通販化粧品マーケティングの転換期、次の商機は「中高年・シニア層」【鯉渕登志子インタビュー】

「旧来の新規顧客獲得手法が通用しなくなってきている」──通販化粧品業界の現場で、そう感じている方は少なくないのではないでしょうか。代表の鯉渕登志子が、転換期にある市場の現状と、次の商機として注目する「中高年・シニア層」について語りました。『日本流通産業新聞』2026年6月25日号に掲載されたインタビューをご紹介します。

日本流通産業新聞
通販・ネットビジネス・健康食品・美容業界などの最新動向を専門的に取り上げる業界紙です。実務に直結する情報を多角的に発信し、多くのビジネス関係者に支持されています。

忙しい人向け|対談で学ぶ〝目先の数字を捨てて4000万人のシニアを掴む

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─化粧品通販のマーケティングの動向をどう見ているか。
鯉渕:現代の通販化粧品業界は、原材料高騰やターゲットの変遷など、大きな転換期にある。旧来の新規顧客手法はことごとく通用しなくなってきている。

新規獲得における注意点だが、マーケティングの基本である「誰に」「何を」提供するかというコアの部分からズレるとうまくいかなくなる。いくらペルソナを設定しても、広告やLPなどを運用する中で、数字(レスポンス)が良いものに寄せていくと、当初のターゲットから自然と大きく乖離が起こっていくという問題がある。

数字(効率)だけを追い求める「刈り取り型」の構造には限界がある。
一方で、中長期に勢いが衰えないブランドは、ブランドや商品開発の核となる理念を貫いている。

─今後のマーケットにおける商機は。
鯉渕:私が通販化粧品のターゲットとして、今後より強く推奨したいのは、「中高年世代」だ。

店頭販売各社は若い世代の新規獲得に注力しているが、一部のトラブルの多い肌質の人を除き、一般的に20~30代は、肌悩みがそれほど深刻ではなく、可処分所得も低い傾向がある。人口も少なく、通販の化粧品価格を支払える人が少ないのではないか。

広い意味での「中高年~シニア層」は次の〝宝の山〟となる可能性が高い。

日本の最大の人口ボリューム層は団塊世代から団塊ジュニア世代までを合わせると約4,000万人以上となる。化粧品に使える予算も若年層より多く、現在では男女ともに美容意識が高く、自分への投資を惜しまない人も少なくない。ところがこの世代を細かくセグメントした研究はあまり多くない。ここをひとくくりにせず、年代ごとに細かくセグメントしてそのインサイトを研究している企業が、今後は大きな商機を得るだろう。

世界的なトレンドとして、「長寿と美」への注目度がより一層高まっている。「長く生きたい」のは人類共通の願いだ。単なる命を長らえるだけではなく、「元気で活動的な生活を維持したまま長生きしたい」という理想に向かって、世界の資産家はこぞって「長寿と美」に投資を行っていると聞く。関連技術が飛躍的に進歩し、より多くの人がその恩恵を受けられるようになる可能性もある。そうなると、医療と美容の発展は必須の条件になる。

「人生100年時代」において、この大きな潮流に乗ったブランド・マーケティングの設計も重要になってくるのではないかと考えられる。

─激動の市場に対し、どう立ち向かうべきか。
鯉渕:短期的には耐え忍ぶ時期だと覚悟を決め、2~3年の長期スパンで戦略を立て直すことが重要だ。生き残るのは、明確な「パーパス(存在意義)」を持ち、小手先のテクニックに頼らず、顧客と一生付き合う覚悟を決め、ブランドの土台を固める時期と言えるだろう。

化粧品を売るだけでなく、健康を含めて、顧客の人生に寄り添う視点を持つこと、そして「J-Beauty」として世界に打って出るための独自の切り口を持つことが、これからの時代を生き抜く鍵になると考えている。


次の”宝の山”は、中高年・シニア層。では、その世代にどう届けるか──。
今の時代に合った訴求や接点づくりのヒントを、実践ポイントとしてまとめました。

ABOUT US
株式会社フォー・レディー 代表 鯉渕登志子
日本大学芸術学部卒業後、アパレル業界団体にてファッション経営情報誌の編集に携わり、カネボウファッション研究所を経て、1982年に株式会社フォー・レディーを設立。これまで手がけた化粧品・ファッション通販企業は180社を超えます。一貫して「女性を中心とした生活者ターゲット」に寄り添い、消費者の実感から発想することを信条としています。 「自分が使って心から納得できるものを届ける」というポリシーのもと、コンセプト設計からクリエイティブ制作までを一貫して行っています。また、日本通信販売協会などでの講演実績も多数あり、生活者視点のマーケティングを広く発信しています。

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