通販化粧品ビジネスでは、「売れる商品を作ること」が成功の第一歩とされています。しかし、一定の規模まで成長した企業が次に直面するのは、“その先をどう広げるか”という課題です。同じやり方を続けるのか、それとも発想を切り替えるのか。その選択が、成長を加速させるか、停滞を招くかを分けていきます。今回のコラムは、『週刊粧業』2022年7月18日号に掲載された「激変するコスメマーケット vol.75」です。ぜひご覧ください。
※本コラムは2022年当時の状況を前提に執筆しております。現在と異なる情報を含む可能性がありますが、課題の捉え方や発想のヒントとしてご活用いただければ幸いです。

週刊粧業
化粧品、日用品(トイレタリー製品、石鹸洗剤、歯磨き等)、医薬品、美容業、装粧品、エステティック等を中心とした精算・流通産業界の総合専門紙として、日々変化する業界の最新動向を伝えています。
まずは“入口商品”で勝つ。単品通販が求める尖りとは

通信販売で化粧品を売る仕事を長く続けているとわかることだが、スタートアップした時期と、ある程度の規模になった時期では、ビジネス構造を大きく転換しなければならない時が必ず来る。その転換期をうまく乗り切った企業こそが、通販化粧品ビジネスで生き残れるのだと思う。
例えばwebやその他の媒体でも、通信販売で化粧品を売る時は、少しユニークで個性的なものに絞らないと売れない。何しろ広告で化粧品を売るので、思いっきり目立たなくてはダメということになる。いわゆる「入口商品」で単品のヒット商品が生まれないと通販は成功しない。そのため「単品通販」というジャンルからスタートし、ランチェスター戦略に習って、狭い分野のNo.1を取れば成功の入り口が見えてくるという訳だ。規模が少し大きくなったら、最初の「入口商品」をさらに磨き上げて、新規顧客を獲得し続ければ、最初の成功はクリアする。ここまでは特定分野のスペシャリストに徹するべきだと思う。
成長の壁は“2番手商品”。新規依存から抜け出す発想転換

ところがさらに規模を大きくしたいと考えた場合は、二番手商品の考え方は少し方向性を修正した方が良い。スタートアップした時と同じユニークな商品を作り続けるのも良いが、それではスタートアップをいつまでも続けていくことになり、相変わらず莫大な新規獲得の広告費がかかるため、必ずしも効率が良いとは言えない。しかも最近はかつてのように新規獲得の経費は安くないため、同じように拡大しようと考えると初回より多額の費用が掛かってしまう。それならばファースト商品で獲得したお客様に二番手の商品を買ってもらうに越したことはない。そのように舵を切ると、誰に売るかもはっきりするし、お客様の嗜好も明確だ。ただし最初の商品とは商品開発の手法を変えるべきだ
二番手商品の開発は、お客様を巻き込んでお客様の意見を十分に聞き入れ、一緒に開発するつもりぐらいに考えるのがちょうど良い。当然、最初の商品を購入してくれたお客様の嗜好に合わせた商品を開発するべきだ。例えば入口商品がスキンケアのオールインワンというお客様には、メイクのオールインワンであるBBクリームなどを売る。その後は、BBクリームを落とすW洗顔不要のクレンジングを売る。つまり「簡単、手軽、手間暇を掛けない」というコンセプトで括った、説得力のある順番で売っていくことが効果的だ。
ラインナップ拡張でLTVを高める。ゼネラリストへの進化戦略

このように関連性のある商品を追加投入して客単価を上げる。また併せて初期に出した商品もリニューアルしてバージョンアップさせていかないと、そもそもの「入口商品」がパワーを失ってしまっては元も子もない。

更にある程度のアイテムが揃ってきて、顧客数も拡大してきたら、一部のコモディティ型商品も取り入れてラインナップを拡大させ、お客様がついで買いやクロスセルをしやすいように品揃えを充実させていくべきだ。この段階ではサービスも充実させ、通販化粧品会社としてオールラウンドのゼネラリストになって業容も拡大していけば、成長軌道に乗れるだろう。
お客様の反応やマーケットの動向、自社の規模に合わせて豹変していくことが、通販化粧品の規模拡大のポイントになる。段階に応じて変化することが生き残るコツである。

鯉渕 登志子
通販化粧品の商品開発は、「何を作るか」だけでなく、「誰に、どう広げていくか」の設計が鍵になります。私たちは、消費者の本音をもとに、商品開発からCRMまで一貫して支援しています。2番手商品やクロスセルに課題を感じている場合は、ぜひ一度ご相談ください。
















忙しくてなかなか文章を読む時間がない方向け、スキマ時間に聞くだけで学べる音声版をご用意しました。