「クレームへの対応はしているけれど、それ以外のお客様の声は集めきれていない」――そんな企業は少なくありません。しかし、通販化粧品ビジネスにおいては、お客様の一言一言が未来を変える財産です。では、どうすれば本音を引き出し、活かせるのでしょうか?今回のコラムは、『日本流通産業新聞』12月3日号に掲載された「強い通販化粧品会社になるために 基礎講座Q&A vol.31」です。ぜひご覧ください。

日本流通産業新聞
通販・ネットビジネス・健康食品・美容業界などの最新動向を専門的に取り上げる業界紙です。実務に直結する情報を多角的に発信し、多くのビジネス関係者に支持されています。
コールセンターの声を正確に蓄積し、日々の情報源にする

弊社ではこれまでお客様からの「クレーム」については、きちんと対処することはもちろんですが、その要因をまとめてデータ化しています。しかしその他のお客様のお声はまとめていませんでした。これからもっとお客様の本音に触れる機会を設けたいと考えていますが、具体的にはどのような方法があるのでしょうか?
通信販売はお客様と一緒に作り上げるビジネスです。特に化粧品の場合は、日々のお客様とのやり取りを通じて「美容サロン」のような情報交換の場を作りあげなければ成功はないでしょう。
化粧品はお客様にご使用いただいて初めて効果を発揮する商品です。単に物を渡しただけで終わりのビジネスではないはずです。お客様の肌悩みの解決方法や1人ひとりに合った使用方法のアドバイス、季節の美容情報等の提供がなくては成立しないビジネスなのです。つまり極端に言えば、化粧品は販売した時が始まりのビジネスで、「売りっぱなしにしない!」ことがリピート顧客を増やし、ビジネスが成功する要因となります。
そのため通販化粧品の場合は、お客様との交流が最も大切になってくるのです。
それも「クレーム」のようなネガティブな情報はもちろん、テクスチャーや香りの好き嫌い、使用感や効果の実感ポイント等、すべてにわたってお客様の「本音」を集めてデータ化し、1人ひとりのお客様との交流(コミュニケーション)にフル活用するべきです。つまり1人ひとりのお客様をより深く知ることが最も大切です。お客様とのやりとりこそが、会社の財産になるのです。
初回注文時の「ひとこと質問」が貴重な情報源に

コールセンターに寄せられるお声は、クレームであれお褒めの言葉であれ、一つひとつが貴重な情報です。どの商品についてどんな意見や感想があったのか、正確な情報を掌握するべきです。コールセンターからは日報、週報、月報の「声のレポート」をきめ細かく出してもらい、情報を蓄積するべきです。
お客様の本音に触れる第一歩は、初めて注文をいただいた後に、一言質問させていただくのも有効な手段です。あまり長い質問は失礼ですが、購入動機やブランドを知ったきっかけ等を伺えば、商品の注文と同時に貴重な情報を得ることができます。
またサンプルをご使用いただいたお客様には、必ず感想を伺うようにしたいものです。方法はお客様の負担にならない方法を考えましょう。(Web,コール、ハガキ等、お客様に選択していただきましょう)
「取りっぱなし」にしない――必ず結果と改善を報告

お客様の本音に触れるチャンスは、コールセンターだけではありません。
既存のお客様にアンケートをお願いしたり、モニター会員1を募集して座談会やグループインタビュー2を行うなど、さまざまな方法が考えられます。
ただし、お声を寄せていただくことを一方的にお願いするだけでは、次第に協力者は減っていくでしょう。例えばアンケートは、お客様が忙しい時間を割いて回答しくださっているのです。きちんとしたアンケート結果の集計報告をすることや、お伺いしたお声で製品やサービスを改善した等の報告をするべきです。一番やっていけないことは「アンケートを取りっぱなしにする」ことです。
また、アンケート用紙を作る時に注意したいことは、いかにお客様がストレスなく記入していただけるかに配慮するべきです。できるだけわかりやすい質問を設け、フリーアンサーの項目は絞り込みましょう。たったハガキ1枚のアンケートでも、お客さま目線で記入しやすい表現にするべきです。そんなところにも通信販売会社として、お客様をどんなふうに大切に思っているかの姿勢が表れてしまいます。


鯉渕登志子
お客様の声を拾い、活かすことがリピート顧客育成の第一歩です。フォー・レディーは、コールセンター調査から会報誌、アンケート設計まで、御社に最適なコミュニケーション設計を伴走支援します。
用語解説
- モニター会員―商品やサービスを実際に使って感想を提供してくれる協力会員のこと。座談会やアンケートに参加してもらうことで、お客様の本音に近い意見を集めることができる。 ↩︎
- グループインタビュー(座談会)―数名のお客様に集まっていただき、自由に意見を出し合ってもらう調査手法。1対1のアンケートでは出にくい「共感」や「生の気づき」を得られるのが特徴。 ↩︎
















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