「化粧品も季節に合わせて着替える」四季で考えるスキンケアの新提案

日本の夏は年々暑く、冬は乾燥と冷えが厳しくなっている。それでも多くの人が、一年中同じ化粧品を使い続けているのが現状だ。四季によって気温も湿度も大きく変わる日本だからこそ、化粧品は季節に合わせて使い分ける発想が必要ではないだろうか。今回のコラムは、『週刊粧業』8月24日号に掲載された「激変するコスメマーケット vol.24」です。ぜひご覧ください。

週刊粧業
化粧品、日用品(トイレタリー製品、石鹸洗剤、歯磨き等)、医薬品、美容業、装粧品、エステティック等を中心とした精算・流通産業界の総合専門紙として、日々変化する業界の最新動向を伝えています。

忙しい人向け|対談で学ぶ〝 四季がつくる化粧品ビジネスの本質〟

忙しくてなかなか文章を読む時間がない方向け、スキマ時間に聞くだけで学べる音声版をご用意しました。

日本の四季と、化粧品がまだ活かしきれていない季節感

最近我が国の夏はとても暑い。そう感じるのは私だけだろうか? そんな中、山形の理容室からスタートした「冷やしシャンプー」が話題になっていると聞いた。いまや日本一暑い埼玉県熊谷市や、その他の地域にも飛び火しているという。これまで化粧品業界はファッション業界と異なって、季節感の取り入れ方がやや穏やか過ぎると思っていたが、こんな商品も出てくると面白い。

考えてみれば、季節感を全く出していなかった飲料メーカーですら、四季に合わせたお茶の美味しさを提供するというのだから、化粧品だってもっと季節感を取り入れても良いはずだ。つまりファッションと同じように、春、夏、秋、冬で商品を変えても良いのではないかというアイデアだ。

夏・冬・梅雨──気温と湿度から考える季節別スキンケア

UVケアとかクリームとかその季節に相応しい商品というだけでなく、洗顔、ローション、スペシャルケアまで、それぞれに春用、夏用、秋用、冬用があっても良いのではないかと思う。

日本は四季があって、気温も湿度も季節ごとにガラリと変わる。それらの気候に合わせて、4シーズンの化粧品が出てくれば、もっと需要も喚起できるに違いない。ファッションのように「シーズンにぴったり合った旬の商品!」と打ち出すことができたら、広告制作の立場としては、いろいろな面白いことを仕掛けられるような気がする。

例えば常温保存で使用することが当たり前だったスキンケアに、涼感・温感の要素を取り入れてみる。夏であればヒンヤリ冷やすことで気持ちよく使えるだけでなく、毛穴の引き締め効果も期待できる。また、濃厚なテクスチャーが夏には不向きだと考えられている美容クリームも、涼感素材をプラスし、心地よい使い方をお勧めすることで、夏用商品に生まれ変わるのではないか。

また冬用には人気のホットクレンジングのように、肌が「ほっと」温まり血流も改善するようなスキンケアのアイテムがもっと増えても良いのではないか。

温度だけではなく湿度にも着目すれば、例えばジメジメした梅雨にはファンデーションの崩れを抑えることができる、お出かけ前のサラサラスプレーなど。鬱陶しい気分を払拭するような爽やかな香りが、雨の日の外出を楽しく演出してくれるような商品があればさらに嬉しい。

「季節限定コスメ」という、新しい需要のつくり方

ローションでは「しっとりタイプ」と「さっぱりタイプ」、ファンデーションでは「パウダータイプ」と「リキッドタイプ」など、使う人の好みや季節に合わせて選べるシリーズ展開をしているメーカーも多い。さらにもっときめ細かく季節の特性に合わせたシーズン専用の化粧品を用意し、たとえば「季節限定3カ月使い切りコスメ」としてお客様に提案することもできるのではないか。

季節の変わり目には化粧品を買い替える。そして冷暖房に当たりすぎず、もっと季節を楽しむ化粧品として、つまり「化粧品も季節に合わせて着替えましょう!」的なキャンペーンができれば、四季に合わせた健康的なエコ生活も提案できて、化粧品の需要を喚起するチャンスがもっと生まれるのではないか? と思う。

株式会社フォー・レディー 代表
鯉渕 登志子

フォー・レディーは、化粧品通販の現場で培ってきた経験をもとに、商品づくりから伝え方、顧客育成までを一貫して支える会社です。売上の前に、まず整理から。ブランドとお客様の関係を、丁寧に育てていきます。

深掘りQ&A

なぜ今、「季節別の化粧品」が改めて重要なのですか?

気候そのものが変わり、従来の「春夏秋冬」という区切りが、体感として大きくなっているからです。猛暑・長い梅雨・極端な乾燥など、肌が置かれる環境は以前よりも厳しくなっています。それにもかかわらず、化粧品の使い方や提案が「一年同じ」で止まっていることが、使い心地の違和感や満足度低下につながっているケースが増えています。

季節別に商品を分けると、在庫やコストが増えるのでは?

必ずしも「商品数を増やす」必要はありません。
大切なのは商品を増やすことではなく、使い方や位置づけを季節で変えることです。
同じ商品でも、

  • 使用量
  • 使用タイミング
  • 保存方法
  • 訴求ポイント

を変えるだけで、「季節専用」の価値を持たせることができます。

ABOUT US
株式会社フォー・レディー 代表 鯉渕登志子
日本大学芸術学部卒業後、アパレル業界団体にてファッション経営情報誌の編集に携わり、カネボウファッション研究所を経て、1982年に株式会社フォー・レディーを設立。これまで手がけた化粧品・ファッション通販企業は180社を超えます。一貫して「女性を中心とした生活者ターゲット」に寄り添い、消費者の実感から発想することを信条としています。 「自分が使って心から納得できるものを届ける」というポリシーのもと、コンセプト設計からクリエイティブ制作までを一貫して行っています。また、日本通信販売協会などでの講演実績も多数あり、生活者視点のマーケティングを広く発信しています。

BACK TO INDEX