化粧品通販事業を立ち上げたものの、経験もノウハウもない中で、どう立て直せばよいのか…。
多くの企業が陥るこの“通販の壁”を乗り越えるには、何が必要なのでしょうか?実は、成功する企業にはある共通点がありました。事業再生のヒントとなる視点と取り組みの方向性を、具体的にひもといていきます。今回のコラムは、『日本流通産業新聞』6月21日号に掲載された「強い通販化粧品会社になるために 基礎講座Q&A vol.4」です。ぜひご覧ください。

日本流通産業新聞
通販・ネットビジネス・健康食品・美容業界などの最新動向を専門的に取り上げる業界紙です。実務に直結する情報を多角的に発信し、多くのビジネス関係者に支持されています。
売れない現状を変えるためには、届けたい相手とコンセプトを明確に

担当者様
親会社(メーカー)の新規事業戦略で、化粧品通販業界に参入しました。事業開始から1年が経過しましたが、全く売れない状況が続いています。このビジネスに対する親会社の理解もやや不足気味です。かといってどのように立て直せばよいかも分からず……。八方ふさがりの状況から、どうすれば抜け出せるでしょうか?
厳しい話かもしれませんが、小売業の経験もなく、化粧品を扱ったこともないメーカーが、化粧品通販を手掛けるのは非常に難しいと思います。化粧品ビジネスは、単に商品を売るだけではありません。お客さまが美しくなるプロセス、美を目指すストーリーを売るのがビジネスの本質だからです。さらにその中でも通販化粧品業界は、特徴的な商品や考え方の 「こだわり派」がひしめいています。強力なライバルの中で勝ち残っていくためには、化粧品に対する御社ならではのポリシーやこだわりが不可欠だと思います。
想いを伝え、正しく使ってもらう仕組みを整える

単なる利益追求のみが目的でスタートした事業ならば、残念ながら問題解決への道は険しいと言えます。どんなビジネスにも展開する目的やコンセプトがあるべきですが、化粧品通販においては特にこの部分が重要です。コンセプト明確な強い代表商品を育成しなければ、事業の成功は望めないからです。
行き詰まった現状を打破したいのであれば、まずは「なぜこの事業を展開するのか?」
「どんなお客さまのための化粧品なのか?」
「どんなお肌の、どんなお手入れに役立つ商品なのか?」
――この3点を再度確認してみてください。
通販化粧品成功の鍵は、われわれ送り手の「込められた想い」を商品という形にし、使用方法などの細かな情報をていねいに伝え、正しく使っていただくことにあります。まずは、このコンセプトをお客さまに正確に伝えることからスタートしましょう。

通販ならではの戦略を数字で証明することも忘れずに

通販化粧品のビジネスは、ターゲット層にブランドの認知を広め、お試し品や初回の購入で商品の良さをアピールし、きめ細かなフォローで本商品の継続購入に導く――これが成功のセオリーです。
これに自社のオリジナリティーを加味した販促戦略を立て、トライ&テストを繰り返し、成功に向かうためのデータを集めましょう。販促の内容、媒体別のレスポンス率、顧客層、お客さまからの感想など、さまざまなデータを分析することでノウハウが蓄積され、独自の成功パターンが見えてきます。
また、実際の数字に裏付けられた戦略には、大きな説得力があります。分析データを基に組み立てられた長期計画を提示すれば、上司や親会社との話し合いもスムーズに進むはずです。
大切なのは、ターゲット層に合った美容のロジックと、商品内容、通販ビジネスらしいデータに基づく戦略立案のバランスの良さなのです。

鯉渕登志子
私たちは、貴社ならではの強みやこだわりを見つけ出し、それを“伝わる戦略”として設計し直すことで、事業の再成長をお手伝いしています。“今あるもの”を活かして立て直すために、まずはご相談ください。

















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