「もっと元気に」「もっと前向きに」そう声をかけても、現場の空気が変わらない—。通販ビジネスの現場で、多くの経営者が感じているこの違和感。実は、業績の伸び悩みやチームの停滞は、数字や施策以前にある“分かりやすいサイン”として現れていることがあります。今回のコラムは、『日本流通産業新聞』12月18日号に掲載された「強い通販化粧品会社になるために 基礎講座Q&A vol.120」です。ぜひご覧ください。

日本流通産業新聞
通販・ネットビジネス・健康食品・美容業界などの最新動向を専門的に取り上げる業界紙です。実務に直結する情報を多角的に発信し、多くのビジネス関係者に支持されています。
組織の変化は、現場の空気に最初に現れる

担当者様
いつも「もっと元気に、明るく」「もっと皆でアイデアを出して」と社長から言われるが、思うように部下が動いてくれない。チームを盛り上げる秘訣を教えて欲しい。
通販ビジネスに限らず、最近はあらゆる業種で「勝ち組」と「負け組」の差が大きいようです。例えば、当社の事務所がある銀座でも、身動きができないほどお客さまが殺到している店もあれば、閑古鳥が鳴いているような店もあります。通販で、「バズった」と言われるような大ヒット商品が生まれることもあります。
決算のデータを見てみると、対前年比プラス10%以上の会社がある一方で、マイナス10%超えの会社もあります。かつてのように有利な業態が勝つというわけではなく、個々の企業ごとに差が大きくなっている印象です。
この業績格差を広げているのは、「SNSの活用による集客戦略の差」のようです。例えば、「行列ができる店」になれるかどうかを分ける要因の一つは、SNSで紹介されているかどうかだと思います。
通販も同じようにSNSで話題になっている企業は新規獲得が順調です。もちろん話題性だけで集客したお客さまがその後、固定客として定着してくれるかどうかは、各社の戦略によります。
化粧品などの消耗品は、継続顧客育成と商材のクロスセルを成功させて客単価を上げ、1人当たりのLTVを高めないと、新規獲得の人数を集めただけでは成功とはなりません。
成長企業の忙しさは、社員の表情を曇らせない

そんな構造がありますから、「本当の勝ち組」になるための忙しさの中で働けるかどうかが、中で働く現場スタッフの士気にも関わります。その場限りの忙しさに振り回されている状況とは、大きな違いがあると思います。
未来が大きく広がる「本物の勝ち組」の忙しさは、疲れも吹き飛ぶようなカラッとした雰囲気があり、目標も明確に見えて、ストレスも少なく、自らメリハリをつけて働けるでしょう。そのためスタッフの表情も明るいことが多いです。
一方、その場限りの対応に追われる「負け組組織」の忙しさは、疲弊する忙しさです。集客もその場限りの数字に追われて、ビジネス全体の収益構造が精査されていないため、戦略の軸がぶれてしまいます。そうすると忙しさも自らコントロールできず、ストレスが溜まりスタッフの表情は暗くなりがちです。
私は「勝ち組」と「負け組」の差は、ここに表れると思っています。そのため、いつも会社の成長は、現場で働く社員たちの表情に表れると考えてきました。
勝ち組企業は、社員の表情で組織の力を測っている

あまりにもオーソドックスな手法だと批判を浴びるかもしれません。しかしそもそも我々のビジネスは、お客さまのニーズに応えて喜んでいただき、サービスや商品を提供したスタッフが喜び、その結果として会社や組織も収益を上げていくという好循環の仕組みを回すことにあります。
その結果は、現場スタッフの明るい生き生きとした表情に集約されます。これこそが、何よりも「勝ち組になる証拠」だと思います。
スタッフの表情から生まれるやる気や活力といった、「その場の空気」は、最新のAI技術でもなかなか読み解くことのできない、組織のパワーです。
そのように考えると、嫌いな仕事を無理やり押し付けるのではなく、スタッフが得意な仕事に目標を与えて、自由に楽しく取り組ませる方が、ストレスも軽減され、仕事の成功率も上がるのではないでしょうか。
その前提条件として、現場の問題点を徹底的に議論して、解決策や戦略を共有することが不可欠です。そうすると個々の現場での目標と会社全体やブランド全体の目標を共有することが出来ます。一見、時間がかかる手法のようですが、メンバーのベクトルがそろうことで、結果的にはスピーディーに目標に達するでしょう。
スポーツでもなんでも、チームで行う仕事は、各メンバーの意識と組織全体の一体感が盛り上がった時に、すでに「勝者」となっています。それはビジネスにおいても変わらない真理です。

鯉渕登志子
フォー・レディーが支援してきた企業の多くも、成長の転換点は「施策を増やしたとき」ではなく、現場の視点と会社の方針が一本につながったときに訪れています。表情が変わり、空気が変わり、チームが自然に動き出す。その変化こそが、持続的な成長のサインだと、私たちは考えています。

















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