新規顧客の獲得が思うように進まない――。多くの通販化粧品会社が抱えるこの悩みの背景には、「同質化」という大きな問題があり、消費者から見れば違いが分かりにくい状況。個性を取り戻すには何が必要なのか?今回のコラムは、『日本流通産業新聞』2月6日号に掲載された「強い通販化粧品会社になるために 基礎講座Q&A vol.18」です。ぜひご覧ください。

日本流通産業新聞
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業界全体を覆う“同質化”の壁をどう突破するか!

最近、新規顧客開発が不振です。媒体を変えても、クリエーティブテスト1を繰り返しても、全くといっていいほど新規顧客が取れません。今後、どのようにしたらよいか教えてください。
通販化粧品の新規顧客開発は現在多くの会社が不振の状態です。
理由はいくつか考えられますが、私は第一の要因として、「新規参入が相次いだことによる、業界全体の“同質化”」にあると思います。そもそも化粧品メーカーは、製造工場まで備えている企業があまり多くないため、「化粧品企画=販売会社」と「OEM製造=メーカー」に分かれている場合が多い。そうすると、どうしても処方が似たものが多く出回ったり、他社と差があまりないコンセプトのモノが出来上がったりしてしまうのは仕方のないことのように思います。
また「販売」についても、通販の場合は「広告代理店」や「マス媒体社」に頼ることが多くなります。その中で、「確率・効率」の良い方法を探していくと、「似たような戦略」になってしまうのも仕方のないことかもしれません。つまり商品も広告も似たようなものが世の中にあふれて、お客さまにとってはその差が分かりにくくなっているのではないでしょうか。
お客さまが選べない時代こそ、原点回帰が差別化の鍵

差がなくなってくると、お客さまは「どこが良いのかわからない」「何を買ったらいいのか」と選べなくなってしまいます。結果として「買わない」という選択肢を選んでいるのだと思います。
この状況が、「同質化による不振」につながっていると思います。この「同質化」現象を打ち破るためには、そもそも自社は何のために化粧品を作るのか、という原点に返って考え直すべきではないでしょうか。
どんな女性たちに、どんな化粧品を提供し、どんなふうにきれいになってほしいのか。さらにどんなふうに幸せになってほしいのか。こうしたそもそもの出発点というか、ビジネスの原点に立ち返ってみる。そうすると、他社との「差」がおのずと明確になると私は思います。
化粧品は「モノ」ではなく、「キレイの物語」を届けるビジネス

化粧品通販は、「思いを伝えるビジネス」だと私は思っています。
それはお客さまに「どんなふうにきれいになって、幸せになってほしいのか」の思いが違うからです。 イメージする幸せのスタイルが違えば、お手入れの方法から、プロダクツとしての製品のテクスチャーや容器の形状まで違ってくるはずです。
化粧品は、女性たちに生き方提案まで含めた「キレイの提案」をしなければならない商材です。そもそもの原点に立ち返れば、各社の「差別化」はもっと明確になるはずだと考えます。ところが現在では、
その各社の「原点の思い」が希薄なことも問題なのではないでしょうか。単なる「プロダクツ=物質」の価値しか伝えられない商品は、化粧品ビジネスにふさわしくないような気がします。

鯉渕登志子
「他社との違いが出せない」「伝えたい想いがまとまらない」――その悩み、私たちも多くの企業さまから伺ってきました。フォー・レディーなら、ブランディング2から広告コミュニケーションまでトータルにサポート。御社の“らしさ”をお客さまに響く形に変えていきます。
用語解説
- クリエーティブテスト-広告表現(キャッチコピー・ビジュアル・デザインなど)の効果を複数案で比較し、反応率が高いものを選定する手法。通販では新規顧客獲得の重要プロセスです。 ↩︎
- ブランディング-企業や商品の「らしさ」を明確にし、顧客に一貫したイメージを持ってもらう取り組み。単なる商品説明にとどまらず、長期的な信頼や共感を築くための戦略です。 ↩︎

















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