通販化粧品において、創業時から支えてくれているロイヤルカスタマーは、企業の成長に欠かせない存在です。しかし多くの場合、その大切なお客さまに対して差別化されたサービスは提供されていないのが実情。これからも選ばれ続けるブランドであるために、どのような取り組みが求められるのでしょうか?今回のコラムは、『日本流通産業新聞』5月17日号に掲載された「強い通販化粧品会社になるために 基礎講座Q&A vol.3」です。ぜひご覧ください。

日本流通産業新聞
通販・ネットビジネス・健康食品・美容業界などの最新動向を専門的に取り上げる業界紙です。実務に直結する情報を多角的に発信し、多くのビジネス関係者に支持されています。
他業態の“お得意様対応”に学ぶ、通販化粧品の進化

企画担当者様
弊社は通販化粧品をスタートさせて10年がたちました。創業当時からずっとご愛用くださっているお客さまもいらっしゃいます。しかしわが社では、このような優良顧客の方々に対して特別なサービスを行っておりません。これからも弊社の製品を使い続けていただくために、今後どのようなサービスや特典を用意すれば良いでしょうか?
創業してからある程度の年月を経た通販化粧品会社は、「ロイヤルカスタマー1によって支えられる」と言っても過言ではありません。その会社の営業戦略や顧客の区分方法にもよりますが、アクティブ顧客2の5~10%に当たる上位のロイヤルカスタマーの売上げが全体の50%を占めている例も。しかも、ロイヤルカスタマーはその会社の商品を何度も購入してくれ、周りの家族や友人にも商品を推奨してくれる、とても重要なお客さま。
強い通販化粧品会社になるためには、ロイヤルカスタマーのために、一般顧客と区別されたサービスを積極的に実施するべきでしょう。
スイッチ防止には、気持ちに寄り添う“関係性の設計”を

通販は誰でも簡単に購入できることがメリットですが、その代わり他社ブランドにもスイッチしやすいというデメリットもあります。一度購入されたお客さまが、簡単に離脱しないように、お客さまの気持ちに寄り添った関係性のストーリーを描き、何度も購入していただく楽しみやメリット(特典など)を感じられるようにしたいものです。特にロイヤルカスタマーへのサービスは、訪問販売、店舗販売など他業態のお得さま様対応を通販流に応用して活用すべきでしょう。店舗販売からは教育された販売員のきめ細やかなサービスを行う接客力。これは通信販売ではコールセンターが受け持つべきです。
訪問販売からは、お客さまとつながりが強い販売員による人間関係の構築力。こちらは販促担当のアイデア力で補うべきです。それに加えて、通信販売ではお客さま情報をデータベースとして保有し、配送やメールリリースなどスピード感のある“機動力”があります。
これら他業態の強みから学び、通信販売の枠を超えたきめ細やかなサービスを実施することで、ロイヤルカスタマーが他社へスイッチするのを防げるはずです。

特別感を演出する独自サービスのアイデアいろいろ

通販化粧品会社でも、年間購入金額が高いロイヤルカスタマーを有名ホテルのパーティーに招待したり、アフターサービスとして自社製品を使ったマッサージを行ったり、徹底したお肌のカウンセリングを行う特別なコンシェルジュサービスを実施したり、訪問販売のようなサービスを実施している会社もあります。またロイヤルカスタマー専用の情報誌を発行し、お客さま同士の絆を深めたり、新製品開発のモニターになってもらったり、会社や工場見学に来てもらったりと、それぞれの会社の特長を活かした、さまざまな「優良顧客サービス」を行っているようです。
もちろん多くの会社が、ロイヤルカスタマーにはポイント制度や割引サービス等で価格的な特典、プレゼント贈呈などで“感謝の気持ち”を表しています。まずは、あなたの会社にふさわしいできることからスタートすることが大事でしょう。そのためにも、ロイヤルカスタマーのご要望に耳を傾け、小さなことでも、喜ばれることを実施したいものです。

鯉渕登志子
「何かしたいけど、何をしていいか分からない」——そんな通販化粧品会社さまの声に、フォー・レディーはお応えします。顧客満足を高める特典・サービスを、調査・提案・実行までトータルでお手伝いできます。
用語解説
- ロイヤルカスタマー―企業の商品やサービスを長期的・継続的に利用し、売上にも大きく貢献する「優良顧客」のこと。ファン・固定客とも呼ばれる。 ↩︎
- アクティブ顧客―一定期間内に実際に購入や利用をした顧客。休眠顧客や離脱顧客と区別される。 ↩︎
















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