「毎日使っているのに、広告にあるような効果を感じない」―通販化粧品の現場では、こうした声が少なからず聞かれます。しかしその原因は、製品そのものではなく使用量や使用方法が正しく伝わっていないことも少なくありません。なぜ伝わらないのか、企業側が取り組むべき工夫について考えます。今回のコラムは、『週刊粧業』3月16日号に掲載された「激変するコスメマーケット vol.21」です。ぜひご覧ください。

週刊粧業
化粧品、日用品(トイレタリー製品、石鹸洗剤、歯磨き等)、医薬品、美容業、装粧品、エステティック等を中心とした精算・流通産業界の総合専門紙として、日々変化する業界の最新動向を伝えています。
「効果がない」という声の裏にあった“使い方のズレ”

ある通販化粧品会社様のためにお客様座談会を開いた時のこと、50代のお客様から「毎日使っているのにしっとりしないし、ツヤも出ない。広告に書いてあるような効果は全然ない」とお叱りを受けた。そこで、よくよく話を聞いてみると、会社が推奨する使用量と使用方法1をまったく無視して使っていることが分かった。
会社側は「化粧水は2プッシュでコットン使い」を推奨していたが、お客様は若い頃からの習慣で「手付けが当たり前」と思い込んでいた。使用量も「1プッシュ」で十分ではなかった。間違った使用方法が原因で「効果がない」というクレームを受けたこの会社は、改めてお客様向けにお手入れ方法についてセミナーを開催することにした。
情報は出しているのに、なぜ伝わらないのか

化粧品はお客様に使ってもらって、はじめて目的を果たせる商品だ。そのため使用方法や使用量はとても重要となる。また商品毎にメーカーが設定した使用方法も使用量も異なる。間違った使用方法では十分な効果を発揮できないし、効果を過小評価されてしまう。商品への信頼を高めるためには、使い方を徹底してお客様に理解してもらい、実践してもらわなくてはならない。
会社側からは、「わが社は十分に情報を提供している。店頭では美容部員がきちんと説明し、通販なら情報誌で繰り返し紹介している。使い方や使用量をイラストで表したり、説明書を製品に入れたりしている」と説明される。しかし、会社側が思っている程、お客様に情報は伝わっていないことが多い。
というのもお手入れは、生活の中に習慣として溶け込んでいるため、なかなか変えることができない。年齢に応じて使う化粧品は変わるはずだが、その使用方法、使用量は相変わらず「若い頃のまま」という人も意外に多い。
使用量・使用方法を「守ってもらう」ための具体的工夫

習慣化したお手入れ方法を変えてもらうためには、もっと丁寧に分かりやすい説明を繰り返して伝える必要がある。店頭販売ならば、美容部員がお手入れを施すのでなく、お客様自身に実際に手に取ってやっていただく。購入された商品の使い方を簡潔に記載したパンフレットを商品と一緒にお渡しするというようなことだ。
ある通販化粧品会社では、使用方法と使用量を守ってもらうため、洗面所に置けるようにPP加工した撥水性のパンフレットを同梱している。使う順番や使用量を商品ボトルにデザイン化して表示している会社もある。
使用量の表現もいろいろと工夫すべきだ。使用量をコイン大で説明されても化粧水のように広がるものとテクスチャーが盛り上がるクリームのようなものを同じくコイン大で表現するのは無理がある。マスカット大、小豆大、500円玉大など、テクスチャーに応じた表現があるはずだ。何に例えるのが一番分かりやすく伝わるか、もう一度吟味したほうがよいと思う。料理に計量スプーンがあるように、お手入れの計量スパチュラを作ってみてもいいだろう。
化粧品の力を最大限に引き出すために、正しい使用方法と使用量を守ってもらえるよう、その大切さをお客様にきちんと理解してもらえる努力をもっと真剣にするべきではないだろうか。

鯉渕 登志子
使用量や使用方法が伝わらないことで、本来の価値が実感されていない—そんな“もったいない状態”を、フォー・レディーはまずお客様調査とコミュニケーション設計で見直します。何かうまくいかないと思われたときはぜひご相談ください。
用語解説
- 使用量・使用方法-メーカーが、化粧品の効果を十分に発揮させるために設定している、1回あたりの使用量と使い方(塗布の順番・手付けやコットン使用など)を含めたお手入れの指針。どちらか一方が欠けても、効果を実感しにくくなる。 ↩︎

















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