アドバイザー(美容部員)がその役目を果たしています。

通販の場合、カスタマーセンターのスタッフが電話でお伝えしたり、ウェブで回答したり、会員情報誌やパンフレットなどでお伝えしなくてはなりません。

しかし、なかなかお客さまに正しい情報が伝わりきらないという課題があります。
あるグループインタビューでお客さまに、商品の使い方を確認したところ、10年、20年使用しているロイヤルユーザーであるはずなのに、使い方を間違えているといったケースもありました。

会員情報誌に載せる情報は、すでに揃っている

当社が事業会社さまからよく質問されるのは、「使い方以外のどんな記事を掲載すればよいか分からない」というお悩みです。しかし、当社に言わせれば「お知らせしたい情報は山ほどあるはず」です。

例えば、美しい肌をキープするためには、お肌のお手入れだけでなく、全身が健康でいなくてはなりません。日常生活の中で、ちょっとした健康のための行動をアドバイスしても良いですし、季節のお悩み、日々の過ごし方を提案する情報も喜ばれるでしょう。

どんな記事を掲載したらよいか、アイデアが不足したら、直接お客さまにお尋ねすればよいのです。何を知りたいか、何が欲しいか、いつでもお客さまに気軽にご意見を聞くことができる関係を築いておきたいものです。当社では、それを「お客さま参加型企画2」と呼んでいます。

通販化粧品のビジネスは、お客さまの声を丹念に聞き、その要望をかなえることが最も大切な業務です。そのためには、徹底的にお客さまに寄り添い、お客さまを「スタッフの1人」のように考え、仲間として企画に参加してもらえばよいのです。

この考え方に基づき、お客さまに寄り添う方法を作っておけば、商品開発からサービス内容、キャンペーン方法に至るまで、すべてのマーケティング業務に協力いただけるようになります。

会員情報誌がブランドの求心力を高める理由

そんなお客さまとの接点の舞台として会員情報誌を活用することで、コンテンツは次々と生まれ、お客さまの参加意欲も盛り上がることでしょう。これは当社が提案している「お客さま参加型の会報誌」作りの考え方です。まるで会員専用の雑誌のようになりますので、お客さまの求心力が高まることは間違いありません。

また、これとは別の効果もあります。優れた会員情報誌を作るためには、お客さまに協力してもらうだけでなく、社内のさまざまな部門にも協力してもらわなければなりません。

例えば、商品開発には要望が多く寄せられるようになります。販売促進も、効果的なアイデアを生み出す必要があります。データ担当も、顧客サービス部門も忙しくなります。マーケティング担当は、多くの分析作業に追われることになるでしょう。

このような取り組みの積み重ねが各部門を強化し、ひいては会社全体を強くするのです。

つまり優れた会員情報誌を作ることで、お客さまを巻き込んだ「ブランディング」が可能になるのです。そんな会員情報誌作りを目指したいものです。

株式会社フォー・レディー 代表
鯉渕登志子

フォー・レディーは、通販化粧品会社の会員情報誌づくりを、「つくること」そのものではなく、お客さまと関係を育て続けるための仕組みとして設計してきました。お客さまの声を起点に、企画・編集・制作・活用までを一緒に考え、続けられる会員情報誌づくりをサポートしています。

用語解説

  1. 会員情報誌-通販企業が顧客向けに発行する情報媒体。商品説明だけでなく、使い方や暮らしの提案を通じて関係性を深める役割を持つ。 ↩︎
  2. 顧客参加型企画-アンケートや投稿、インタビューなどを通じて、お客さまの声を企画やコンテンツに反映する考え方。 ↩︎

深堀り!Q&A

会員情報誌は、売上アップにどのくらい直結するのでしょうか?

短期的な売上よりも、「関係の質」を変えることに価値があります。会員情報誌は、クーポンやキャンペーンのようにすぐに数字が跳ね上がる施策ではありません。しかし、お客さまの理解度や納得感が高まることで、結果的に継続率や使用量、問い合わせ内容が変わっていきます。売上は“結果”であり、会員情報誌はその前段にある「正しく使われ、信頼される状態」をつくるための施策だと考えると分かりやすいでしょう。

お客さま参加型にすると、意見に振り回されませんか?

すべてを採用する必要はありません。お客さま参加型とは、「お客さまの言う通りにする」ことではありません。声を集め、傾向を見て、判断する材料として活かすという考え方です。むしろ、お客さまの声を定期的に聞いていない企業の方が、思い込みや社内都合に振り回されやすいかもしれません。

ABOUT US
株式会社フォー・レディー 代表 鯉渕登志子
日本大学芸術学部卒業後、アパレル業界団体にてファッション経営情報誌の編集に携わり、カネボウファッション研究所を経て、1982年に株式会社フォー・レディーを設立。これまで手がけた化粧品・ファッション通販企業は180社を超えます。一貫して「女性を中心とした生活者ターゲット」に寄り添い、消費者の実感から発想することを信条としています。 「自分が使って心から納得できるものを届ける」というポリシーのもと、コンセプト設計からクリエイティブ制作までを一貫して行っています。また、日本通信販売協会などでの講演実績も多数あり、生活者視点のマーケティングを広く発信しています。

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