ヘアケアは髪タイプ別提案が必要な理由―スキンケアとの違いから考える

年齢を重ねるほど、女性は「何を見られているか」を無意識に知っている。最近の調査結果やグループインタビューを通じて浮かび上がったのは、スキンケア以上に“髪の毛”が印象を左右しているという現実だった。にもかかわらず、売り場や商品提案は、その変化に追いついているだろうか。今回のコラムは、『週刊粧業』11月2日号に掲載された「激変するコスメマーケット vol.25」です。ぜひご覧ください。

週刊粧業
化粧品、日用品(トイレタリー製品、石鹸洗剤、歯磨き等)、医薬品、美容業、装粧品、エステティック等を中心とした精算・流通産業界の総合専門紙として、日々変化する業界の最新動向を伝えています。

忙しい人向け|対談で学ぶ〝 細分化されないヘアケアと解決商材〟

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化粧よりも「髪」が見られているという調査結果

最近あるメーカーのお客様調査の結果を見て驚いた。

50~60歳代のお客様に、同世代の女友達の外見でチェックするところはどこか? という問いに対して、1位は服装、2位は体型、3位は髪の毛(白髪、ボリュームダウン、髪質、ヘアスタイル)、4位は化粧・スキンケアという結果が出たということだった。

最近様々なヘアケア製品を目にすることが多くなったが、お客様にも化粧やスキンケアよりも「髪の毛」の方が注目されていることが証明されたような格好だ。

これも最近だが、ヘアケアに関するお客様のグループインタビューを行う機会があった。

まずお客様の「髪の悩み」を聞いて驚いた。髪の悩みは人それぞれ様々な悩みの特徴があり、それが実に多様な悩みで1人ひとりが全く異なる。白髪の生え方でも生えるタイミングと場所がバラバラ、それによって目立ち具合も異なる。くせ毛については、くせ毛の度合いとどのようなくせ毛が出てくるかが異なる。それ以外にも髪の毛の太さ&ボリューム等、本当に千差万別だと感じさせられた。

髪の悩みは、想像以上に「一人ひとり違う」

ならば、なぜヘアケアはスキンケアよりも、悩みタイプ別の商品が少ないのか気になった。最近でこそ髪質タイプ別にシャンプーやコンディショナーを分けて販売している会社も多くなったが、スキンケアに比べればまだまだ種類が少ない。お客様はスキンケアよりも「髪の毛」に注目しているにも関わらず、である。もちろん一部のヘアサロンではきめ細かく数十種類のタイプ別ケアを勧めているお店もある。

しかしそれはごく一部のお客様しか利用していないはずだ。多くの消費者は、一般小売店やスーパー、ドラッグストア、通販等でヘアケア製品を購入している。そのような売り場ではスキンケアの肌タイプ別品揃えよりも、圧倒的にヘアケアの髪タイプ別品揃えは少ないと思う。

両方ともブランド数はとても多い。私が申し上げたいのは、お客様の髪タイプ別に合わせた売り場構成になっていないということだ。

なぜ、ヘアケア売り場は進化してこなかったのか

普通スキンケアの売り場は、さっぱり&しっとりの好み別、敏感肌用、ニキビ肌用、美白ライン、エイジングライン等の他に、スペシャルケアのための様々な商品が並ぶ。ところがヘアケアの売り場は、せいぜいシャンプー&コンディショナーの売り場と白髪染め、育毛剤の売り場に分かれている程度だ。

なぜこんなにヘアケアの売り場はおざなりにされてきたのだろうか? ヘアケアは長い間、美容室がお客様の悩みに対応してきたからなのか? しかし日常のヘアケアは、お客様が自分自身でケアをしてきたはずだ。

日本人は「髪は女の命」と古くから言われて来た。健やかな艶・コシのある豊かな髪の美しさは、その人の印象を大きく左右する要素の一つと考えられてきた。

スキンケアよりも「髪の毛」に注目が集まっている今、ヘアケアにもより細かな要望があることを認識して「解決商材」を用意したい。お客様も髪悩みの解決をサポートしてもらいたいと強く望んでいるのではないかと思う。

株式会社フォー・レディー 代表
鯉渕 登志子

株式会社フォー・レディーは、お客様調査を起点に、販促・CRM設計、実施までを支援してきました。まずは、いま見えている課題を整理するところから。一緒に課題を整理しましょう。

深掘りQ&A

なぜ今まで、ヘアケアはここまで細かく分類されてこなかったのでしょうか?

スキンケアは長年「肌トラブル=化粧品で改善するもの」という前提で市場が育ってきました。一方、ヘアケアは「美容室で整えるもの」「年齢による変化は仕方ないもの」と捉えられがちで、日常ケアで解決する発想が後回しにされてきた背景があります。

これからのヘアケア提案で、企業が意識すべきポイントは?

「どの商品を売るか」よりも、「生活者が自分の髪をどう理解できるか」を起点に考えることです。悩みの整理、選び方、使い続ける理由まで含めて設計することで、ヘアケアは“消耗品”から“解決提案”へと変わっていきます。

ABOUT US
株式会社フォー・レディー 代表 鯉渕登志子
日本大学芸術学部卒業後、アパレル業界団体にてファッション経営情報誌の編集に携わり、カネボウファッション研究所を経て、1982年に株式会社フォー・レディーを設立。これまで手がけた化粧品・ファッション通販企業は180社を超えます。一貫して「女性を中心とした生活者ターゲット」に寄り添い、消費者の実感から発想することを信条としています。 「自分が使って心から納得できるものを届ける」というポリシーのもと、コンセプト設計からクリエイティブ制作までを一貫して行っています。また、日本通信販売協会などでの講演実績も多数あり、生活者視点のマーケティングを広く発信しています。

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