値上げしても選ばれる通販化粧品、その違いはどこにある?

値上げしても選ばれる通販化粧品、その違いはどこにある?

原材料費や資材費の高騰を受け、値上げを迫られる通販化粧品会社にとって、気になるのは「顧客離れ」。しかし、値上げによってお客様が離れてしまうブランドと、価格が上がっても選ばれ続けるブランドでは、何が違うのでしょうか。今回のコラムは、『日本流通産業新聞』2026年10月15日号に掲載された「強い通販化粧品会社になるために 基礎講座Q&A vol.129」です。ぜひご覧ください。

日本流通産業新聞
通販・ネットビジネス・健康食品・美容業界などの最新動向を専門的に取り上げる業界紙です。実務に直結する情報を多角的に発信し、多くのビジネス関係者に支持されています。

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値上げを単なる価格改定で終わらせず、選ばれ続けるブランドになる

通販化粧品会社
担当者様

客離れが怖くて、なかなか値上げに踏み切れません
最近の原材料や資材の値上がりは当社の収益を圧迫しています。いよいよ値上げに踏み切らざるを得ない状況ですが、お客さまが離れてしまうのが心配で決断できません。

今やさまざまなモノが値上がりして、多くの企業が「値上げ」に踏み切らざるを得ない状況です。しかし逆に戦略として「値下げに動き始めた」会社もあるようで、今後の各社の動きから目が離せません。

生活者の声を聞くと、値上げに一定の理解を示す一方、自分が価値を感じるモノには支出し、それ以外では価格を重視するという「メリハリ消費1」も見られます。

必需品としての化粧品の場合は、使用アイテムを減らすなどの対策で乗り切っているお客さまもいらっしゃるようです。こだわりのある商品選びをしているお客さまは、値上げを容認してくれる傾向にあります。

当社の得意先企業では、お客さまから「こんな時代だけど、頑張ってほしい」という励ましのメッセージをいただくこともあると聞いています。たいへんありがたいことです。

値上げによる顧客離れを防ぐカギは、ブランド価値の向上

しかし大切なのは、お客さまのご理解に甘えることなく、価格改定の理由を丁寧に説明するとともに、これまで提供してきた価値を改めて明確にすることです。

原材料費や資材費の上昇分を価格に反映する場合でも、品質、サービス、情報提供を含め、お客さまに「このブランドを選び続けたい」と思っていただけるだけの体験価値を提供する必要があります。

つまり自社がどのような価値で選ばれるブランドなのかを確立し、それに向かって対策を立てること。単なる「原料その他の値上がりをそのまま転嫁するだけ」では、納得しないお客さまもいらっしゃるはずです。そんなお客さまをも説得できるような「値上げ=価値を高める」作戦が不可欠だと思います。

また、通販という販売形態では配送料や資材にも費用が掛かるため、あまり安い商品では採算が取れないという側面もあります。

一方、メディアを通じた販売方法でお客さまを獲得している通販では、悩み解決などの訴求ポイントが明確に絞られている商品が成功しているようです。

そうした中、値上げの潮流は、通販化粧品会社にとっては、改めて自分たちのブランド価値を見直す機会になるかもしれません。

【関連コラム】自社がどのような価値で選ばれるのかを整理するには、関連記事「ブランドコンセプトの意味と作り方」もご覧ください。

「通販は安い」から脱却!価格以外で選ばれるブランドづくり

そもそも通販化粧品が世の中に登場した初期の頃は、「通販でしか売っていない」ことを武器に、ユニークな商品や、便利な商品、コストメリットのある商品を展開する事業者などが、通販の中心でした。

本来、店頭販売には、接客や体験の強みがあり、通販には継続的な情報提供や、お客さまとの関係づくりという強みがありました。

しかしいまや、ほとんどの化粧品が通販で買えてしまいます。「通販」という販売業態のメリットは少なくなり、当たり前の販売方法になっています。

だからこそ、どういった販売チャネルであるかにかかわらず、自社が〝どのような価値で選ばれるブランドなのか〟を明確にすることが大切なのです。

その上で、注文、変更、休止、解約が分かりやすいなど、定期購入の利便性の高さや、継続的な情報提供の仕組みにさらに磨きをかけていく。必要に応じて、肌の状態や、商品の使い方についても、お客さまが、専門知識を持つ担当者に相談できる仕組みを整える。そんな体制を目指すことで、価格だけに依存しない強固なブランドポジション2を築くことができるのではないでしょうか。

値上げを単なる価格改定で終わらせず、自社が提供する価値を見直し、お客さまへ丁寧に伝える機会にしてはいかがでしょうか。

株式会社フォー・レディー 代表
鯉渕登志子

その値上げ、「これからも使いたい」につなげませんか?
価格改定で大切なのは、値上げの理由を伝えることだけではありません。これまで築いてきた信頼を守り、ブランドへの愛着をさらに深めることです。フォー・レディーは、通販化粧品会社の価格改定時のコミュニケーションから、継続購入・ファン化につながるCRM施策までご支援します。
継続購入・ファン化につながる施策については、CRM戦略・顧客育成のプランニング支援をご覧ください。

用語解説

  1. メリハリ消費—生活者が、こだわりや価値を感じる商品・サービスには積極的にお金を使い、それ以外の支出は節約する消費行動のこと。物価高の中で、価格だけでなく、自分にとっての必要性や満足度を重視する購買意識を表す言葉です。 ↩︎
  2. ブランドポジション—競合する商品やブランドと比較したときに、消費者の心の中で自社ブランドが占める独自の位置づけのこと。「肌悩みに寄り添ってくれる」「品質に信頼がおける」など、消費者からどのような存在として認識されているかを意味します。 ↩︎

深堀り!Q&A

お客様がどの程度の値上げまで受け入れてくれるのか、事前に調べる方法はありますか?

顧客アンケートやインタビューで、価格改定への受け止め方や継続購入の意向を調べる方法があります。
ただし、「いくらまでなら買うか」という回答と実際の購買行動は必ずしも一致しません。価格帯別の購入意向を調べる手法に加え、過去の購買履歴や購入頻度なども組み合わせて判断することが大切です。

値上げ後、お客様が離れ始めている兆候を早めにつかむ方法はありますか?

 定期購入の配送間隔を延ばすお客様が増える、購入数量が減る、休止や解約に関する問い合わせが増えるなどでしょうか。
そういった変化は、継続意向を確認するきっかけになります。こうした行動変化を顧客データから把握し、必要に応じてアンケートや個別のヒアリングを行うことで、顧客離れの背景を探ることができます。

価格改定への受け止め方や、選び続ける理由を把握したい方は、アンケート・インタビューによるお客様調査をご覧ください。

AUTHOR
日本大学芸術学部卒業後、アパレル業界団体にてファッション経営情報誌の編集に携わり、カネボウファッション研究所を経て、1982年に株式会社フォー・レディーを設立。化粧品・ファッション通販企業の支援と、生活者視点のマーケティング発信に取り組んでいます。

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