商品には満足してくださっている。けれど、ブランドの想いや姿勢までは伝わっていない──。 その“もったいない状態”が続くと、せっかくのロイヤル顧客との関係も、やがて途切れてしまうかもしれません。 私たちが通販会社様と接する中で「良い商品さえあれば自然とファンになっていただけるのでは?」という言葉を耳にすることがあります。けれど本当にブランドを支えてくださるお客様は、商品力だけでなく、企業姿勢や想いにまで共感してくださる“真のファン”だと思います。 今回は、ある会社様と共に取り組んだ「ロイヤル顧客を真のファンへ育てる」ための事例をご紹介します。
製品力だけではファン化が進まない理由とは?
通販ビジネスでよく見られるのは、次のような課題です。

ある化粧品会社様、ここではA社様とよばせていただきます。
A社様も、まさにこの壁に直面していました。製品力は十分にあり、ロイヤル顧客も多い。にもかかわらず、担当者様は「お客様との関係がどこか一方通行で…」と悩まれていました。
私たちも「なぜファン化が進まないのか」を一緒に探ることにしました。
ロイヤル顧客との「つながり」が築けていなかった理由
A社様は、処方や成分に強いこだわりを持ち、お客様から高い支持を集めてきた会社です。ロイヤル顧客も多く、定期的に購入いただける関係も構築されていました。
しかし、実際には「お客様との関係がどこか一方通行」と感じていらっしゃいました。
お取り組みを始める前に会報誌を拝見し、私たちから「お客様が誌面に登場しないことに物足りなさを感じます」とお伝えしました。そこで提案したのが、会報誌を「コミュニケーションの場」へと進化させること。その第一歩として、ロイヤル層のお気持ちを探るグループインタビューを実施しました。

実際に同席して印象に残ったのは、いくつかのお客様の声です。
「美容関連のイベントに参加してみたい」
「同じ悩みを持つ人の口コミを参考にしたい」
こうした“参加したい”という積極的な声が非常に多く、「お客様参加型の企画こそ、A社様とお客様をつなぐ重要な糸口だ」ということが見えてきました。
また、別のお客様からはこんなお言葉もありました。
「この商品を使い続けているのは、A社が実直でまじめ、信頼できるブランドだから」
コールセンターで集まったお声やアンケートでは見えにくい“情緒的な共感”が、はっきりと浮かび上がった瞬間でした。
販促物のブラッシュアップはもちろん、既存のお客さまへのアンケートや座談会などを通じて、商品開発やサービスの充実を図ることも必要でしょう。





