失敗しない化粧品リニューアルとは?既存顧客を失わない5つのポイント

大型ブランドをはじめ、化粧品業界ではリニューアルの動きが加速している。しかし、新発売とは異なり、既存顧客を抱えるリニューアルは一歩間違えると、新規獲得どころか、長年のファンを失うリスクをはらむことに…。では、失敗しないリニューアルとは?今回のコラムは、『週刊粧業』7月16日号に掲載された「激変するコスメマーケット vol.15」です。ぜひご覧ください。

週刊粧業
化粧品、日用品(トイレタリー製品、石鹸洗剤、歯磨き等)、医薬品、美容業、装粧品、エステティック等を中心とした精算・流通産業界の総合専門紙として、日々変化する業界の最新動向を伝えています。

忙しい人向け|対談で学ぶ〝化粧品リニューアル成功の5つの鉄則

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既存顧客の「生の声」を集めることが、リニューアルの出発点

ここ最近、大型ブランドをはじめ、さまざまな会社のリニューアルが続いている。

新発売とは異なり、既存顧客が存在するリニューアルは一つ間違えれば、新規顧客の獲得はもとより、既存顧客まで失うことにもなりかねない。

リニューアルを成功に導く鍵は何か? あらためて考えてみた。重要なポイントは5つあると思う。

まず一つ目は、リニューアルのための準備。もっともこれは日常的に徹底して行うべきことだが、既存顧客の声を徹底して集める情報収集作業が最も大事なことだと思う。

クレームだけでなく、称賛の声や要望を含めて、すべてのお客様の声をあらゆる方法で集めて、日常的にチェックしておくこと。毎日さまざまなお客様があらゆるシーンで使っているからこそ出る「生の声」に耳を傾けることはリニューアルの大前提になると思う。

二つ目は、新しい技術や進化した原料など、美容トレンドを少しでも取り入れて進化させること。必ずしも目新しいものに飛びつく必要はないと思うが、お客様も日々進化し、実感する美容感度がますます鋭くなっているように感じる。

そんなお客様のために、客層に相応しい最新テクノロジーの導入や原料開発は不可欠なのではないかと思う。

開発プロセスと製品力が、リニューアルの成否を分ける

三つ目は、リニューアルの開発プロセスについては、「丁寧に、丁寧に」行なうべきだと思う。

発売日に間に合わせるため商品の仕上がりを妥協するようなことがあってはならない。何度もテストを繰り返し、効果・効能・安全性・使用感に至るまで、作り手のこだわりやお客様の要望をとことん追求していく開発姿勢が製品力を左右するのではないだろうか。ましてリニューアル商品は既存客にNGを出されるようなことがあっては、ビジネスの終焉に直結する。

四つ目は、イメージ先行のリニューアルは要注意しなければならないということだ。もちろんイメージ戦略はとても大切だが、最近はエビデンスなど客観的な結果が求められるようになっている。

化粧品もイメージだけではなく、実感を伴う製品の価値が厳しく問われ始めている。

リニューアルはゴールではない。製品を育て続ける視点

五つ目は、リニューアルの目的を明確にお客様に伝えることである。会社側は、改良に改良を重ねて製品をバージョンアップしているつもりでも、お客様にその良さが伝わなければ意味がない。

既存客にとっては「もともと好んで使っているものを会社側の都合で変更した」ことと同じなのである。

製品が変わっても納得して継続使用いただくためには、情報ツールでお客様に徹底した告知が不可欠だし、できればリニューアルを機会に新規顧客も取り込みたいものである。

リニューアルとは一回で終わるものではない。また、「発売して3年経過したからそろそろ潮時」などという理由で行なうものでもない。たとえ、6カ月前にリニューアルしても不具合があればすぐに改良するべきものだと思う。つまり、リニューアルにゴールはなく、常に進化し続け、製品を育て上げることが大切なのではないだろうか。その積み重ねによって、ロングセラー製品が誕生する。

莫大なコストがかかるリニューアル。会社側視点のみの改良にならぬように臨みたいものである。

株式会社フォー・レディー 代表
鯉渕 登志子

フォー・レディーでは、お客様の声を軸に、商品・開発・情報の整理を行いながら、無理のない進化を積み重ねていくリニューアルをご支援しています。「変えるべきか、守るべきか」その判断に迷ったときの整理役として、私たちがお役に立てれば幸いです。

深掘りQ&A

ニューアル前に「やってはいけない判断」はありますか?

売上数字や社内評価だけを根拠に進めることです。売上の伸び悩みや、社内でのマンネリ感を理由にリニューアルを決断してしまうと、本来守るべき「既存顧客が評価している価値」を見失うことがあります。リニューアルは課題解決の手段であり、目的そのものになってはいけません。

既存顧客の声が割れている場合、どちらを優先すべきでしょうか?

声の「大きさ」ではなく、「背景」を見ることが重要です。一部の強い要望に引っ張られると、多数派の静かな満足を壊してしまうことがあります。どの層が、どんな使い方をして、どんな理由でそう感じているのか。感情の裏にある使用実態や価値観を読み取る視点が欠かせません。

リニューアルを繰り返すことで、ブランドが不安定になることはありませんか?

「場当たり的な変更」でなければ、その心配は少ないと考えます。一貫した考え方や価値観のもとで行われる改良は、むしろブランドへの信頼を積み重ねる要因になります。重要なのは、変更の回数ではなく、判断軸がブレていないかです。

ABOUT US
株式会社フォー・レディー 代表 鯉渕登志子
日本大学芸術学部卒業後、アパレル業界団体にてファッション経営情報誌の編集に携わり、カネボウファッション研究所を経て、1982年に株式会社フォー・レディーを設立。これまで手がけた化粧品・ファッション通販企業は180社を超えます。一貫して「女性を中心とした生活者ターゲット」に寄り添い、消費者の実感から発想することを信条としています。 「自分が使って心から納得できるものを届ける」というポリシーのもと、コンセプト設計からクリエイティブ制作までを一貫して行っています。また、日本通信販売協会などでの講演実績も多数あり、生活者視点のマーケティングを広く発信しています。

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