顧客満足を高めるプレゼント企画の成功ポイント

プレゼント施策1は感謝の気持ちを届けると同時に、ファンづくりの重要な手段でもあります。しかし、雑誌付録やコラボ商品があふれる中で、お客様の期待は以前よりもずっと高くなっています。では、いま求められるプレゼントとは何でしょうか。今回のコラムは、『日本流通産業新聞』10月6日号に掲載された「強い通販化粧品会社になるために 基礎講座Q&A vol.37」です。ぜひご覧ください。

日本流通産業新聞
通販・ネットビジネス・健康食品・美容業界などの最新動向を専門的に取り上げる業界紙です。実務に直結する情報を多角的に発信し、多くのビジネス関係者に支持されています。

忙しい人向け|対談で学ぶ〝選ばれる化粧品通販のプレゼント戦略とは?〟

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“特別感”と“オリジナリティ”が差別化の鍵

化粧品通販会社 担当者

お客様へ感謝の気持ちを表すためにプレゼントを送ることにしました。ファンづくりに繋がるように、喜ばれるものを差し上げたいと考えています。しかしどんな物がいいのか悩んでいます。プレゼント品を決めるポイントを教えてください。

先日、お客様グループインタビューでプレゼントの話が出ました。

その会社はポーチプレゼントで有名な会社です。そのとき、お客様から挙がったのは、「クオリティーが低い」「デザインが好みではない」「既に持っているので欲しいと思わない」など、たくさんの厳しいご意見。

これまでは人気企画だったのに、これでは逆に不満に繋がりかねないという感じさえして、驚きました。また、お客様のプレゼントに対する要求レベルがとても高くなっていることを実感しました。

最近では、女性誌の付録にも魅力的なプレゼントで溢れています。ポーチやバッグだけでなく、化粧ブラシやキャミソールなどアイテムの幅も広くなり、クオリティーもの高いものが多くなっています。ブランドとのコラボレーションも当たり前で、デザイン性も優れているものが多いようです。

このようにプレゼント競争が激化している今日では、過去に成功したからといって、同じような物を同じように送っているだけでは評価されません。また、豪華な物を作っても、必ず喜んでもらえるとは限りません。ライフスタイルが多様化し、物も情報も溢れている昨今では、お客様のニーズが細分化しており全員に喜ばれることは難しいからです。

喜ばれるプレゼントに欠かせない要素とは?

そもそもプレゼントとは、「特別感」「サプライズ感」「感謝の心」「限定感」などが無いと、届いた時に本当に喜んでもらうことはできないと思います。だからこそ、どこの会社でもやっているようなプレゼントでは意味がありません。オリジナリティがあり、他社には真似できないものを、真心が伝わるように工夫して、丁寧に送るということが大切です。そして何より、お客様が「本当に欲しいもの」を送ることが不可欠です。できれば、すぐに役立つものがよいでしょう。そのためには、お客様の生活スタイルやニーズをきちんと把握していなければいけないと思います。 

また、せっかく送るのですから、会社のコンセプトを表現できる物、イメージアップに繋がるような物にすべきでしょう。単なるプレゼントではなく、お客様に会社のことを知ってもらうキッカケになれば、送るメリットは大きくなります。

お客様との関係強化につながる工夫を!

私は通販化粧品会社は美容関連2のアイテムを送るのがよいのではないかと思います。具体的には、自社製品の非売品3や、自社商品の美容理論に合った美容関連のグッズなど。

非売品については、通常販売していない商品を見せることで開発力を感じていただけますし、本製品への格上げを検討するテストと位置付けてもよいと思います。美容関連グッズは、自社商品と併せて使えるような用品が役に立つでしょう。プレゼントを告知する会報誌やDMなどで、同時に使い方を紹介すると効果的だと思います。

さらに、お客様がいくつかの選択肢から選べるようにしたり、感謝の気持ちが伝わるきれいな梱包にしたりなど、細かな工夫も心がけるべきでしょう。 プレゼント施策は、成功すれば会社を好きになっていただくチャンスとなります。お客様との関係づくりのプラスに繋がるようにしたいものです。

株式会社フォー・レディー 代表
鯉渕登志子

プレゼント施策は、お客様との関係を深める大きなチャンスです。フォー・レディーは、通販化粧品に特化した経験をもとに、ツール活用の工夫やプレゼント企画のご提案まで幅広くサポート。“お客様に喜ばれる仕組み”を一緒に形にしていきます。

用語解説

  1. プレゼント施策-顧客への感謝やブランドロイヤルティ向上を目的とした贈呈企画。単なる販促ではなく、関係性強化のマーケティング手法の一つ。 ↩︎
  2. 美容関連グッズ-自社商品の使用をサポートしたり、美容習慣に役立つアイテム。例:フェイスタオル、美容ブラシ、ヘアターバンなど。 ↩︎
  3. 非売品-通常の販売ルートでは購入できない、特別に用意された商品。サンプルや限定企画品などが該当し、希少性や特別感を訴求できる。 ↩︎

深掘りQ&A

なぜプレゼント施策が重要なのですか?

単なる販促ではなく、お客様への感謝を伝え、ブランドへの愛着を深める大切な機会だからです。プレゼントの質や工夫次第で、ファンづくりや長期的な関係強化につながります。

豪華な品を用意すれば必ず喜ばれますか?

必ずしもそうではありません。ライフスタイルや好みが多様化しているため、高価でも使い道が合わなければ不満につながります。大切なのは「特別感」「オリジナリティ」「自社らしさ」を込めることです。

ABOUT US
株式会社フォー・レディー 代表 鯉渕登志子
日本大学芸術学部卒業後、アパレル業界団体にてファッション経営情報誌の編集に携わり、カネボウファッション研究所を経て、1982年に株式会社フォー・レディーを設立。これまで手がけた化粧品・ファッション通販企業は180社を超えます。一貫して「女性を中心とした生活者ターゲット」に寄り添い、消費者の実感から発想することを信条としています。 「自分が使って心から納得できるものを届ける」というポリシーのもと、コンセプト設計からクリエイティブ制作までを一貫して行っています。また、日本通信販売協会などでの講演実績も多数あり、生活者視点のマーケティングを広く発信しています。

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