「気に入っているのに解約」される理由―通販化粧品の定期購入離脱を防ぐ顧客目線

通販化粧品会社にとって、定期購入顧客の離脱は大きな課題です。しかも、解約の理由は「商品に不満があるから」とは限りません。商品を気に入っていても、価格施策への不信感や、同梱物・キャンペーンによる売り込み感が積み重なることで、定期購入をやめてしまうお客さまもいます。今回のコラムは、『日本流通産業新聞』2026年6月18日号に掲載された「強い通販化粧品会社になるために 基礎講座Q&A vol.127」です。ぜひご覧ください。

日本流通産業新聞
通販・ネットビジネス・健康食品・美容業界などの最新動向を専門的に取り上げる業界紙です。実務に直結する情報を多角的に発信し、多くのビジネス関係者に支持されています。

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解約の原因は、商品不満ではなく“顧客体験のズレ”にある

通販化粧品会社
担当者様

順調だった定期購入に、離脱の兆しが見え始めた
当社はこれまで比較的順調に、シニアミセス層の顧客を獲得できていました。お客さまの定期購入比率も他社と比較すれば、まずまず良い方だったと思います。ところが最近少し気になるデータが出てきました。徐々に定期購入をやめるお客さまが増えてきたのです。

私は2人の姉とよく旅行に出かけます。1人は義姉、もう1人は実姉です。2人とも70代後半ですが、夫を亡くしてから5年余り。なんだか最近とてもアクティブになって、あちこちに出かけているようです。そのたびに私もよく誘われます。

そんな2人が最近そろって、「通販商品の定期購入をやめた」と言うのです。理由を聞いてみると、まず義姉は「商品は気に入っているけれど、定期購入は止めた」とのことでした。さらに突っ込んで尋ねると、「実は都度買いで続けている」と言うのです。「商品と一緒に届く会報誌やチラシを見ていたら、都度買いの方がお得だと気が付いたのよ」「定期購入は少しお得に買えるけど、同封されているチラシを見ると、まとめ買いや初回プレゼント、シーズンごとのキャンペーンは、ずいぶん安くなっているので、私のようにいろいろ買う場合は、都度買いの方がお得だなと思った」とのことでした。

私も知っている会社なのですが、定期購入と都度購入をいつも比較しているわけではないので、事実かどうかは確かではありません。もしかすると勘違いがあるかもしれませんが、義姉はそう感じたのでしょう。

少なくとも義姉は、その会社について、「商品は優れている」と評価している反面で、「販売の方法には不信感を持ってしまった」ようです。

商品は良くても、“売り込み感”で離れてしまう

一方で、実姉が定期購入をやめた理由は少し異なるようです。ある健康食品を友人から勧められて、定期購入を始めました。商品の良さは知人のお墨付きなので、「良い商品が見つかった!」と、とても喜んでいました。

ところが、それから数カ月たった現在、「私も定期購入をやめた。今は購入していない」とのことでした。あんなに気に入っていたのに、なぜかと尋ねたところ「本当に良かったし、やめたくなかった」と言うのです。

ではなぜやめたのかと聞くと、意外な答えが返ってきたのです。「商品と一緒にいつもたくさんお得なキャンペーンのお知らせが入ってくるのよ」と。

そんなものは見ないで捨ててしまうか、DM拒否をすればよいのではないかと思ったが、その言葉をぐっと抑えて、引き続き言い分を聞いてみることにしました。「とにかくひっきりなしに他の商品を売りつけられている気がして、気が休まらない!」。そのため、定期購入だけでなくお気に入りの商品の使用までやめてしまったようです。

いつもは強い言葉で私に接している実姉ですが、本当は真面目で売り込みも断れない優しい人だった、という一面を垣間見てほほえましく思いました。

定期購入を支えるのは、価格よりも信頼感

2人の姉の定期離脱理由を聞いて、改めて感じたのは、お客さまは「単に安いから」とか「便利だから」という理由だけで定期購入をしているわけではないということです。

定期顧客になって、会社とつながることによって、安心感や信頼感も一緒に買っているのでしょう。さらに定期購入の顧客として大事にされている実感があれば、商品には満足していただけに、心の底から優良顧客として、購入を継続していたはずです。

顧客対応で大事なことは、「会社都合だけの施策を連発しないこと」「最も大切にしたいお客さまはどんな方々なのか、社内で情報共有をきちんと行うこと」、そして「お客さまの目線で施策をチェックすること」です。情報でも施策でも、「何よりもお客さまのお役に立つことが最優先」で考えるようにしましょう。

株式会社フォー・レディー 代表
鯉渕登志子

お客さまが離れてしまう理由は、数字だけでは見えないことがあります。フォー・レディーでは、通販化粧品のお客さまの本音に寄り添い、信頼が継続するCRM設計と実施のお手伝いしています。

深堀り!Q&A

定期購入をやめるお客さまは、商品に不満があるのでしょうか?

必ずしもそうとは限りません。
商品には満足していても、「自分は大切にされていないのでは」「他の買い方の方が得なのでは」「売り込みが多くて負担」と感じることで、定期購入をやめてしまう場合があります。解約理由を見るときは、商品評価だけでなく、価格設計・同梱物・キャンペーン頻度など、購入体験全体像を確認することが大切です。

定期購入の離脱を防ぐために、まず見直すべきことは何ですか?

まずは、定期顧客に届いている情報を一度すべて並べて確認することです。
会報誌、チラシ、同梱物、メール、DMなどをお客さま目線で見ると、「情報が多すぎる」「売り込みに見える」「定期顧客への特別感が弱い」といった課題が見えてきます。社内では良かれと思っている施策でも、お客さまには負担に感じられていることがあります。

ABOUT US
株式会社フォー・レディー 代表 鯉渕登志子
日本大学芸術学部卒業後、アパレル業界団体にてファッション経営情報誌の編集に携わり、カネボウファッション研究所を経て、1982年に株式会社フォー・レディーを設立。これまで手がけた化粧品・ファッション通販企業は180社を超えます。一貫して「女性を中心とした生活者ターゲット」に寄り添い、消費者の実感から発想することを信条としています。 「自分が使って心から納得できるものを届ける」というポリシーのもと、コンセプト設計からクリエイティブ制作までを一貫して行っています。また、日本通信販売協会などでの講演実績も多数あり、生活者視点のマーケティングを広く発信しています。

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