敏感肌や加齢による変化など、現代の肌悩みは複雑化し、一人ひとり異なるものになっています。生活環境や食習慣が肌に与える影響を振り返りながら、個々の肌質やライフスタイルに合わせて選べる「パーソナライズ化粧品」が求められる背景を考えます。今回のコラムは、『週刊粧業』2026年6月29日号に掲載された「激変するコスメマーケットvol.120」です。ぜひご覧ください。

週刊粧業
化粧品、日用品(トイレタリー製品、石鹸洗剤、歯磨き等)、医薬品、美容業、装粧品、エステティック等を中心とした精算・流通産業界の総合専門紙として、日々変化する業界の最新動向を伝えています。
身近な人にも増えている、複雑で多様な肌トラブル

仕事柄、弊社では社員全員が様々な化粧品を取り寄せて、試用している。そんな中で気が付いたことだが、昔に比べて、過去に何かしらの肌トラブルを経験している社員が多くなったように感じる。社員だけではない、少し若い世代の友人、知人たちに聞いても同じだ。
慎重にスキンケアをしていても、「赤い発疹ができた」「ヒリヒリしたので、試用をやめた」など、小さな肌トラブルの話を聞くことが結構多くなったように思う。
中には、「子供の頃からひどいアトピー性皮膚炎だったが、大人になってやっと合うものを見つけたので、落ち着いてきた」と言う声も。また、自然派化粧品会社のお客様の中には「何軒も皮膚科に通い続けて、やっと合う化粧品を処方してもらった」など、涙ぐましい努力を続けている方もいる。
私自身は若いころから、たいへん丈夫な、あるいは鈍感な肌らしく、あまり肌トラブルを経験したことがなかった。ところが最近になって、たるみやシワなど老人特有の肌悩みの出現とともにトラブルに繋がってしまうケースも出てきた。肌もやはり人体の一部なので、老化現象には勝てず、そのためにいろいろな不都合が出てくるのだろうか。
老人の肌ということで思い出すのは、10年前に96歳で亡くなった母のことだ。母は決して美人だった訳ではないと思うが、肌だけはいつもきれいで白くふっくらとしており、肌トラブルとは縁がない人だった。本人にとってもそれは自慢だったようだ。そのためかよく、姉と私は「せっかくきれいな肌で生んであげたのに、お手入れが悪いからダメなのよ」と怒られたものだった。
そんな母は青春の真っ只中が太平洋戦争と被る大正10年生まれ。普段から日傘、帽子と完全防備し、自ら「へちま」を育てては、薬局に持ち込んで化粧水を作ってもらっていたことを覚えている。本人は「何もしていない丈夫な肌だ」と言っていた割には、美容に気を使っていたのかもしれない。加えて、食べ物や生活習慣も「自然もの」が中心だったから、それも肌にはよかったのかもしれない。
一人ひとりの肌悩みに応えるパーソナライズ化粧品へ

自然環境が肌に大きく影響することは、姪の肌を見て感じたこともある。姪は20代の半ばに2年間、海外青年協力隊員として、アフリカのある国の奥地で、水道事業普及のために赴任していた。「日本人に現地の水は飲めない、電気は時々止まる、雨季は毎日スコールが起き、もちろん住んでいるところには住所もない、交通手段も限定的」という、過酷な環境で過ごしてきたようだ。
現地に行くときは、山ほどの日用品を持って行ったようだが、帰国した姪は、多少日焼けはしていたものの、肌や髪は、つややかでキラキラしており、この上なく元気だった。話を聞くと、現地の方々に頻繁に食事をふるまってもらい、また料理を教えてもらったらしい。それらは完全自然食であり、同時に日が昇ると動き出し、日が暮れると眠るような生活が、肌にも髪にもよい影響があったのかもしれない。
今の私たちの生活環境や食事の複雑化が、一人ひとり異なる肌トラブルを引き起こし、多彩なニーズを生んでいる。だからこそ対応策はますます細分化し、パーソナライズ化が進行している。いくら自然に囲まれた生活が健康的だとはいっても、今の私たちの便利な暮らしを昔に戻すことはできない。それならばせめて、生活の中になるべく自然由来のものを取り入れ、環境に配慮した生活を心がけたいものだ。
パーソナライズ化によって、一人ひとりの肌質やライフスタイルに合わせた解決策が選べるようになったことは歓迎すべきことである。メーカーの技術革新や、業界全体の知恵の結集が可能にしたものだと思う。おかげで消費者は、他の人に合わせて我慢することなく、自分の肌悩みに向き合える化粧品マーケットになったのだから。
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鯉渕 登志子
多様化する肌悩みに応えるためには、成分や機能だけでなく、お客様がどのような生活を送り、何に不安を感じているのかまで捉えることが大切です。フォー・レディーは、顧客の本音を起点に、選ばれ続ける商品づくりとコミュニケーション設計をお手伝いします。
















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