初回購入で終わってしまうお客様に、どうやってもう一歩進んでもらうか?それは“商品の説明”ではなく、“お客様自身の理想像”に働きかけることから始まります。クロスセルを成功させるために必要なのは、「売る」視点ではなく「育てる」視点かもしれません。今回のコラムは、『日本流通産業新聞』月19日号に掲載された「強い通販化粧品会社になるために 基礎講座Q&A vol.2」です。ぜひご覧ください。

日本流通産業新聞
通販・ネットビジネス・健康食品・美容業界などの最新動向を専門的に取り上げる業界紙です。実務に直結する情報を多角的に発信し、多くのビジネス関係者に支持されています。
“気持ち”に寄り添うアプローチで、次の商品へつなぐストーリー設計を

販促担当者様
当社は、新規のお客さまの獲得は幸い好調なのですが、「入り口商品」以外の商品がなかなか売れません。商品同梱などでチラシも入れてアピールしているのですが……。クロスセルを機能させ、顧客単価を上げるために何が足りないのでしょうか?
そもそも、通販というビジネスは、化粧品に限らず、クロスセルを仕掛けにくい一面を持っています。それは、広告による直接販売の手法だからです。広告では訴求ポイントを絞り込んでアピールしなければならず、お客さまは、メーカー名やブランドではなく、商品そのものに反応して購入にする場合が多いからです。つまり、その商品にしか興味が湧かないお客さまは、商品自体が良かったら、それで満足し、それ以上の商品やサービスは求めてこないのが本音です。
衝動買いでは終わらせない、続けたいと思えるコミュニケーション

さらに、お客さまは初めて買う商品(お試しセットや本品の特価)については、オファーやあおりのコピーなどにつられて、つい勢いで衝動買いすることも多いわけですが、継続購入やクロスセルでの購入に関しては、勢いだけでは動きません。1回目の購入の満足度にもよりますが、より冷静で合理的な消費行動になることが普通です。企業にとって大切なのは、お客さまの「化粧品でお手入れをして、キレイになりたい」という気持ちを引き出すコミュニケーションを、早い段階で行うことです。
自社の商品がいかにすごいのかというアナウンスばかりを繰り返しても、お客さまは動きません。例えば、入り口として買っていただいた商品に対する信頼が厚いのであれば、その商品と一緒に他の化粧品を合わせ使いする必要性を、お客さまのメリットとともに具体的に提示しましょう。そうすることで、お客さまにキレイになった未来の自分を想像してもらい、「そんな自分になりたい」→「そのためには買わなくちゃ!」という流れで、気持ちを引き出していくコミュニケーションや、販売促進を行っていくことが大切です。
広告以上に大切なクロスセルのストーリー設計

クロスセルを成功させるためには、「買わなくちゃ!」とお客さまに思ってもらうための「理由」や「価値」をていねいにきちんと伝えていくことが、新規顧客開発の広告以上に重要になるのです。そのためには、どんなお客さまをどのような商品で、どんな気持ちにしてあげたいのか。そんなストーリーを具体的に描く必要があります。
言い換えれば、「お客さまの気持ちに寄り添って、キレイになりたいという想いをどれだけ盛りたてることができるか」が、クロスセルを成功させられるかどうかの鍵になります。「お客さまをもっときれいにしたい」と考えて、お客さまの美容意識の育成に取り組んでみてはいかがでしょうか?

鯉渕登志子
価格訴求に頼らず、ブランド価値を伝えて継続購入につなげるコミュニケーションはフォー・レディーにお任せください。

















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