新規顧客は獲得できているのに、なかなか長期的なリピートにつながらない――。通販化粧品にありがちなこの課題の背景には、「顧客とのコミュニケーション不足」があります。情報誌1やDMの発行だけでは、一人ひとりの声を十分に受け止めることはできません。お客さまの声をどう聞き、どう社内で活かすかについて考えてみましょう。今回のコラムは、『日本流通産業新聞』9月4日号に掲載された「強い通販化粧品会社になるために 基礎講座Q&A vol.22」です。ぜひご覧ください。

日本流通産業新聞
通販・ネットビジネス・健康食品・美容業界などの最新動向を専門的に取り上げる業界紙です。実務に直結する情報を多角的に発信し、多くのビジネス関係者に支持されています。
リピート顧客を増やす鍵は、“一方通行ではない”顧客コミュニケーション

新規のお客さまはある程度の数を保っているのですが、なかなか長期継続のお客さまになりません。美容情報を載せた情報誌やキャンペーンDMなども定期的に発行しているのですが、いまひとつ効果が上がっていないようです。改善すべき点は。
美容情報の発信やキャンペーンの案内などさまざまな手法でお客さまへ定期的なアプローチをしていることは、とても良いことだと思います。
しかし、情報誌やDMなど、メーカーからお客さまに発信するだけでは、お客さまとのコミュニケーションが十分できているとはいえません。そもそも「コミュニケーション」とは、両者のインタラクティブな働き掛けがあってこそ成り立つもの。どんなに考え抜いて作り上げた情報誌や、工夫を凝らしたキャンペーンを用意しても、本当のところ一人一人のお客さまにどう受け止められているのか、正確に把握することはできません。
一方的な情報発信だけにとどまっている状況では、せっかくの情報誌やDMも、お客さまの心に響かないものになっているかもしれません。
コールセンターは“生の声”を聞ける貴重な場

そういったミスを犯さないためには、お客様さまからの声をしっかりと受け止めるシステムを作ることが必要です。例えば、アンケートやウェブ調査など、お客さまの声を聞く方法はいろいろあります。
中でもコールセンターのスタッフはお客さまと直に電話で話し、肉声を聞くという、密接なコミュニケーションを日々とっています。この絶好のチャンスを逃さず、もう一歩踏み込んでお客さまの声を聞くチャンスにしてみましょう。質問をしてみたり肌悩みを聞いたり、方法はいくらでもあるはずです。
そして会話の内容はできるだけ細かく記録し、お客さま個人のカルテ2として残せるようにしていくといいでしょう。肌悩みまで聞き出すためには、これに対応するコールセンターのスタッフも、それに応えられるだけの高度な美容知識やアドバイス力が必要です。
そして何より、自社製品への愛情がお客さまの心を動かします。コールセンタースタッフには、自社製品の熱烈なファンになってもらうよう働き掛けるべきです。
集めた声を社内で共有し、売上につなげる仕組みを

お客さまの生の声を多く集めるのと同時に、集まった声を社内で最大限に活用し、売り上げにつなげていく仕組みも考えたいものです。人と人とのコミュニケーションで一番大切なのは心の動きです。直接話をしたスタッフの主観でもいいと思います。印象的だったお客さまの話などを、できるだけ元の発言のまま共有することで、普段お客さまと接することのない社員も、お客さまの思いを知り、距離を縮めることができます。
お客さまの継続率や売り上げが上がらないとお悩みならば、まずお客さまとのコミュニケーションを見直してみてください。お客さまの声にじっくり耳を傾ければ、答えがきっと見つかるはずです。「販売者」対「顧客」ではなく、「人」対「人」であることを忘れずに、一人一人のお客さまに接していきたいものです。
通販も「小売業」ですから、最も大切なのはお客さまとのライブ感のある直接の販売接点なのです。

鯉渕登志子
お客さまの声を成果につなげるには、現場での“生の対話”が欠かせません。フォー・レディーは、情報誌やDMの制作にとどまらず、コールセンター調査3や美容相談研修を通じて、御社の顧客コミュニケーションを総合的にご支援します。
用語解説
- 情報誌 / 会員情報誌-自社顧客向けに発行する冊子やニュースレター。美容情報や商品案内を伝え、ファン育成や継続率向上を目的とする。 ↩︎
- カルテ化(顧客カルテ)-顧客ごとの問い合わせ内容や肌悩みなどを個別に記録し、次回対応や提案に活かす仕組み。CRMの一部。 ↩︎
- コールセンター調査-顧客と日常的に接するコールセンターでの会話を記録・分析し、顧客の声を把握するリサーチ。定性的な顧客理解に役立つ。 ↩︎

















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